生成AI画像やイラストを恐れる絵師さんは、多分生成AIをあまり弄ってないと思う件。ぶっちゃ生成AIの画像は恐れるに足らずじゃね?と想ってる話。
生成AIで美麗なイラストが一瞬で出力される時代になってしまったわけですが、そんな時代に「仕事が無くなるかもしれない」だとか「俺・私の著作権はどこへ」みたいな感じで不安を感じている絵師さんは多いかと思います。
ただ、様々な生成AIを用いて画像出力してきた立場からしますと、それって「やばい!CHATGPTがすごすぎて公務員も平社員も社長すらも官僚・政治家すらも不要じゃん!」みたいな大袈裟な恐怖に感じることもあります。
ぶっちゃけ「生成AIイラスト、恐れるに足らず(2024年11月現在)」というのが私の感想なわけですが、今回はその点についてお伝えさせていただこうかなと思います。
はっきり言ってAIって馬鹿じゃん
私はStable Diffusionを中心に画像生成を利用しているわけなのですが、今のところAI生成は「めっちゃ頭の悪い人にどうやって言うことを聞いてもらうか」という作業が中心では無いかと思っています。
もし自らの手で絵が描けるのであれば、はっきり言って無駄な作業がかなり沢山あります。
生成AIで、おおよそかなり完成度が高いのは案外プログラミングの領域では無いかと思っているのですが、ChatGPTなんかはよく嘘をつきますし、妙なこと詳しいくせに「こんなこともわかんねえの?」も未だに沢山あります。
その微妙な「使い勝手の悪さ」みたいなものがAI生成イラストにも当然の様に存在しています。
例えば、私が作っているエロマンガの領域においては「めっちゃエロいキスシーン」みたいなのを作ろうとした場合、本当に数時間かかっちゃうことだって平気であります。
他にもですが、微妙な角度の俯瞰図なども絶対に出力出来ないですとか、ただ二人の人物をコマ内に収めるのにえらい苦労したりと、ここのあたりは実際に生成AIで画像出力をしていない人には見えない苦労が多々存在します。
実際のところ、ちょっと人間なら普通にできそうなことをやろうとするだけで、生成AIはとても苦労します。
要するにAI生成で出力できる画像というのは「細かい注文を通そうとすると、えらい時間と手間がかかる」ということです。
しかしわりと工夫なく出力ができるタイプの画像は有りますし、それはとても上手な絵に見えます。
しかし融通を効かせるにはかなりのやりこみ・技術力が必要となりますので、今のところ絵師さんがAI生成を恐れる必要は全く無いと思います。
はっきり言って人間って馬鹿じゃん
散々AIを馬鹿にしつつも、絵師さんが生成AIを恐れる必要が無い理由の2つ目が「人間が馬鹿である」という件についてです。
そう、ChatGPTもまだまだおバカですが、私も馬鹿です。
はっきりいって、生成AIで思い通りの画像出力を行う為には結構な知識が必要です。でも人間は馬鹿で怠惰です。
簡単に絵が出力できる、という事実に食いつくような人はそもそも怠惰な人です。
それに実を言いますと、Stable Diffusionを使って思い通りの画像を出力するというのはなかなか根性が必要な作業です。
さらになんだかんだ言って結構なITスキルが必要なのがStable Diffusionなわけです。
正直なところMidJournyだとかNovelAIだとかはとても便利ですが、やはりブラウザ経由で既存サービスを使うだけではたどり着けない高みがあり、現状ですとそうなると皆Stable Diffusionを使うことになると思います。
私は基本的にGoogleのColabというサービスでStable Diffusionを動かしておりますが、Stable Diffusionの公式が提供しているNoteBookが、稀にColabのPythonのバージョンが変わったりで動かなくなったりします。
こういった場合、私は本職がウェブデザイナーでプログラム書いたりもするのでなんとかなるのですが、そうじゃない人はきっとお手上げです。
ちなみにExtensionが動かなくなる、なんてこともよくあります。
基本的に人類というのは努力が嫌いな人がです。
生成AIでイラスト出力してる人は「なんとなくプロンプトぽちぽち入力してすげえ絵が出来た!」というスタンスが大半であることは前回記事でもお伝えさせて頂きましたけれども、わざわざ血の滲むような努力をして生成AIに向き合っている人など数少なく、そもそも血の滲むような努力が必要ないのがAIの存在意義ではありますので「人間が馬鹿だから」たいしたものは生成AIから生まれることは有りません。
わざわざ「自らの手で絵を書く」という血の滲むような価値を手に入れた絵師さまが、わざわざこんな根性なしだけがはびこる「生成AI界隈」を恐れる理由なんてなんもないよね、というのが私の本音です。
生成AIはあくまでも「人間の後追い」でしかない
基本的に生成AIというのは「人間の行いを学習」しているわけですが、となると生成AIというのは「人間よりもいつも遅い」ということです。
なにせ人間を学習して作られているわけですから、当然人間よりも早いということは有りません。
こと画像生成について言えば「生成AIがトレンドを起こすような画期的なエポックメイキング」を生み出すことは出来ず、仮にそういったエポックメイキングができる生成AIユーザーというのは今のところほとんどいないのでは無いかと思います。
そう考えると、生成AIは別に恐れるに足らないのでは無いかと思います。
絵師さんこそ、一度真剣に生成AIに向き合ってはどうでしょう?
