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シンパシーとエンパシー
『君はどう生きるか』感想日記
最近この本を手に取る機会があり、教育現場で考えるべきことが多く詰まっていると感じました。そこで、本書から得た気づきや感想を少しずつ書き綴っています。
第3弾となる今回は、「シンパシー」と「エンパシー」について考えてみます。
シンパシーとエンパシー
著書の中で登場する言葉。「エンパシー」と「シンパシー」。
「シンパシー(sympathy)」は聞き馴染みあるかとは思います。他人の苦しみや不幸に対して「かわいそうに」と感じたり、支えたいと思ったりする感情。相手の気持ちを完全に共有するわけではありませんが、理解しようとする姿勢が含まれます。
それに対して「エンパシー (empathy)」は、他人の感情や状況を自分のことのように理解し、感じ取ること。例えば、友人が悲しんでいるときにその気持ちを理解し、自分もその感情を共有するような状態です。
シンパシーは相手の感情に対して「外側から寄り添う」ニュアンスが強いのに対し、エンパシーは「より内面的に感情を共有する」ニュアンスがあります。
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本書ではエンパシーの重要性に焦点が当てられています。その一例として、被災地への「折り鶴」にまつわるエピソードが紹介されています。
被災地に送られてくるもので,一番困るのは何か知っていますか?
「折り鶴」なんです。同情とかおもいやりの象徴ですよね。折り紙で鶴を折りながら,被災地の復興を祈る。それはとても素晴らしいことです。でも,送られた人たちにとって,今必要なのは,水や食料や新しい衣服であって「折り鶴」じゃないんです。
なおかつ,たくさん送られてきたら,折り鶴を置く場所にも困ってしまう。捨てたりしたら,大問題になるでしょうからね。「被災地を心配する人々の心を捨てるのか!」なんて炎上しそうですよね。
教育で求められるのはシンパシー?エンパシー?
教育現場でシンパシーを持つことは大切ですが、それと同等に、いやそれ以上にエンパシーの力を育むことが必要だと感じます。特に、SNSが普及し、相手の顔が見えない状況でのやりとりが増える現代社会では、エンパシーの力がますます重要になっています。
例えば、SNSでは白か黒、0か100といった極端な判断が好まれる傾向があります。(この年末年始期間、TLそんな感じだったのでは?)しかし、そんな環境だからこそ、「相手はどのような思いを持っているのか」を推測し、自分の発言や行動を省みる力が必要です。
子どもたちにこの力を育てるには、まず教師や親が実践することが第一歩です。日常の小さな場面から、エンパシーを意識して行動することが、子どもたちに自然と伝わるのではないでしょうか。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。