六月七日
【山行】大岳山・御前山
今年は登山をしっかりやり始めると決めて以来、山に登る前、山行の計画もまた楽しみの一つとなっている。
地図やガイドブックを見ながら行程を想像し、装備の準備などを進めるうちに、知らない体験へ向けてわくわくする気持ちが湧いてくる。ちょうど旅行のスケジュールを組むようで。
しかしそれも現実味があるからこそ楽しめるというもの。
4、5月は感染症流行により身動きが取れず、現在も出口が見えない中での社会的な活動再開という状況に対し、いかに対応して登山を楽しむことができるか。
3月の丹沢への山行から2ヶ月半が経った。再開時の想定として、このような条件を基に計画してきた「都内の山で人の少ない日帰りルート」、サルギ尾根から大岳山・御前山へ向かうことにした。
【登山計画】
大岳鍾乳洞入口バス停 8:00- サルギ尾根 -11:55 大岳山 12:30-15:10 御前山 15:30- 陣馬尾根 -17:45 藤倉バス停
6時15分頃、武蔵五日市駅へ到着。晴天とはいかないけれど、持ちこたえてくれそうな予報。ここから7時頃発のバスで登山口までアプローチする。
(西東京バスのキャラクター「にしちゅん」、あきる野市のキャラクター「森っこサンちゃん」、どちらも垢抜けていないくて表情に愛嬌があるのがゆるキャラらしさがあり、個人的にとても気に入っている。)
「大岳鍾乳洞入口」で下車。目の前の養沢神社を詣で、脇の登山口からサルギ尾根へ入る。
【START】 サルギ尾根登山口(364m) 7:45
裏山といった風情の登山口から入り、木の根や岩の階段道を上がって行く。前日の雨で少し滑りやすくなっているようで、慎重に。
4月頭に購入し、履き慣らししかできなかった登山靴の初実戦投入だったのだけれど、これまで履いていたハイカットのスニーカーとでもいうような底の柔らかい靴とはまるで違い、足裏に荷重を感じず、また靴の中で足がぶれないため、安心してぐいぐい登って行くことができた。これは一番初めに揃えておくのが良いのだろうな(結果的にザックやレインウェアより後回しにしてしまってからの実感)。
恐らくエゴノキ。もう花が落ちてしまっているものも多かったけれど、この季節は白い花が多く、明るい緑の葉に覆われた中に点るように咲く姿が好きだ。
サルギ尾根ではこの先も植林と自然林がミックスされた緑に溢れた道が続き、見晴らしはないけれど単調ではなく、土の感触も気持ちが良い。
しばらく登り、少し開けたところに出ると、岩が増えてきた。
上高岩山の休憩所へ到着。
一気に視界が開けて驚く。天候は良くないけれど、開放感のある眺めを楽しみながら小休止。
この先芥場峠のあたりまでがサルギ尾根で、以降御岳山のルートと繋がるため、実際すれ違う人が急激に増えてきたのだけれど、サルギ尾根では同じ多バスでの入山者がソロ1名と2名グループ1組、登山道で出会ったのがソロ2名と、やはり静かな道だった(もっと少ないかなとも思っていたけれど)。
一輪だけ見かけたギンラン、進むごとに増えてきたマルバウツギ。
すれ違う人も増える中、岩場を越えて行き、大岳山荘(休業中、あるいは廃業との記載)へ到着。
大岳神社を越えたらすぐ、大岳山山頂へ到着。
11:56 【大岳山(1226.4m)】
山頂は開けているも、一面ガスで眺望はなし。道中の賑わいで予想はしていたけれど、山頂は結構な混み合い様だった。少し離れた場所でマットを敷き、食事を作る。
ニューコンミートと焼き海苔の炒飯とフリーズドライの卵スープに乾燥野菜きのこをトッピング。卵スープは顆粒片栗粉であんかけにする準備をしていたけれど、ニューコンミート炒飯の味わいには不要そうだったため、そのままとろみのついたスープとした。
ここまでは計画通りのタイムで来ていたけれど、ここで休憩を予定の倍の1時間たっぷりとってしまい、この先の行程に響いてくるのだった。
大岳山頂付近の岩場を過ぎると、なだらかな稜線歩きに。しばらくのんびりと歩く。
