北区にマーブルとして要望を出しました
昨年12月に北区障害福祉課の教育センター長酒井氏に北区発達親の会マーブルとして正式に要望書を提出致しましたことをご報告いたします。「北区の支援級(知的・情緒)について」「移動支援の情報が得にくい件について」「北区における公立幼稚園の役割について」の3件です
【北区の支援級(情緒・知的)について】
◎北区の支援級・支援学校のデータ
総児童数:14,298人(536学級)
支援級:281人
うち知的級:38学級(281−24=約257人)
うち情緒級:3学級(約24人)
(※情緒級の人数は非公開のため1学級8人として計算)
●北区特別支援学校小学部:100人
(令和6年度のデータ)
◎北区の総児童数に対する支援級の必要人数
支援級:約429人
うち知的級:約215人
うち情緒級:約215人
(2021年度のレセプト情報・特定健診等情報データベースを用いた調査より5歳までに自閉症と診断される者が全国平均で人口の3%とされているのでそれを元に計算。そのうち半数以上を高機能自閉として計算)
【このデータから予想されること】
・知的級の115人と支援学校の100人で知的ありの自閉症の子どもに対応している
・残りの知的級の132人と情緒級24人で知的なしの自閉症に対応していると考えられるが理論値より59人足りない
・その足りない人数は巡回(特別支援教室)で対応している、とのことだが診断を受けておらず普通級に在籍している発達障害児が普通級の8.8%居るというデータがある→北区では約1233人
(文部科学省:通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果について.2022)
そのような診断がついていないが発達障害の傾向がある児童が週1回の通級を受けるのが効果的であり適当であると思われる
令和4年度の時点で北区の通級巡回指導に通っている生徒数は614人である
・実際に児童精神科で自閉症と診断を受けている児童は1歳半くらいから異常を感じ親が自主的に通院しておりIQの高さに関わらず自閉の症状が強く出ている児童である
自閉症の特徴で主に学生生活で障害となるのは他者との人間関係である。それを補うためには1クラス8人の情緒級に在籍することが必要である
現在就学相談で普通級相当と判断される
IQ85〜99の知的障害がないとされる自閉症児
IQ100以上の多動がある自閉症児
が普通級ではなく、二次障害や不登校にならないよう学べるような環境を整備することが必要であると考える
※これについては就学相談側の認識と現状が異なっており、上記の児童は知的級で受け入れているようである
※このグラフの実績値には自閉なしの知的障害、ダウン症なども含まれているので実際にはより多くの支援を必要とする児童が必要な支援を受けられていないと考えられる
【区への要望】
●就学相談担当職員の認識と特別支援の認識を統一し、正確な情報を利用者に提供して欲しい
●知的級は幅広いIQの児童が在籍しているので勉強の内容を個別に調整できる環境づくりをしてほしい
・知的級の半分を情緒自閉級にしてほしい
(教室を増やすことで教員を増やせるのでは?)
