一月一日
帰路 5日目(2020.1.1):
北海道[千歳泊]
温度低下の警告が止まない携帯電話を手に
農地を 白み始めた空を背に歩み
舗装路の途切れる 曲がり角を越えた先へ
踏み入る
固く締まった砂利の浜
海面に立つ蒸気は まだ淡い陽光を浴びることにより
波跡に張る氷は 空の気色を滑らかに映すことによって
その実体が表される
オホーツク海から巻貝の殻がひとつ 足元に差し出され
薄氷の台座へ据えられたそれを 右手で掴み
指先へ僅かに力を込め 手首を返した
以久科原生花園で初日の出を見た後、駅前の宿へ引き返し、北から回って実家へ向かう。
【釧網本線-石北本線-函館本線-千歳線】
網走駅までの車窓はオホーツク海の眺めが広がる。そういえば、オホーツク海を見たのは今回が初めてだった。浜と海以外なく、どこまでも続くかのような景色。
網走のセイコーマートでまりも羊羹を、北見のキオスクで薄荷羊羹を買う。薄荷羊羹、興味本位で買ったけれど、後味に甘さが残らず、爽やかに羊羹をいただけるのがなかなか良い。
遠軽ではサボ(車体横に付いている行き先が表示されている札)を交換する場面があり、そういえばサボというものはあまり見ないということにようやく気付いた。地元の駅でも普通に走っていたので、JR北海道のワンマン列車が珍しいのだろうか。
旭川まで4時間。その内各駅停車で白滝-上川の一駅間が52分かかったのには驚いた。内陸へ向かうにつれて、雪がぐんと深くなってゆく。
道央圏の豪雪地帯、岩見沢を抜け、白石で千歳線へ乗り換え、千歳まで。千歳は例年より大分積雪が少なかったが、よく冷えていた。やはり晴れている方が朝晩はめっきり寒い。