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『UNIVERSITY STREET 』竹内まりや
今回も加藤和彦絡みで、竹内まりやのセカンド・アルバム
『UNIVERSITY STREET』をご紹介します。
竹内まりやは、慶応大学在学中の1978年に「戻っておいで・私の時間」でデビューしました。作曲は加藤和彦、作詞は77年に加藤と結婚していた安井かずみです。この曲は、オリコン・チャート最高位84位とあまりヒットしませんでしたが、続くセカンド・シングル「ドリーム・オブ・ユー〜レモンライムの青い風〜」も加藤が作曲を手掛け、30位までラック・アップしました。
さらに加藤・安井の黄金コンビの手による4枚目のシングル「不思議なピーチパイ」はオリコン3位という大ヒットとなり、竹内はトップ・シンガーの地位を確立しました。その後、山下達郎との結婚により、「シンガーソング専業主婦」となり、メディアへの露出はほとんどなくなりましたが、音楽活動は精力的にこなしており、紅白歌合戦にも出場し、現在も女性ポップス歌手の大御所として活躍していることはご存じの通りです。
一般的には独身時代の竹内の代表作は、「SEPTEMBER」と「不思議なピーチパイ」の2大ヒット曲が収録され、オリコン1位を獲得したサード・アルバム『LOVE SONGS』ということになると思いますが、私の推しはセカンド・アルバム『UNIVERSITY STREET』です。加藤の作品「ドリーム・オブ・ユー〜レモンライムの青い風〜」が収録されています。モノトーンでまとめられ落ち着いたジャケットの『LOVE SONGS』は、しっとりした大人向けの曲を中心に構成されています。
一方『UNIVERSITY STREET』は、ちょっとベタですが、
Tシャツ姿の竹内がテニスラケットを手にキャンパス内を歩くポップなイメージのジャケットで、内容も間もなく大学を去る女子大生の心情を歌った曲を中心に、一種のコンセプトアルバムになっています。
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現在の竹内が『LOVE SONGS』と同じ方向性で作品を作ることは可能でしょうが、『UNIVERSITY STREET』と同系統の作品を作ることは不可能かと思います。そういった意味でも、『UNIVERSITY STREET』は貴重な一枚です。当時高校生であった筆者は、『UNIVERSITY STREET』を聴いて、間もなく訪れるキャンパスライフを想像し胸を躍らせていました。