心理的に絶対にありえない、という方も多そうですが、実は絵師さんこそ生成AIに向き合って頂くのも良いかと思います。
全く生成AIに向き合う必要の無い方は「生成AIくらい上手な絵が描けて、なんなら生成AIが出来ないことだって簡単にできる絵師さん」くらいなのでは無いかと思います。
逆に「生成AIの方が自分よりも絵が上手いと思う」と感じる絵師さんこそ、生成AIを利用するメリットが大きい気がします。
例えばですが、自分の画風を学習させることが出来ますし、正直に言いますと「狙い通りの絵を出す為には絵を描けるorフォトレタッチの技術が必要」という事実が有りますので、そもそも全く絵が描けない生成AI絵師よりも、ちゃんと絵が描ける絵師さんの方が生成AIを利用するにあたって大きな強みがあるわけです。
正直まだまだAIは「苦手な視点・構図」なんていくらでもあります。例えばですがアニメ系モデルの場合、ほぼほぼ「引きの構図」を出すことが出来ません。※例えば画像のうち、端の方に人物がいるようなショット。
今現在であれば、Anytestを使ってざっくりとしたラフスケッチを清書するというテクニックもあります。
色塗りだけをAIに任せることも出来ます。
実際のところ3Dモデルを動かし、それを基本として絵を描かれている方も多いと思いますけれども、AIもそれと似たような利用方法がいくらでもある状況ということです。
するとAIが出来ないことや苦手なことも見えてきますし、逆に自分自身でその部分を補えるとなると鬼に金棒になる可能性があります。
AIといえど、あくまでも人間の道具だよな、と私は思います。
AI生成画像で出来ないと感じること一覧
複雑なアングル・構図の出力
はっきりいって、少しだけ上からだとか、少しだけ下から、みたいなアングルや、男女の身体が複雑に絡み合っているような画像の出力は「そのままじゃ出来ない」と言って良いくらい出来ません。
たまに上手く行きますが、簡単じゃありません。
突き抜けて個性のある画風
生成AIのイラスト出力に関しては、Loraという技術である程度画風の学習はできるものの、結局元のモデルに引きずられてしまうようなところも有りおもったほど思い通りにはならないものです。
エロマンガを作っていて、売れている作家さんの表現力には到底及ばないな~、と感じる部分が多いです。
細かい指定
例えばですけれども「髪が銀色で肌は緑色。前髪は左右非対称で右前前方に髪を垂らしており、瞳の色は左は赤右は青、太眉で垂れ目で服装は左が緑で右が黄色のクレイジーパターンで・・・」みたいな情報量の多いキャラクターを生成AIは出力することが出来ません。
これが複数人となると、さらに絶望的。
そもそも「指定すら効いてない」が頻繁に起こる世界ですし、その指示を通すために皆四苦八苦しているのが現状です。
【重要】学習データに含まれていないこと全部出来ません
そもそも大量の画像を学習しているとは言え、全知全能ってことはなくてやはり学習データにはかなりの偏りが有ると思います。
要するに生成AI画像というのは「学習していないもの」に関しては出力が出来ないのです。
なので「誰かの頭の中にあるビジョン」を完全に再現することはまだまだ出来ません。
もちろん私のスタンスとしては「頭の中のビジョン」を生成AIにやってもらおうと想っていますけれども、しかしそれが簡単かどうかというと現状は「絵の練習すっか!」くらいに想っちゃうこともあるので、そう簡単では無いのです。
結論:たかがAI、されどAI。取越苦労は辞めませんか?
正直なところ、生成AIは凄いような大した事ないような、まだそんな感じです。
しかし、実態を知らなければ必要以上に恐れてしまったり、必要以上に悪意を持ってしまったり、必要以上に軽視してしまう可能性があります。
生成AIはまだまだ成長途中の技術では有るものの、いきなり「絵師さん不要の世界」に突入するかってえとそうは問屋は卸さねえ、みたいな状況です。
そもそもAI生成画像というのは「誰かの作品を学習したデータ」を元にしておりますので、手で絵が書ける皆さんからすると不快感を払拭することは難しいでしょう。
がしかし、問題となるのはこの技術がすでに「生まれてしまった」ということであり、なんらかの形でお付き合いしていくなり、完全拒絶するなりするにしても、やはり「実態を知る」ということは必要なんじゃないのかな、と思うのであります。
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