定額給付金をもらったわけでもないのに
一体なにをやっているんだろう。仕事のない今日も、運動不足を解消すべく定例のコースを歩いていたら、PCやスマホなど、中華系ガジェットを扱うショップにもエアガンが置かれていることに気付いた。導かれるように店内を一巡すると、果たして89式ガスブローバックが固定銃床・折り曲げ銃床共に在庫しているではないか。自粛疲れなのか何なのか、依然として閉まっている店も多い中でたまたま飛び込んだこの店で出会ってしまった89式。
実は、自分的にも「自粛モード」だった。ハンドガン二丁を携えて通ったシューティングレンジが休業しており「今買っても実射は当分できない」のだから、買うにしても自粛期間が終わってからだろうと考えていたのだ。しかし今目の前に置かれている89式の値段を見て、何かがこわれた。次の瞬間、財布の中の有り金全部出して「ください」と言っていたのだった。
決済が終わった後「梱包しますので少々お時間いただきますね」とスタッフの方は言って、ひとりしかいないため梱包中の来客をさばきながら、かれこれ10分くらいかけて丁寧に梱包してくれた。200m離れているエアガンショップよりも実質6,000円くらい安かったので、すごく得した気分だ。梱包が終わった箱を受け取り、山手線にのっていそいそと事務所にもどったのだった。
当然ながら、電車は空いていたが立てて持つのも不自然なので網棚に乗せた。箱の大きさは明らかに不自然であり不審物だ。巡回の警備員・警察官が見たら「ちょっと」と言いたくなるであろう物品であることは感受性に乏しい私ですら容易に想像が付く。幸い乗車駅でも下車駅でも、その手の方々に遭遇しなかったのはラッキーだった。事務所に戻ったがまだスタッフが仕事していたので適切な場所に隠匿し、帰った時間を見計らって開梱した。
ついに、手に入れてしまった。包装を解くと、内容物を容易に想起させるあぶない箱が姿を現す。
鈍く黒光りする銃とご対面。ついに、手に入れてしまった。