稽古に必要なモノ
初日、不安と期待を抱きながらお稽古場に向かわれることでしょう。誰もが一度は通る道です。心配なさらず、わからないことは質問してみましょう。
お茶といえば着物のイメージですが、お稽古の時は洋服でも構いません、ただジーンズは畳を痛めることになりますし、茶室に相応しないと考えられますのでご遠慮下さい。ミニスカート、ノースリーブ等も茶室に相応しないと考えられています。そして、素足に畳の上では不快となりますので白い靴下をはくことを厳守して下さい。また、時計、カフス、指輪、イヤリング、ピアス、ネックレスといったアクセサリー類は、茶道具を傷つける恐れがあるので外します。身だしなみを整えることは大切なことです。
茶道の稽古に必要なものは七つあります。
帛紗
茶器を拭い清めたり、器物に敬意を表して、その上に載せて拝見したりに使います。帛紗を腰につけていることは亭主たる標識となります。
古帛紗
利休の時代以前は持帛紗も五寸(約15.2cm)の帛紗が用いられていましたが、利休の妻の宗恩が現在の帛紗の寸法を考案してから、小さい五寸角の方を古帛紗と呼ぶようになりました。
扇子
白竹と漆塗りのものがあります。初心者は白竹を選ぶとよいでしょう。女性は5寸、男性は6寸を用いています。
懐紙
本来は、詠を書くため紙を懐中に忍ばせていたことから懐紙といいます。茶道では、菓子をのせたり、茶碗の飲み口をぬぐい清めた指をふいたり、いろいろ用途のある紙です。
菓子切り
主菓子を切っていただくときに使う道具です。茶席に入るときに取り出して、懐紙の間に挟んでおくとよいでしょう。
小茶巾
茶碗をふき清める布地。濃茶をいただく席に、客が持参します。水に濡らして絞り、茶巾用の袋に入れて懐中します。一会限りの使捨が原則です。
素直な心
お茶は一人きりではできません。現代はテキストがあるので写真や文章に頼りがちになってしまいます。頭の中だけで分かっていても決して上達できないのです。先生、先輩の所作をよく見て、真似ることで自分自身の身に付いていくのです。お稽古では先生から色々なことを教わります。その時、自分の気持ちが素直であることが大切です。素直な気持ちで向かえば自然に頭に入り、体におさまります。このことは、教わり上手になる一番の近道です。こうなれば、お互いが気持ちよくお稽古できます。
お点前を身に付ける上で、同じことを繰り返し、体に覚え込ますことは大切なことですが、それだけが茶道の楽しみではありません。たとえば、お菓子が好きならそれに興味をもち、その歴史や歳時記、地方色、作り方などを自分で調べることによって、新しい世界が広がります。好きな分野は得意分野になります。それが出来ることで、お稽古も一層楽しくなるでしょう。自分自身の引き出しを沢山つくり、時には深くすることで、日常で気づかなかったことにも目が行くようになります。
お稽古で会得したものは日常生活に生かされます。例えば、順番を待っている時に自分の番がきたら「お先に」という言葉を次の方にかけてみると、相手は嫌な気持ちはしないはずです。また、人前で飲食をするとき、お稽古の時のように手を美しく揃えることもひとつです。これらのことは、お稽古を習ったからといってすぐに出来るものではありません、継続は力なりです。自然にできるようになれば素敵なことです。相手を思いやる心、美しい仕種が身に付いていることに気づけば、自分が成長した証になります。