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真鱈のたらこを見つけたら

如月、芽吹きの春を予感させてくれる月で心躍ります。
立春を過ぎて少しずつ陽の光が柔らかく長くなり寒さはまだ残っていますが
気持ちに少しゆとりが出てきます。
北国の寒さに身構え耐えていた人々の表情に少し優しさが感じられます。
大きなマスクに顔半分が隠されていますから無意識に目元に視線が行きます。
顔全体が見えていた時には面と向かって目に視線を合わせるのは少し気が引けていたけれど。

近くにあるスーパーは小さな店舗ですが魚の鮮度、品ぞろえが充実しています。気軽に買った魚をその場でさばいてもらえたりしてなかなかの人気です。1月、2月はタラが美味しい季節です。
真鱈の切り身、白子、たらこが売り場を大きく占めています。

中でも真鱈のたらこは安くて人気があります。
一般に出回っているたらこはスケソウダラの魚卵です。
北海道では真鱈のたらこを煮付けて食べることが一般的です。

ですが私は煮ません。

目を皿のようにしてパックに入っているたらこを選別します。
ポイントはたらこの切り口(大きいたらこなので切って売られています)が鮮やかか、全体に張りがあるか。
適当に選んで外れを買ってしまうと私のたらこ料理には使えないのです。

いそいそと持ち帰りすぐさまパックを空けて状態を鼻を頼りに状態を確認します。パックに入っているとみためはわかりますがにおいまでは無理ですから。

小さなスケソウダラのたらこと比較したら安価な真鱈のたらこ。
鮮度のよさを確認すると塩を全体にまぶして2時間ほど放置します。

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その後、流水で塩を流して水分を拭き取り、ひと晩ざるに入れてなじませます。
翌朝たらこの皮を剥いで身をスプーンで取り出します。
買った直後の生のにおいから少し熟成した香りに変わっています。


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酒としょうゆをふりかけて1日置いたら、たらこの醤油漬けの出来上がりです。スケソウダラのたらこより粒は小粒ですが味は同じです。
心おきなくアツアツのご飯に乗せて食べたり、たらこパスタに、おにぎりにと重宝します。

市販のたらこは添加物がずらりと表記されていて買う気にはなれません。
冬のあいだはたらこを見つけると真鱈であれスケソウダラであれ少しずつ買って塩漬けにしたり醤油漬け、明太子にしたりして冷凍保存して1年中食べています。

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じっとパックに入った魚の様子を観察する私を魚売り場のスタッフさんは
ちょっと困った表情で見ています。
旬の魚をとことん利用する、受け継がれてきた庶民の知恵です。


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