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なんでも「ハラスメント」になる時代…
今回は、なんでも「ハラスメント」になっている風潮について考えてみます。
コラムニスト・木村隆志さんの指摘
2024年10月、コラムニストの木村隆志さんが東洋経済オンラインに『「大谷ハラスメント」と騒ぐ人たちに欠けた視点 』と題したコラムを寄稿されています。昨年の大谷翔平選手出場のメジャーリーグ中継について、視聴者とテレビ局それぞれの問題点を指摘されています。
自分が「『嫌がることをされた』『不快だった』と感じたからすべてがハラスメントとして認められる」というわけではありません。
そもそも放送は自分だけに向けて行われているものではないし、生活や健康などを害されたわけでもなく、権利侵害などの法を犯していないのであれば、ハラスメントとは言いづらいところがあります。
「大谷ハラスメント」と実名を絡めて不満の声をあげることは、逆に大谷選手から見たハラスメントに該当しかねない行為。書き方によっては「嫌」「不快」にとどまらず誹謗中傷となり、名誉毀損が成立してしまう危険性もあるでしょう。
ただそれ以前に、個人の名前を勝手に使ってハラスメントを訴えること自体がモラルを問われ、自分の生きる社会をゆがめていく行為。たとえ匿名の書き込みだとしても自制が求められ、他者にも求める社会でありたいのではないでしょうか。
一方で…
今回の件で「大谷選手ほどのスーパースターでも、緊急放送や大量特集などが絶対的に許されるわけではなく、必要以上に扱うことで不満をぶつけられてしまう」ことが明らかになりました。だからこそメディアも、懸命にプレーする大谷選手にネガティブな影響を与えない放送や報道を心がけてほしいところです。
メディアに対しても、このように釘を差しています。
氏のコラムは「頭の中が目先の利益ばかりになると、周囲では必ず分断が起こり、その連鎖が一気に広がるという、典型的な例」を示したものだと言えると思いました。そんな時代になったのです。
今回考えるのは、前者についてです。
余談…以前のテレビでは
いつだったか、こんなことがあったのを覚えています。直前の野球中継が21時までに予定通り終わった後、後に続く生放送の番組に出演した、その当時「視聴率100%男」とも称されるほどの人気があった萩本欽一さんが「野球、見たいでしょ?」と言って、急遽番組で予定されていた内容を変え、野球中継が続けられた…ということがありました。
当時は野球中継のニーズがそれなりにあったということもありますが、この時に限って言えば「あの欽ちゃんからそう言われたら、仕方ないなぁ」と許されていたものです。あの優しい語り口で言われたら、悪い気なんてしませんもの。
これが、30年くらい前までだったら許されてました。誰も、なんにも言わなかった(というか、インターネットのない時代ですから、聞こえてこなかっただけなのかもしれませんが)…。しかし、いまは、そういう時代ではなくなりました。
話を木村さんのコラムに戻します。
嘆く人ほど生きづらい世の中にしている
「最近は、生きづらい世の中になった」等と言って嘆く人が多いですね。では、そのようにしているのは誰なのでしょうか?
そう問われたら、私は「そう言ってる、その人自身ではないのか」と答えます。
彼等は、視点が一方向にしか向いておらず、そもそも、視野を広げようとしていないのです。しかし、その事に気付かないし、気付こうともしない。自分の言うことが100%正しく、これが「世間の常識だ」等と傲語する。これを馬鹿馬鹿しいことだと、ほぼ誰も思わない。だから、忘れた頃に、同じことが繰り返される。いったい、何回繰り返したら気が済むのでしょうか?
私達は、そうやって「嘆く」前に、やらなければならないことがあるはずです。
いま、何をすべきか
木村さんは、このコラムで「この程度をスルーできなければ、本当に“なんでもハラスメント”の生きづらい世の中になりかねない」と、その危険性と、スルースキルを持つことの重要性を説いています。
自分の気に入らないものは全て、安易に「ハラスメント」とする風潮、やはり、どう考えてもおかしい…それは、子供以下で、幼稚なレベルの発想だと言わざるを得ません。
そんな人間にならないために、何をすべきか。それは…
視野をもっと広げ、寛容な心を持つこと
気に入らないものからは、何も言わず黙って離れること
この2つこそ、現代の日本人に、いま求められていることだと考えます。
簡単なことです。誰にだってできます。今すぐにできます。
「アップデート」するだけではいけない
時代に合わせて、考え方はアップデートさせなければいけません。このことに関しては、以下の投稿でも記しました。
しかし、「アップデート」するだけではいけません。これと同時進行で、ここで挙げた2つのことを実践していかなければならないと考えます。それができれば、ある程度は、今の状態よりも、ある程度は良くなるんじゃないかな…。