タマネギ属わたしの生き方
人は、タマネギ属とアボカド属に分けられる。
アボカド属には硬い硬い種がある。つまるところ、自分なりのこだわり、ブレない軸、確固たる価値観の持ち主である。
タマネギ属にはそれがない。剥いても剥いても核は現れない。核を見せろ!と剥かれ続けたら、ついには消滅してしまう生き物である。
わたしは根っからのタマネギで、人の意見に左右されやすい。人の反応を見て、自分の言動を変えるのは反射のようなもので、防衛本能のように擦り込まれている。
よく言えば、素直。
悪く言えば、自分がない。
よく言えば、世渡り上手。
悪く言えば、八方美人。
よく言えば、広く浅く。
悪く言えば、器用貧乏。
まぁ、何事も一長一短、こんなものだろう。
思えば子どもの頃から、何かに熱中するとか、物事にハマるか、そんな現象はあまりなかった。
各教科を平均点以上取ることはできても、テストヤマカンの良さの賜物であって、"大好き"と言えるほどの教科はなかった。
学びを突き詰めるほどの興味関心が沸かない。
それなりの流行に身を任せ、トレンドのファッションに身を包んだり、テレビからよく流れるアーティストの音楽を嗜んだりした。
ただ、誰かに勧めたいほどの推しはいなかった。
圧倒的熱量をもって何かを好きと叫べるひとが羨ましく、それを見つけられない自分を卑下したこともあった。
でも、ま、それがわたし。
いいじゃん、タマネギで。
タマネギはタマネギなりの戦略をもって生きてくのよ。
1. 「柔軟性」を武器にする
タマネギには芯がない。だからこそ、変わりゆく環境に馴染みやすいのが強みだと思う。
剥けば剥くほど新しい層が現れるタマネギのように、いろんな仕事や人間関係に対応できる柔軟さを活かしていきたい。
これからの時代、何が起きるか分からない中で、固定された価値観にしがみつかない方がむしろ強い。
あえて専門性にこだわらず、広くいろんなことに挑戦して、経験の幅を広げるスタンスでいこうと思う。
2. 「共感力」を強みにする
タマネギ属は、自分の核がない分、他人の意見や感情に敏感である。言い換えれば、それは「共感力」ともいえるかもしれない。
相手に合わせて自分の言動を変えられるのは、時として相手に安心感を与えるし、場をスムーズにする。仕事でも、人と関わる場面が多い業種や職種(営業、人事、接客など)では、この共感力が大いに役立つ。
人の話をしっかり聞いて、相手のニーズに応じた対応ができるのは、一見器用貧乏に見えるこの特性の強みだと思う。
3. 「選択と集中」で方向性をつくる
広く浅く色んなことを試してきたからこそ、あえて「選択と集中」を意識してみようと思う。
タマネギのように剥かれていくうちに「これだ!」と思えるものが見つかったら、それに集中してみる。
それまでは、いろんなことにトライして、自分の興味関心を探っていく。その中で「これなら長く続けられそう」と思えるものがあれば、そこに力を注ぐ。
自分の中で「選ぶ」という意識を持つことで、少しずつ自分なりの軸ができていくんじゃないかと思っている。
タマネギはタマネギなりに、少しずつでも自分のペースで成長していけばいい。
そうやって、広く浅くの特性を活かして、適応力のある柔軟な生き方を貫いていくのも悪くないんじゃないかと思う。