九月二十二日
9月の4連休、初日の御座山への日帰り19時間半(内山中での行動時間は8時間半)の山行の疲れが少し癒えた最終日、懲りずにまた日帰りで長野へ。しかし今回はコースタイムで3時間足らずのお手軽ハイキング計画で、一度訪れてみたかった北八ヶ岳へ向かった。
好天に恵まれることの少なかった今夏、この日も午後から雲が出てくる予報であったけれど、朝は爽やかな光が入ってくれた。目に馴染んだ大月周辺の風景を抜けて、現れた南アルプスの巨大な山容を眺めながら、茅野駅まで3時間。
茅野駅からバスで1時間、高原リゾート地帯を抜け、麦草峠へ到着。既に標高2120mで随分と涼しく、普段行く近郊の山々よりも一帯がかなり広々としていて、大きな山岳エリアへ来たことを実感する。
山小屋でお土産を買い、ゆっくり準備運動をして、いきなり登山口を間違えるも、気を取り直して、道路を渡り茶水池から茶臼山・縞枯山へ向けて出発。
苔の森として有名な北八ヶ岳。道のそこらじゅうが苔むしていて、登山道の脇に苔観察でつけられたと見られる道がいくつも見られた。
角の取れた大きな石が転がる直線的な登山道は、涸れ沢を利用したものなのだろうか。生き物の気配が少なく鬱蒼としながらも、関東の植林によって設計された針葉樹林とは違った、ゆらぎが感じられ好ましい針葉樹の自然林の中を進んで行く。
登りの途中、登山道の石の下に見つけたベニテングタケ。ここまで大きくきれいな形をしたものは初めて見た。
1時間半、ゆっくり歩いて茶臼山山頂へ到着。奥の展望台へ進む。
ぎりぎりの空模様ではあったものの、久々に得られた見晴らし。開けている方角に他に目立つピークがなく、広々と開放的な景色が広がっていた。
家で拵えてきた豚肉の生姜焼きおにぎりで栄養補給し、縞枯山へ向かう。
木々の立ち枯れしている一帯を抜け、1時間で縞枯山展望台へ到着。晴れていれば大展望のようだけれど、この頃にはすっかり霧に覆われてしまっていた。
更に20分程進めば、尾根道の途中に縞枯山山頂の標識がある。
雨池峠へ下り、ゴールのロープウェイ山頂駅まではすぐだった。
ロープウェイで下山、バスにもちょうど良い時間に間に合った。
行動時間約3時間の短い山行だったけれど、制限の多い中、普段行く近郊の山々とは一段違ったスケールを味わうことができ、充足したものとなった。
帰りのバスでは車内を吹き抜ける風が冷たく、体が冷えてしまった。その3日前、同じく長野の御座山からの帰りの電車と同様で、おそらく汗冷えによるものが大きく、汗冷え対策のアンダーウェアを必要性を実感し、すぐ求めることとなったのだった。
片道4時間半とアプローチに時間がかかり、また麓までのバスが早い時間に終わってしまうため、山中の行動時間はかなり短いものではあったけれど、何とか計画し、登山を始めて初めての夏山シーズンにここを訪れることができて嬉しかった。
今夏は想像だけの楽しみに終わったけれど、体力と技術を付けて、来季はこの北八ヶ岳エリアにテントを担いで泊まりに来たい。