聴覚障害者とのコミュニケーション手段とその特徴 聴覚障害の基礎知識 part3
聴力検査
純音聴力検査
聴覚障害の診断のために聴力検査を行います。
検査はいろいろとありますが、通常はオージオメータという検査機を使って測定します。
受話器をつけ、1000Hz、2000Hz・・・8000Hzと周波数ごとに「ピー」「ブー」という純音が(時報にも用いられる音)を聞き、どのくらいの強さになったら聞こえ始めるか、その聞こえ始めの数値を測定します。
これを「標準純音聴力検査」といいます。
測定の結果は、オージオグラムという用紙に記入します。
横軸は音の高さ(Hz)で、左は125Hzの低い音から右は8000Hzの高い音まで七つの周波数ごとの聞こえの様子がわかります。
縦軸は、音の強さ(dBHL)で、下に行くほど強い音になり、聞こえにくい程度がわかります。
身体障害者手帳の交付の基準に使われている。
平均聴力レベルというのは、話し言葉を聞くときに大切とされる周波数500Hz、
1000Hz、2000Hzの三つにおいて、測定された聴力レベルを下のように、計算したものです。
この他に、下記のような検査があります。
骨導検査
標準純音聴力検査と同じ機械(オージオメータ)を使いますが、受話器の代わりに、バイブレータを頭につけ、頭蓋骨を直接振動させて、音を聞かせる検査です。
標準純音聴力検査で、聴力の低下が認められ、骨導検査でも低下しているときは、感音性難聴、骨導検査では低下していないときは、伝音系に障害があるとみられ、伝音性難聴と診断できます。
語音聴力検査
純音がどのくらい聞こえないかということと、話し言葉をどのくらい聞き取れるかということは違います。
聞こえの実態で、述べていますように。
(part4・聞こえの実態)
感音性難聴の場合、十分に大きな音を聞いていても、話し言葉を100%聞き取ることはできないことが多いといわれています。
また、同じ聴力レベルの人でも聞き取りの様子は1人1人違うものです。
言葉の聞き取りの検査は、語音検査といって、数字を使う場合と「あ」、「き」・・・という単音節を使う場合があります。
また、「カラス」、「リンゴ」のように、単語や短文を聞いて検査をする了解度検査もあります。
乳幼児の聴力検査
通常の聴力検査は音を聞いて聞こえたら、ボタンを押すなどの方法で進められます。
しかし、乳幼児の場合は聞こえてくる音に反応してボタンを押すということが難しいので、COR(条件詮索反応聴力検査)などの聴性行動で調べる、他覚的検査が必要になります。
近年、睡眠時中の新生児の脳波で調べる、新生児聴覚スクリーニング検査が広く行われるようになりました。
この検査で、リファー(要再検査)とされた場合は、耳鼻科で精密検査を受けて、経過を見守ることになりますが、この間の、家族への支援は重要だと言われています。
障害の「医学モデル」だけでなく、「社会モデル」についても十分な情報提供と、きちんとした対応が求められています。