緩やかに下っていったところで、御前山へ向けての3kmで400mの登り返し。大岳山を登って来た後の疲労か、ブランクの間の運動不足か、そもそも体力不足か、この登りがかなりこたえた。
御前山へ近付くにつれ階段が現れ、一歩一歩ようやく登っている状態で、時間と体力を大幅にロスし撮影の余裕もなく、なんとか御前山山頂へ到着。
15:40 【御前山(1405m)】
こちらは脇のベンチ付近に少し開けた箇所があるくらい。時間も遅いためか、山頂には他にソロ1名しかおらず静か。
バスの時間や日が落ち行く中の山中での行動を考慮し、計画の段階で、15:10までに御前山に着かない場合は別の道で下山することとしていた。30分押しているため、エスケープルートの奥多摩駅側へ下り境橋バス停へ向かう。
登った道を少し引き返し、御前山避難小屋方面へ。途中見晴らしの良い場所で晴れ間が見え思わず足を止めたが、こちらのルートでも山中の行動時間を減らすため、急いで下って行く。
2.8kmで613m、標高を一気に下げた後は舗装路が続き、こちらも急いで下り、コースタイムを30分巻いて境橋バス停へ到着。
境橋バス停(378m) 17:47 【GOAL】
なんとか暗くなる前に山を抜けて着くことができた。ウインドブレーカーがわりのレインウェアを取り出し、18:30に来るバスを待つ。
初めて来た奥多摩駅。この状況で温泉に立ち寄ることもなく、帰りの電車では途中で寝落ちしていた。
休憩含め10時間、17.9kmの行程を進み、天候の優れない中ではあったけれど、山中の愉しみは充分味わい、気付きも多く得られた山行だった。
今後も感染症対策は長く続くだろうけれど、充分策を講じて、安らぎを求めて自然環境を味わいに行きたい。
【活動記録】
大岳鍾乳洞入口バス停 7:45- サルギ尾根 -11:56 大岳山 12:57-15:40 御前山 16:03- 奥多摩都民の森 -17:47 境橋バス停
《山行を振り返って》
※YAMAPで行程の記録を取り、今回は詳細も書き込んだ。
GPSアプリは行動中の助けには勿論、山行が終わった後も、データを振り返り、反省と次への準備にとても有用だと今回改めて感じた。
・行動時間
今回は、計画時に時間に余裕を持たせていなかったことが大きな反省点となった。時間が押したことにより下山の道(舗装路)を急いで下ったため、足に負荷がかかり、翌々日から出た痛みを2週間引きずってしまっている状況だ。
こう振り返ってみると、大岳山山頂での休憩を予定より30分多く取ったことがきっちり同じ分行程全体の遅れとなっていた。休憩時に調理をすると、1時間は確実に必要となるのだろう。
また、地図のコースタイム通りに計画を立てると、撮影で立ち止まる時間が加味されておらず、楽しみを削る羽目になってしまう。
自分としては、撮影と昼休憩時の調理は今後もしっかり楽しんでいきたいので、昼休憩は1時間、行動時の撮影に下山開始前まででできれば1時間は見て、ゆったりと山行を楽しめるよう計画することにする。
・装備
水は1Lボトル1本に0.9Lソフトボトル2本を持ち、調理に約0.2L使用し、0.5L程残った。今回は日差しがない中での行動で、3月末の快晴の檜洞丸登山よりも涼しく感じ、また標高差の大きな登りもなく、行動時間の割には水を消費していないのではと思う。
服装は山中の行動時は基本半袖Tシャツにコンプレッションインナーで、休憩時にはレインウェアを羽織る程度だった。比較的涼しいと感じる中だったので、この季節にこれ以上の防寒は非常時対策があれば充分か。
今回初投入のライトトレッキングシューズは、荷物を背負った山中での安定した歩行に関して、かなりの効果を実感した。しかし、時間が経つと履き慣らし時にも出ていた右足の甲への圧迫による痛みが出ていたので、次回は右足の紐の締め具合をまた調整し、しばらく試しても良くならないようであれば、アタリ出しを頼んでみることにする。