富士山になんて二度と登るか!ボケ!!…でもまた登りたいかも…前編(記録シリーズ)
なんか聞いたことにあるタイトルだな…インド?
富士山に登ることになった。
先日の高尾山はその前哨戦である。
https://note.com/kitahararirure/n/n0c43d0d1066b
「富士山に登ろう」と文学座の養成所時代からの友達、Aちゃんに誘われた時、正直まったくやる気はなかった。ただAちゃんとは山の因縁があった。それは、昔々、僕が高尾山に登ろうと言ったのに、バックれた(笑)という前科があったのである。まあ適当にのらりくらりとやり過ごしゃよかったんだけど、日本一だし霊山(?)だし、登ったことない奴にマウント取れるし(そもそも登ってない人ははなから価値を見出してないから無効なんだけど)、いつかは、くらいに……って今年かよ!
まあ、「今が生きていて一番若い」わけだし、ずるずる引き延ばしていて余計年取ってからの登山はキツかろう。面倒なことは若いうちに済ますに限る、と、めちゃくちゃネガティブかつ自分に言い聞かせるように出かけることに決めたのである。
ちなみに高尾山登山おわりの食べ放題の店で承諾しました。なるほど、食事会ってのは商談なのだなあ! そのまま山小屋予約され、レンタル山道具屋で揃えることも決まったのであった。すげースピード感。
というわけで富士山五号目まで車で。カレーなんか食べちゃって、敵に勝つ、ってんでカツカレーだったりしちゃって、これから先の長い道のりにビビりまくる気持ちを和らげようとするのであった。この時点で「空気が薄いかも……」とか言い出す始末。もうなんつーか、ポジティブな気持ちになれないんだってば! 以前読んだ西原理恵子さんの富士山登頂漫画は、面白く描かれていたけどけっこうなヘビーさ(だからこそ面白い)。武者震い起きるぜ。比較的登りやすいと評判の吉田ルートをひとまず歩き始めるが、六号目までは馬のウンポコがあたりかまわず! 途中まで馬でも移動できるんですよ。でも馬、そこらへんにぼこぼこ垂れ流しすぎい!
そしてわたしは心配していた。これから24時間、喫煙ができないことを。ヘビースモーカーの俺が耐えられるのか? 調べてみると、携帯灰皿あったら、周囲に気を遣いながらの喫煙は可、とのこと。だったらやれるかも。
みんながみんな六号目までは結構楽、と言っていたし、歌とか歌いながらのんきに歩く。山道具レンタル店で、杖2本借りたんだけど、「いるかな〜」と思ったが、超楽。
そのまま延々と続く七号目を歩き続けることに。いつまでたっても終わらない。途中でご飯をと山小屋でカップラーメンを。五百五十円。山値段である。学生の頃、京都の愛宕山に千日詣で登った時、頂上で桃の天然水が五百円した記憶が。ネットでトイレを利用するのにもお金を払うので百円玉をたくさん持っておくといいと言ってたけど、たしかに急なトイレで小銭がなかったらマジで惨劇である。
なんだか食い物の写真ばかりで申し訳ない感じになってますが。
さて、海外のみなさんが多い印象である。なぜ登る、目の前に山があるから、なのか? 富士山登山って、人気らしい。みんな元気。我々の方はヒイヒイ言ってる。
途中の山小屋近くでタバコを吸っている時に、バイトをしている若者と話す。人間関係悪いらしい(笑)。でもま、そうなるよね。下に行くこともなかなかできないしさ。風呂は週に一回という話を聞く。水は貴重なのだ。刑務所より入浴できないのか(つい最近松方弘樹の『刑務所』シリーズ観てたので)。「タバコを吸ってる人はいつでも酸欠状態なんで高山病にかかりにくいらしいっすよ」と言われる。たしかに。登る前に酸素缶買ったりしてびびっていたんだけど、まったくその兆候がない。むしろAちゃんはちょっと頭が痛いみたいでプシュープシューと吸いまくっている。
すっかり寒くなってきた。頂上なんて5度とからしい。服を重ね着しつつ、今晩泊まる山小屋へ。しかし足がだるい。Aちゃんが途中で止まり、「頭が真っ白になった」なんて言っている。頑張ろうぜ! そもそもなんで登ってるのかまったくわかんなくなってきたんだけど! ていうかやってるうちに初心って忘れるね! いや「ノリで」って感じだったから拠り所になんないんだけど! 山小屋に到着するたびに休んでいるんだけど、まだまだ先だ。
八時過ぎにやっとこさ到着。できるだけ上の方で宿泊した方が、頂上まで向かう時に楽、という計画だったわけだが、とにかく遠かった。あといくつ山小屋すぎたら着くんだよ! と思いながら、歩き続けた。もうすっかり寒い。
さあ飯だ、予想通りカレーだ!
八時はもうすでに消灯時間である。二時に起きて、御来光に向けて出発するのだ。
(つづく)