・交流を増やしてほしい(現状知的級では国語と算数以外は習熟度別になっておらず、他の教科への対応が不充分であると考える。)
・宿題の量や内容を工夫するなどしてほしい
・区の所属の作業療法士をもっと積極的にすすめてほしい
●支援級の教員の発達障害のへの理解を促してほしい(支援学校への実習や放課後等デイサービスへの訪問など)
●支援学校では知的と自閉でクラスが分かれており、勉強の内容は変わらず、自閉クラスのみソーシャルスキルトレーニングの時間が週2回ある。そちらの担当の先生に巡回・支援級の先生に講習をして頂くなどは可能ならしてほしい
●教員の人数を増やすかそれ以外のスタッフの雇用を検討してほしい(多動のある生徒だと8人に1人だと対応が難しいので)
●情緒級をこのまま高IQで自習出来が出来て多動がない子だけ受け入れるとしたら目的が分からないのですが、今後どのようにしていくつもりなのかの意見を伺いたい
●LD・ADHDの児童への対応が担任教師により大きく異なる事例が多いのでガイドラインを作ってほしい
【移動支援の情報が得にくい件について】
◎障害者福祉のしおり(令和6年度版)について
34ページに「円滑に外出できるよう、移動を支援します」の1行のみの記載
出来れば令和7年度版には問い合わせ先を書いて頂けると助かります。
※また、障害者福祉も大人も子ども、精神と身体では内容も異なるので冊子が分かりにくいとの意見もあります
◎北区のホームページの検索結果について
北区のホームページで「移動支援」と検索するといくつか候補が出ますが「移動支援事業」という利用者向けのページでは詳細がわかりにくく、「移動支援事業者の皆様へ」のページの下の方のに「移動支援事業のご案内」のPDFファイルがあり、そこまで見ないと詳細が分かりません
私は障害福祉課の方にご案内して頂きました
出来れば移動支援の検索ですぐそのページに行けるようにして頂けると助かります
また障害者福祉のしおりにこちらの内容を付け加えて頂ければより便利ではないかと考えます
◎交流会での保護者の声
移動支援は働いてらっしゃる方やきょうだい児がいる方を中心に利用したい方が多いにも関わらず、自分で調べてみても詳細が分からず利用しにくいと感じている方が多いようです
私も今回自分で問い合わせをしてみて必要な情報を得るために3時間ほどかかりました
平日にその時間を不確定なものに使うのが難しい保護者の方も多いかと思います
【北区における公立幼稚園の役割について】
令和元年10月1日から、幼児教育・保育の無償化(幼児教育無償化)として、3歳児から5歳児までの幼稚園、保育所・保育園、認定こども園などを利用する子どもの「基本の保育料」などが「無償化」されました
それに伴い公立幼稚園への入園希望者が減少し、北区ではもともと4施設あった公立幼稚園が現在では2施設に減りました
一見ニーズが減っているように見えますが公立幼稚園はとても重要な役割を果たしています。それは「発達障害など支援を必要とする幼児の受け皿」としての役割です
◎発達障害など支援が必要な幼児について
(特長)
・集団指示に従うことが出来ない
・多動や癇癪やこだわりにより周囲に合わせて動くことが困難である
・発達障害由来の手先の不器用さや運動発達の遅れがあるため製作や運動の活動のペースについていけない
・身辺自立に遅れがある(食事、排泄、着替えなど)
上記のような特長があるため、厚生労働省の定める幼稚園での職員配置である1学級あたり専任教諭1人 (1学級の幼児数は、35人以下が原則)では対応が難しいのが現状です
◎私立幼稚園と公立幼稚園の加配について
保護者からの児童発達支援の受給者証や療育手帳の提出により、私立幼稚園は補助金を受け取ることが出来ますが補助金を加配職員を雇うかどうかは幼稚園の裁量次第です
ですが公立幼稚園では個別の支援がが必要である旨を保護者が訴えることにより支援が必要な幼児3人につき1名の加配職員が派遣されます
また個別な配慮が必要と公立幼稚園の園長が判断した児童には一対一の加配職員を付けることが出来ます
◎個別の支援が必要な児童の受け入れ先
公立幼稚園が受け入れをすることが出来る児童の選考方法の文言が「わずかな手助け(日常生活上部分的な介助)があれば集団の中で他の幼児と一緒に園生活を送ることが出来る児童」となっていますが、実際には個別の支援を必要とする児童が多く在籍しています
