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コシツのコシツー5号室の場合

こんにちは、「北大路ハウス」での日々の暮らしやイベント企画のようすをお届けする「住人エッセイ」です。
毎回テーマを決めて、6人の住人+管理人の計7人が交代で執筆していきます。
今回のテーマも前回に引き続き個室についてです!

【コシツのコシツ】北大路ハウスの個室は3畳程度の狭さで、形もそれぞれ異なっている。建築学生たちはこのクセの強い個室にどんなこだわり(=固執)を閉じ込めるのか?(個室についてもっと知りたい方はこちら)

【登場人物】
5号室 ひとみ(B3):人見文弥(ひとみ・ふみや)京都工芸繊維大学B3。実家が京都市内ながらシェアハウスに入りたくて抜け出してきた自由人。趣味はバスケと写真と音楽と自転車と雑貨屋めぐりと料理と一人旅と......
6号室 かわしま(B3):川島史也(かわしま・ふみや) 京都府立大学B2。シェアハウス内最年少の弟分。バイトとサークルと課題でほうぼうを飛び回り、家で見ることは少ない希少種。趣味はテニスとクラシック鑑賞。というウワサ。

【目次】
1   ミニマリスト?
2 「意図」と「不意図」
3 他人の個性を内包する

第5回となる今回は、ひとみの住む5号室の改修案について紹介します。
少ないものを愛でて暮らすカレのまえにあらわれた強敵 ”隣人” 。
因縁の決着をつけるべく、カレがだした答えとは?

■ミニマリスト?

かわしま 他の住人の方々とちがって、ぼくらはどちらも母屋を改修する第1期のワークショップが終わってから初めてこの場所を知って、入居を決めましたよね。
そのときの印象はどうでしたか?決め手になったこととか。

ひとみ そうだね、まずは空間の雰囲気に魅力を感じたかな。全体がひとつに繋がりながら、ジグザグに蛇行したりボコボコ突出したりした場所がひとの居場所をつくっていきそうな、明るい空間。
ここで住みながら場所を使い、さらに新しい場所のありかたを考えていくというプロセスが体験できるのは、とても魅力的なことだと思った。

かわしま 確かに。住んでいる日々のなかでも使い手のふるまいとか季節・天気によってさまざまな表情をみせてくれる場所ですよね。プロセスも独特で、ほかでは体験できないことだと思います。
個室がたった三畳しかないっていう条件はどうでしたか。狭すぎるとは感じませんでした?

ひとみ 最初に聞いたときは正直生活できるのか心配になったけど、見学にきてみると案外住めそうだなと。個室の外に荷物がでてきたりするのを想定してつくられているし、改修もしていいと聞いて、自分の居場所をつくっていけることにワクワクしたのを覚えてる。
かわしまくんはどうだった?

かわしま ぼくも同感です。ものづくりが好きだし、公共のスペースもふくめて自分の生活の場を自由につくっていけるのは面白そうだなと思いました。まだなかなか手をつけられてませんけど...笑
ひとみさんはもってるモノの量がとても少ないイメージなので、改修は結構自由にできそうで、楽しみです。

ひとみ そうだね、必要以上のモノは持たないようにしてるから。多くなりすぎると整理整頓しにくくなるしね。ちなみに改修前の現在の写真がこちら。

ひとみの住む個室5のなかの一部と、出入り口の外側すぐ横のコーナー。
ボックスはもともと実家で使っていたもの。デスクは既存の棚の高さを変更したもの。

かわしま 四角形の部屋のなかは布団とボックス、服があるだけですよね。部屋の外側も小さいデスクコーナーだけ。ミニマリストなんですか?断捨離が好きとか。

ひとみ んー、ぼくの場合はモノを持つハードルが高いだけかな。自分のモノはどんなに小さくても一生持つものだと思って選びたいから。逆に心に響いてこないものは買わないようにしてる。隣の個室の誰かさんとはちがって。笑

かわしま マンキーさんはすごいですよね。笑
まさにひとみさんの対局にある感じ。

個室4・5前を、かわしまの住む個室6からのぞむ。誰のものか分からない荷物であふれている。

ひとみ そうだね、彼はひょいとモノを拾ってきたりするからね。笑
個室前の気持ちいいコーナーを、デスクをおくスペースにつかいたかったのに占領されてて困ってるんだ。そのへんは交渉次第って感じだよね。
ってそれより、その写真いつ撮ったの?あんまり上からのぞかないでよ。笑

かわしま 個室6はもう1つ上のフロアにあって、吹き抜けに面した窓からちょうど見えちゃうんですよね。笑
大丈夫です、たまに人間観察してるだけですから!

