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文系の blender 4.0 映画に学ぶ、照明と色彩補正
作成した作品をより良く見せるには、やはり照明は大切な要素です。
また、blender のコンポジットノード上で、一般の画像加工ソフトウェアと同様の色彩補正/加工を行うことが可能で、この補正によっても雰囲気をおおきく変化させることもできます。
タイトルはややおおげさですが、ここでは、照明とコンポジットノードでの色彩補正について、映画のワンシーンを参考に、気楽にその効果を試してみました。
環境 Blender 4.0.2 , Mac Mini M1 OS 14.2
基本の照明
まずは教科書通りの基本の三点照明。ここでは人物を利用したが、基本はどの被写体でも同じ。また、ここでは環境光は用いていない。
モデルは Adobe Mixamo からダウンロードした。以降、若干のポーズと表情、シャツの色のみ変更する。
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照明のコツは、できる限り照明の数を少くすること。また基本的には、対象には正面からライトを当てない。
Amélie (2001)
アメリ。監督のジャン ピエール・ジュネはややダークな世界観と独特な色彩で知られ、この作品でも全編にわたって特徴的なカラーグレーディングが施されている。
Jean-Pierre Jeunet。代表作「デリカテッセン(1991)」「ロスト・チルドレン(1995)」など。
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照明
背景を茶系に変更し、バックライトを外した。フィルライトはごく控えめにし、全体に暗め、影を強調できるように設定した。
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コンポジター
「HSV(色相/彩度/明度)」でおもに彩度を、「RGBカーブ」でコントラストを、「カラーバランス」で、暗色(リフト)/中間(ガンマ)/明色(ゲイン)それぞれの色調を変更できる。
色彩補正の基本ノード。それぞれ、カラー > 調整 > から追加できる
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もう少し工夫の余地はありそうだが、「アメリ」らしい色調に近づいているかもしれない。
コンポジットノードは、レンダリングを行った後、上部メニューの「Compositing」を選択してワークスペースを切り替え、「ノードを使用」をチェックする。
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El espíritu de la colmena (1973)
ミツバチのささやき。監督はビクトル・エリセ。やや昔のヨーロッパ映画独特のざらりとした渋めの色彩が特徴的。スペイン映画史上の最高作品とも評される。
Víctor Erice。スペインの巨匠。代表作「エル・スール(1983)」など。極端な寡作で、長編映画はほぼ3作のみ。
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照明
屋外のシーンなので、キーライトはサンライト(強さ 1 )とした。バックライトとフィルライトも控えめな強さで補助的に使った。
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コンポジター
彩度、明度をやや低めにし、RGBカーブのR(Red)を若干落とし、G(Green)、B(Blue)を僅かに上乗せ、カラーバランスで暗色に赤系、明色に青系をそれぞれ加えた。
また、古めの映画の雰囲気を出すため、最後に、ホワイトノイズテクスチャをカラーミックスノードで「乗算」し合成した。
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ここでは、色調に青と緑を中心に加え、ノイズを加えることですこしレトロな雰囲気を出すことができた。
Alien (1979)
エイリアン。リドリー・スコット監督のSF映画の金字塔ともいえる作品で、ほぼ全編、薄暗い宇宙船のなかで、光と影がスタイリッシュに強調されている。
Ridley Scott。イギリスの映画監督。代表作に「ブレードランナー(1982)」「グラディエーター(2000)」など。
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照明
フィルライトを外し、バックライトはやや強め、キーライトは暖色とし、ハイライトを強調するため、形状を細長くし、広がり(spread)を 120 度と絞った。
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コンポジター
コントラストやや強め、中間色に青、明色に黄色を加えた。
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この後も、前述のジュネを含め、デビッド・フィンチャーら気鋭の監督を迎え続いたエイリアンシリーズは、光と影を大胆に強調し、おおよそいつもこんな雰囲気だろうか。
The Grand Budapest Hotel (2014)
ウェス・アンダーソン監督。独特のユーモアあふれるストーリーと、また独特で洗練されたカラーグレーディングで知られる。
Wesley Anderson。代表作に「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ(2001)」、「ダージリン急行(2007)」など。
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照明
基本の三点照明に近い構成。どれも強さは控えめ、すこしフラットで、影を強調しない設定にした。
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コンポジター
気持ちコントラスト強め、中間色と明色に赤系を加えた。明色はやや強めに調整している。
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ティム・バートン風でもあるかもしれない。照明はあまり凝った感じはなく、カラーコーディネートがすべてを印象付けている。
千と千尋の神隠し(2001)
いうまでもなく宮崎駿監督の代表作。遠目でみてもジブリとわかる確立された色使いが特徴。
宮崎駿。アニメーション映画界の巨人。代表作に「となりのトトロ(1988)」「もののけ姫(1997)」など。
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照明
このシーンのみ、環境光(#6C6C6C)を適用し、影をつくるためにほぼ正面から80Wのライト(やや暖色)を当てた。
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コンポジター
気持ちやや明るく、中間色に赤系を加え、フィルターでアニメ風に輪郭を強調してみた。
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ティム・バートン? ややムリな感じは否めないが、おもしろい雰囲気にはなっているのでは。
まとめ
君、仕事もしないでいったいなにを遊んでいるんだ、といわれそうですが、もともと映画好きなので、予定よりも楽しんでしまいました。
ともあれ、まったく同じ人物モデルでありながら、照明をすこし変えてみたり、色調を調整するだけで、別人のようにもみえることが分かります。
作成したオブジェクトやキャラクターをレンダリングする際には照明にちょっと気をつかい、レンダリング後、すこし時間をかけて色彩調整をするだけでも、まったく違った作品のみせかたもできるでしょう。
参考になれば幸いです。
参考
映画祭の授賞式などでのスター俳優がどことなくさえない顔なのは、映画の中のようにプロが腕によりをかけて照明を当ててはくれず、無造作に正面からフラッシュなどをたかれるためです。
わたしは人物の撮影はしませんが、その場合はとりあえず、窓や太陽を背に(バックライト)立ってもらい、可能であれば、だれかに白い板(レフ)などをもってもらってキーライトやフィルライトがわりにして撮影すれば、少なくとも大きくはガッカリされないことと思います。