君たちはどう生きるか

君たちはどう生きるかを見ました。
久々にジブリを映画館で見ましたが圧倒的な作画でした。冒頭のまひと君が階段を駆け上がるシーン、あれを本当に人間が描いてるのか…!?  本当に…!?  となりました。
昨今CG技術も上がってどのアニメ会社も相当なクオリティで、多彩なアニメーションを見せてくれますが、ジブリ作品の「必死さ」「気持ち悪さ」「恐ろしさ」「畏み」の描きかたはやっぱり唯一無二を感じます。

で、全体の感想ですが、かなり余白をたっぷりとっていて想像の余地を広くした映画だなと思いました。
前評判で難解という表現があったので、「もののけ姫」や「千と千尋の神隠し」ではなく、「原作 風の谷のナウシカ全7巻」を思い出しながら観にいきました。結果これが大正解!  みんなナウシカを読もう!!(唐突な布教)


※ここからネタバレ過多※

最初にまひと君が再婚相手と出会うシーン、秀逸でしたね。「うわ、なんかイヤな女出てきたぞ」という笑
千尋のお母さんもそうですが、こういう不穏を持ってくる女性の描きかたがとてもうまい。大したセリフ量がないのに、まひと君と父、再婚相手のゆるい不和がちゃんと伝わってきて素敵でした。

でも再婚相手の女性が憎めないのは、戦争という背景や、彼女が2番目に選ばれたという事実をすっと受け入れられた大人な自分のおかげです。ナイス!

私がとっても良かったのは、まひと君が石で自分を傷つけるシーンと、その伏線の回収でした。

アオサギも言う通り、石で自分を傷つけるシーン、本当に生意気で卑怯なシーンでしたね笑
怪我して皆に心配されることもできるし、うざったい同級生を間接的に叱ることもできる、そのチカラが父親にはあるし、学校に行かなくても良くなる。それをまひと君は全部分かっているわけで。

でも子どもの頃の「学校」とかいう世界本当に狭くて、「そこにしか居場所ない」んだよな…嘘じゃなく本当に。
そこから逃げ出す手段としては一番あの方法が手っ取り早かったと思うので、そこは子どもながらお見事!!  という感じがしました。
視野を広げればもっと世界は広いとか言うけど、こちとら生きてるだけで精一杯なんじゃ!!

ただクソガキまひと君、そこそこ頭のいい子なんですよね。自分を傷つけた石ころは言わずもがな、全然知らない宇宙から来た、世界を生み出している石も、「悪意」であることが終始分かっている。

(悪意って意外と気付けますよね。自分も発言した後に「悪意あったな、今」とか後で自己嫌悪になるし、人から来たメールに(もちろん音声が付いているわけではないのに)、「この文章、悪意あるな」とか別に特殊能力とかなくても気づけるんだよなって。)

でも「あなたのことが嫌い」と再婚相手さんに言われた時、まひと君は「悪意」だと捉えていないんですよね。なぜなら真実だから。それでもまひと君は「お父さんの好きな人だから」ってなんとか食らいつこうとする。自分はあいつに嫌われてるから助けない、みたいな因果なところに、もうこの段階でまひと君はいないんだなと思いました。

そんな感じにまひと君を成長させた冒険譚、ここあと2時間くらいあってもいいのよ?  っていう感じでしたね。物足りない~ナウシカ全7巻くらい書いてくださいお願いします!!!

墓の主のことも、殺生できない人たちのことも、ベリベリキュートワラワラのことも、気持ち悪いインコたちも、大叔父様のことも、おかんは何でここにおんねん、とか気になることいっぱい!!!  って感じ。象徴的な話が多いので1番厄介な(妄想厨にはおいしい)ターンですね。

このターンはまだ全然精査しきれてないので、まだ修行が必要そうです。
ただワラワラはめっちゃきゃわちぃのでグッズとか出せませんか?

総評として超絶怒涛の起承転結物語!!  ではない映画でしたが、個人的にはとても良かったです。面白かった、じゃなくて「良かった」なのがミソ。そして夏の公開はすごいGoodだと思います。商戦的にも休みが被るのでそりゃそうなんですが、

うだるような猛暑の青空を見ると、なんかまひと君のこと思い出しちゃう。そうすると息がふーってつけて、ちょっとふふってなるんですよね。あの冒険にお前1ミリも絡んでないやろって思うんですけど、あのときの冒険、楽しかったなあ~って思い出す感じがします。疲れてるんですかね?

つらつらと自分の感想を書きましたが、結局最後は米津玄師氏の「地球儀」が全部言ってくれたな、という感じでした。

ところで地球儀をくるっと回している間、ちょっと物思いに耽るっていう歌詞、さすがにうまくないですか?  ここではない、どこか遠くへ行きたいな~とか、知らない世界を思い、あの国はどんなところかしらん、と思う瞬間って、容易に想像できるんだよな。思い当たるシーンがいっぱいあるし。
こういう目に見えない感情を「文字」に起こすってすごい才能だな…と思いました。俺が言ったことにしたい。

また、まひと君に出逢って夢を見たいですね。
彼との冒険の秘密を忘れないように。

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