「意図」と「不意図」

かわしま 今後の改修はどうしていくんですか?今のままでも生活していけそうな感じですけど。

ひとみ そうだね。いまはたくさんの水平な板を、ひもで上からつり下げる案を考えてる!モノは少ないけど全部愛着のあるものだから、できるだけ全部が見えるように、グルッと囲まれて生活したいんだ。

スケッチ。服も本も雑貨も書類も、垂れ下がる板を中心に内包されていく。

かわしま なるほど、見せる収納ってやつですね。でもふつうの格子状の棚でもよさそうなんですけど、こんなにバラバラで吊り下げたい理由は何なんですか?

ひとみ そういうふうにも出来るとは思うんだけど、自分で設計しておきながら日々使いかたを発見していけるような、余白が残っているような棚にしたかったんだ。最近つくる側の意図から離れた使われかたというのに関心があって。どう見ても狭すぎる場所とか、逆に広すぎる場所とか、重なってて使いにくそうな所もあえて混在させてる感じかな。
吊り下げてるのは、床にものがなくなってスッキリするから片付けがしやすいのと、この階だけ個室の中に露出してる梁を使いたかったから。

個室5、6内部から見上げた写真。個室5の露出した梁には金具など取りつけ可能。

かわしま 梁、いいですよね。ぼくの部屋は最上階で屋根の仕上げが貼ってあるから壁だけが頼りです...
設計者の意図から外れた使われかたっていうのは、自由な雰囲気があっていいですね。デザイナーがユーザーに期待して余白をつくる状況はあるかと思うんですけど、自分に対してっていうのが面白い。
つくりながら同時に住まう、北大路ハウスのような形式だからこそ可能なことですよね。

ひとみ 確かにそうかもしれないね。自分で想像力を養いながら、予想外の使いかたを日々発見していけるような場になったら楽しそうだなあと思ってる。あと、ちなみに個室の外も同じコンセプトで考えてるんだ!

■他人の個性を内包する

かわしま そうなんですか?前回のnoteでは確か、引き算って書いてませんでしたっけ。

ひとみ そういえばそうだったね。笑
最初はたった三畳という個室の狭さとそれに対する共用部の広さ、というコンセプトにあわせて、共用部に自慢のモノをたくさん置いて、個室内は布団だけ、みたいな余裕のある寝室にしたかった。でもとなりのマンキーのモノの量が想像以上に多くて。笑
そのつぎに、公共部は引き算で荷物を中に入れる案を考えたんだけど、作業なんかに使えるスペースは個室の外側に一定面積欲しいから、どうしたものかと。
ならいっそ色んな場所をつくって大量のモノをとりこみつつ、その一部に自分のスペースとか、来館した人が居場所をみつけられるスペースも含まれている形にできるんじゃないかと思って。

スケッチ。四角形の枠と、板をバラバラに組みあわせた構成。一部デスクとしての想定以外は、機能が決まっていない。

かわしま 今度は隣の部屋の住民や、不特定な他人に対しても使いかたを発想させるような場所を作ろうとしてるわけですね。でもこんな大きなものを共用部につくって、怒られないんですか...?笑

ひとみ 今のところなかなか改修が始まってない部分があるから、手のつけやすい僕らの個室前からブレイクスルーがあってもいいのかなと思って。怒られたら部材を減らしたりして、規模を縮小させます。笑

かわしま 全体が小さな単位の集合でできてるから、一部削ったりできるのはいいですね。逆にマンキーさんの荷物が増えてきたらそれを取りこむために増殖していったりもできそう。笑

ひとみ これ以上増やされるのは勘弁してほしいな。笑

かわしま でもお二人がとなり同士でせめぎあいながらいろんなモノの配置とか、改修案がそれぞれ決まっていっている感じを上から見られるのはおもしろいですよ。笑

ひとみ 確かにね、良くも悪くも腐れ縁みたいな感じになってきてるよね。笑 ってなにまた覗いてるの!

かわしま はいっ!ということで、次回は上のぼくの個室についてお届けします。ではまた来週~

ひとみ 勝手におわらせないで~!


⇒【次回】個室6は7月13日(金)配信予定!!

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