人前で話すということ
11月5日に、小説の書き方について話した。
僕の場合はキャラクター文芸の賞を受賞しているので、やっぱりキャラクターの作り方、だったりする。でも、実はキャラクター文芸だからって、キャラクターのことをつらつら語れるわけでもない。
そもそもが、小説にはたくさんの要素がある。キャラも大事だけれど、ストーリーだって、語りのムードだって、とにかく書き始めるまで、あるいは書きながら、さまざまなことを考える。
いただいた時間は一時間半なんだけれど、二時間の大ボリュームとなってしまった。一時間半経った時、帰られた方がいて、「も、申し訳ない!」と心の中で謝った。途中途中におもしろエピソードなど入れたくなるのです。いや、むしろ会場を沸かすことも考えなくてはならないのです! 芸人根性です!
これまでもたくさんの講演を聴きに行った。どの作家さんも、それぞれ独特で面白い。講演慣れされているんだろうな〜という方から、あまりされない、だからこそ興味深く面白い方までいろいろだ。
印象に残っているのは大沢在昌さん。デビューしてから『新宿鮫』が出版されるまでの流れはもう落語! 自虐! 最高であった。
京極夏彦さんもデビューのされ方が独特で面白い。講談社、原稿小包できたらビビるよな〜! 普通だったら開けもしないけど、いちおう開けるよな。そしてそこに大量の原稿。恐る恐る読んで面白かったら……僕が編集者だったら即電話するわ。普通じゃなさすぎるもん。
ふらっと会場に現れ人混みにまみれるように消えていかれた川上弘美さんも素敵でした。
というわけで、イベントが開催されていますと告知を見ると、時間さえあればコンサートを聴きにいくように、あるいはファンクラブのイベントのように(結局僕はファンなのだ。読んだことのある作家への興味、そして小説というジャンルにたいする、言いたかないけど愛みたいな)足を運ぶ。
なにはともあれ、人前で喋ることはわりと慣れているほうだ。昔五コマ×三日の授業、なんてやっていたので。
会の後の懇親会も四時間しゃべりっぱなし(お題はもちろん小説である)、そのあともSNSで交流ある人に誘われ二時間また喋り、合計八時間ずっとしゃべっていた。
まだまだいけるな。体力あるな。というか「しゃべりたいことたくさんあるんだな」と自分に呆れた。
話の内容は、来てくださったみなさんのためのものなのでここでは書きませんけど、しゃべりながらわかることだってあるなあ、と発見しました。あ、僕ってこういうところを書く上で気をつけていたのか、とか。まさに書きながらわかってくる感覚だ。しかし小説よりもスピード感あり、対面しているみなさんのリアクションあり、どんどんとボルテージは上がっていくわけです。少人数での開催だったので、一番後ろの人の顔もわかるくらいに。
最近は人と接することがあまりなかったので(笑)、もう三年は人前に出なくていいや、と思ったくらいだ。いや、嘘だ。自分はまだまだ語り足りない。なんということでしょう。でも、多少は役に立つと自負していますので大目に見てもらいたい。
会の前日に、レジュメを作りながら(旅先で!)、語ってくださいと言われたら、もう溢れんばかり言いたいことあるな、と思った。
ネットに書くのは別に誰にも頼まれていないの気楽だけれど、読んでもらえているのか、向こうの読者が見えないのがちょっとね。今回は聞いている人全員が目の前にいますからね。これ深夜のファミレスで偉そうに語るのとはやっぱり全然違います。当たり前ですが。
来てくださったみなさん、開催してくださったU先生(師匠なのであくまで先生呼び)、ありがとうございました。
このまま消えちゃったら、来て損したってなると申し訳ないから、細々とながら、小説を書き、本を出していこうと思う次第です。