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チルト式とバリアングル式のどちらがいいのかをうんと偏った視点で説明してみた

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まず最初に断わっておくが、ワタシはキヤノンPowerShot Pro90 ISからずっとバリアングル式モニターの信奉者である。

チルト式のカメラも使ったことはあるが、やっぱりバリアングル式のほうが好きだし肌に合う。

というのもあるので、この文は、かなり偏った内容になっているのはご了承いただきたい。

カメラの可動式モニターの現状

さて、現行の一眼レフやミラーレスカメラのモニターは以下のようになっている。

・チルト式:31
・バリアングル式:30
・固定式:11
・3方向チルト式:3
・フレキシブルチルト式:1
・チルト+バリアングル式:1

全体の85%は可動式で、上下方向のみに動かせるチルト式が31機種、バリアングル式が30機種。ソニーα99 IIの3軸チルト式は名前がチルトなだけで、実質的にはバリアングルだと思うので、そちらに含めている。

残る少数派には、右手側にも開く3方向チルト式が3機種(フジフイルムX-T3、パナソニックDC-S1とDC-S1R)、左右どちらにも動かせるフレキシブルチルト式が1機種(ペンタックスK-1 Mark II)、チルトとバリアングルの両方の機構を合わせ持つのが1機種(パナソニックDC-S1H)ある。

数字の上ではチルト系のほうが優勢と言える。今のところはね。

と言うのは、チルト式からバリアングル式にくら替えするメーカーが出てきているからだ。

3方向チルト式の旗頭的存在だったフジフイルムX-Tひと桁シリーズは、X-T4でとうとうバリアングル式になった。また、エントリー向けのX-T100は左手側に180度開く自分撮り対応3方向チルト式だったのが、後継のX-T200ではバリアングル式に変更されている。

かたくなにチルト式を採用していたソニーEマウント機も最新のα7S IIIやα7Cにはバリアングル式モニターが搭載されている。

パナソニックもDC-S1とDC-S1Rは3方向チルト式モニターとしていたが、動画機能強化型のDC-S1Hでは「チルトフリーアングル」という力技を披露している。また、サイズダウンをはかったDC-S5は、普通にバリアングル式だ。

というのを見ると、各社ともチルト式からバリアングル式へと乗り換えているように見える。

縦位置でのロー/ハイアングルが撮れるのがいい

ワタシ個人が可動式モニターに求めるのは、

・縦位置でのロー/ハイアングル撮影がやりやすい
・三脚に載せての俯瞰撮影で画面が見やすい

という2点。

チルト式には、横位置ならロー/ハイアングルに素早く対応できるとか、画面を起こしても位置がズレないとか、端子やケーブル類と干渉しにくいとかのメリットがあるのは知っている。

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↑チルト式はひょいっと持ち上げるだけでセッティング完了。素早い。

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↑バリアングル式は横に開いてからくるっと回す手間がいる。ちょっと面倒くさい。

わりと最近、チルト式のソニーα7R IIIからバリアングル式のパナソニックLUMIX DC-S5に乗り換えたばかり。なので、チルト式の便利さ(≒バリアングル式のいまいちポイント)も身にしみている。

が、チルト式は縦位置でのロー/ハイアングル撮影に対応できないのがやっぱりアウトなのだ。

チルト式のカメラを使っていると、縦位置のロー/ハイアングルを撮りたいと思っても「これは撮っとかないと絶対後悔するよな」クラスのシーンでもなければスルーしがちになる。

面倒くささのほうが勝ってしまうんである。

「それはおまえの心の弱さが問題なだけだろ」と言われるかもしれないが、弱い心の持ち主にはチルト式は逆風。障害でしかない。

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↑バリアングル式なら縦位置のロー/ハイアングルにも対応できる。

実際、バリアングル式モニターのカメラに持ち替えればすんなりと普通に撮れる。ワタシにとってはバリアングル式のほうが撮る気になれるし、撮る気が増える。それは重要な点だと思っている。

3方向チルト式なら縦位置もいけるが、採用している機種は少ないし、フジフイルムもパナソニックもバリアングル化を進めていると考えられる。

三脚+俯瞰撮影で画面が見やすいのがいい

もうひとつの俯瞰撮影について。

商品撮影で上から見下ろしアングルで撮ることというのがちょくちょくある。

そういうときに、チルト式はあまり便利ではない。

カメラにもよるが、モニターの枠が三脚の雲台につかえて下に向けられないことがある。

カミサンが使っているソニーα6300はモニターを下に向けると枠がボディの底面よりも下にはみ出る構造。なので、三脚に固定すると上方向にしか動かせなくなる。

クイックシューを使うとかして高さを稼げば改善できるが、雲台が大きいとケラレやすくなる。

ノブ締めタイプのアルカスイス互換クイックシュークランプを使っていると、出っ張ったノブが邪魔になる。撮れないことはないのだが、うっとうしいのは間違いない。

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↑チルト式だと雲台やクランプとかが画面を見る邪魔になる。それがうざい。

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↑バリアングル式は画面が横にはみ出るので雲台やクランプが邪魔になることはない。快適。

この点は3方向チルト式でも同じ。モニターの枠を支える構造によってはケラレにくくはできるはずだが、どんな雲台でも大丈夫というわけにはいかないだろう。

「そんなときはスマートフォンアプリでリモートでしょ」と思いはしても、接続するのに手間も時間もかかるし、機嫌が悪くて接続できないことさえあったりする。

それでイライラせずにすませられるような心の広い人間だったらよかったのにね。って感じである。

バリアングル式なら、くいっと開いてくいっと回せばいいだけ。手っ取り早い。しかも、横に開くので雲台やクランプのノブからも逃げられる。ので、画面が見づらくなりにくい。そのほうがずうっとスマートだ。

なのでワタシはバリアングル式が好きなのだ

とまあ、ここまで読めばだいたいの人はバリアングル推しになっているはず。

ただ、ロー/ハイアングルは横位置オンリーでOKで、かつ頻繁にやるんだよという人にはチルト式は強い。それは間違いない。動画を撮るのにもバリアングル式だと端子やケーブルが邪魔になりやすい、なんてこともある。

ちょっとマニアック方向だとLブラケットとの相性の悪さというもあって、それについてはこちらの記事で触れているのでお暇な方はどうぞ。


が、ワタシ的には縦位置のロー/ハイアングルに対応しやすいかどうか、俯瞰撮影時に見づらくならないかどうかというのがとても大きい。

そういうのもあるので、バリアングル式にこだわっちゃうわけである。


さて、前にも書いたけど、この記事も「お代は見てのお帰り」方式である。

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