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(編集版)秋田県南部採取録 由利本荘市でのキタカブリ~コアオマイマイの色彩変化についての観察

由利本荘市沿岸部での採取記録

由利本荘市は2005年(平成17年)3月に本荘市と由利郡の7つの町が合併して誕生している県内最大の面積のエリアです。

今回は前回の山間部での採取記録とは異なる平地での採取記録を報告します。

採取環境

由利本荘市の某所の林へ到着。
ぽつぽつと枯れた松を発見。

枯れた松が見える

近づいて樹皮をめくってみると・・・。

キタカブリ~コアオマイマイ移行地帯

この環境では1本の松から1匹程度。
その後、場所を移動して近隣の松林へ移動。

樹皮がはがれた立ち枯れを発見

散策を続けていると枯れ松を複数見つけました。
林の奥などにも入りましたがやはり1本の木から1匹程度。
この調子で5匹ほど採取しました。(1匹は譲渡)

キタカブリとコアオマイマイの境界線について検証

写真の位置と採取場所は一致しません(産地特定防止のため)

秋田のマイマイに詳しい方からはある地域を境に色彩変化が始まるという話を聞きました。

このある地域を仮に「基準A」とします。

基準Aよりも南に行くとコアオマイマイへ移行カラーが出始めるということでした。

今回は自分の少ない採取実績やいただき物のサンプルを交えてブログネタとして検証をしてみることにしました。

由利本荘市 産地A(基準Aより北)

由利本荘市産地A:キタカブリ

こちらは「基準A」よりも北側で採取したキタカブリです。
典型的な美しいキタカブリで明るい緑のエリトラ、明るいメタリックピンクの前胸背板が特徴的です。

由利本荘市 産地B-1(基準Aより南)

由利本荘市産地B:キタカブリ~コアオマイマイ(移行地帯)-No.1

こちらは「基準A」よりも南側で採取したキタカブリです。
キタカブリの明るい緑のエリトラとは異なりやや黒みを帯びています。
やや前胸背板もメタリックピンクよりも落ち着いた色味です。

由利本荘市産地B:キタカブリ~コアオマイマイ(移行地帯)-No.2

このマイマイは産地B-N0.1のマイマイから500mほど離れた松林で採取した個体です。前胸背板は青、紫と入り混じったダイナミックなカラーです。
エリトラはグリーンに近くキタカブリの特徴でもあります。
県北部でもこのような前胸背板の個体が採取できますが、エリトラのグリーンはもっと明るく発色しているイメージです。

由利本荘市産地B:キタカブリ~コアオマイマイ(移行地帯)-No.3

こちらの個体はコアオマイマイの特徴が出ているように見えます。
エリトラはやや黒みがあり前胸背板も暗めの紫です。

変化はグラデーション上に進む

秋田県南部のキタカブリ~コアオマイマイはグラデーション上に変化するということを資料などで見聞きしています。
少ない個体ですが移行地帯エリアで複数採取しただけでも、色味のグラデーションによる変化を観察することができたように思えます。

移行地帯のマイマイカブリ

宮城県のコアオマイマイと比較してみると、産地Bの個体は私が聞いていた話のとおり、基準Aより南側でありコアオマイマイに近い色味のように思えます。

由利本荘市と宮城県を比較

今後はサンプル数を増やしてグラデーションの様子などをより詳しく調べてみようと思います。

しかし、これはあくまで移行地帯ということであり基準Aより南でもキタカブリの特徴が強く出ているマイマイは存在しています。

鳥海山で採取したマイマイカブリ

鳥海山での採取個体では標高は異なるもののコアオマイマイ寄りの個体とキタカブリ寄りのマイマイの両方が採取されているようでした。
(左は自己採取、右はN様より提供いただきましたマイマイ)

マイマイの色味の変化はさらに観察を続けようと思います。





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