障害が重い児童は保育園で受け入れていることが多いようですが、発達障害など支援を必要とする児童が支援を受けるためには平日に動ける大人の存在が必要になるため働くのが難しい保護者(主に母親)が多いのが現状です。そうすると働けないため保育園の利用が出来ません
※児童発達支援を受けるための手続き、定期面談、送迎などは平日の昼に行われることがほとんどであり、移動支援も北区では未就学児が使用するための要件が厳しいため
個別の配慮が必要なら療育園に行くべきでは?といった意見もあるかとは思いますが北区の療育園で週5日幼稚園のように利用できる児童発達支援は「さくらんぼ園みかん組」と「つみき第2」の2箇所しかありません。とても人気なので枠はすぐに埋まってしまいます。また、預かり時間が短かったり平日の保護者同伴必須のクラスや行事が多いので働きながらの利用は難しく、療育園の方が子どもに合っていると思いながらもその選択肢を取れない保護者も多いのが現状です
以上の事情により個別の支援が必要な児童も公立幼稚園が受け入れているというのが現状です
◎私立幼稚園の支援が必要な児童の受け入れについて
2024年10月の時点で助成金を多く受け取っている(=支援の必要な児童を多く受け入れている)私立幼稚園は北区の全私立幼稚園23園の中で以下の6園だそうです
赤羽幼稚園、聖母の騎士、飛鳥幼稚園、すずらん幼稚園、木内鳩の家幼稚園、飛鳥すみれ幼稚園
認定こども園が2つとも入っているのは保育園のように発達年齢に合わせた対応がしやすいためだと思われます。
または比較的勉強に力を入れているというよりはのびのびしているとの評判の園が多いように思います
私自身が体験したこと
・「子どもに発達障害があるのですが受け入れは可能でしょうか?」と問い合わせると電話の時点でほとんどの私立幼稚園から断られる
・実際に支援が必要な児童の受け入れを多くしている私立幼稚園でも障害への理解が不十分だったり、1クラスの人数が多いと目が届きにくくなり適切な支援がされない
・療育先では「発達障害と明言しないで入園する」ことを勧められる
保護者の会や知人から聞いたこと
・受け入れはしてもらったもののほとんど放置される(教室でずっとウロウロしているなど)
・年少で1年過ごしたあと幼稚園側から退園するよう圧がかけられる(と保護者が感じる)
例:登園を週1回に制限される、保護者の付き添いを求められるなど
・年少は私立幼稚園で過ごし、年中から公立幼稚園に転園する事例が多い
また発達障害への理解がないと「ただの我儘」と思われてしまい不適切に対応されてしまうことが多く感じます(厳しい声かけ、無理に集団に入れようとする、放置など)
中には私立幼稚園でとても手厚くしてもらったとの意見もありますが同じ幼稚園でも評価が異なるため担任の先生の裁量によるところが大きいように感じます
また一見集団に入っていても職員に手を引かれてその場に居るだけで主体性が育っていない場合もあります
【北区への要望】
・残った2つの公立幼稚園が「支援が必要な児童」の受け皿になっている現状を認識し、職員の人数を増やすなど配慮してほしい
(正職員の人數が少ない、加配の先生も経験が積めるよう正職員・または継続的に勤務出来る雇用形態が望ましい)
・「わずかな手助けがあれば園生活を過ごせる」という公立幼稚園の児童受け入れの選考方法の文言は現実的ではないので改訂が必要なのでは?と思うので検討してほしい
・入園人数が減っていることで公立幼稚園を減らさないでほしい
・遠くて公立幼稚園に通うのが現実的ではない、という支援が必要な児童の保護者が多いので園バスの導入を検討してほしい
・働いていない保護者でも公立幼稚園で延長保育を利用できるようにしてほしい、または働いていなくてもこども園への入園を許可してほしい(特にきょうだいが居る場合)
・私立幼稚園の加配担当の先生やそれ以外の先生方が支援が必要な児童への対処について学べる場を作ってほしい
(区が主催する講習会、加配の先生同士が悩みなどを相談できる場の提供など)
【要望書を提出することの意義】
酒井教育センター長は元保健師で発達障害についてもよく分かっていらっしゃる方とお見受けしました。要望書も真摯に受け止めてくださり今後どうしていくかの意見交換も出来て大変有意義な会合となりました。
個人情報の関係でこちらには載せていませんが何人かの匿名での意見も一緒に提出させて頂きました。
要望書を提出し、こちらの意見を公式に提出したという実績を残すことは今後の活動の布石になります。区政に意見を出したい方は是非マーブルの交流会などでご相談下さい