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現金比率は平時に整えてないと手遅れです

今回は投資の際にどのくらいのキャッシュポジションを持っておくのが適切なのか、について考察したいと思います。これは地味で需要も低そうなテーマですが、実は私はかなり重視しているポイントです。

【投稿した人】
北原銀二
著書『
投資で「3億円FIRE」したぼくがすすめるたった2つのこと
ファイナンシャルプランナー
 

生活防衛以外の現金は0でよいが・・・

まず最初にお断りしておくと、理論的には常にフルポジション、つまり全額投資が最も効率的なのは様々なデータで明らかになっており、私もそれに異論はありません。

ただ人間とは心の弱い動物で、そういう知識があっても、いざ市場が暴落した場合、理論通り耐える事はかなり難しいでしょう。そこでそのような場面で冷静になれるためには、やはりキャッシュの存在は小さくないのです。

投資で最も重要なのは継続です。私などはそれを達成するためならある程度不合理な行動をしても良いと思ってるくらいです。なのでそれにはどの程度の現金があればいいのかを考察しようというのが主旨となります。

また、今回は投資資金中の現金比率について述べますが、それとは別に生活防衛資金は当然必要になります。理由は自分や家族の病気やケガ、失業、地震・台風・水害などの自然災害、火事や事故など万一に備えるためで、生活費の半年~1年分が一つの目安になります。

0か100でなくバランスが大事

さて、では本題に入るとして、現金は持てば持つほど心に余裕ができ、冷静な判断ができるのは当たり前なのですが、だからと言って投資可能な金額の半分も現金で持っていてはいけません。

私はこれでミスして資産増加に大ダメージを受けたのは拙著でも述べた通りです。これをミスると資本主義の仕組みから置いてけぼりになってしまいますので絶対に避けなくてはなりません。

つまり求めたいのは暴落しても心の平穏が保て、かつ資本主義から置いてけぼりにならずに済むという、絶妙にバランスするポイントという事になります。もちろんこれは各人の背負い込んでいるものによって変わってくるので、若い独身者と40代の家庭持ちで当然大きな差が生まれます。

現金比率の決定方法

そこで今回は共通に使える私の意見を紹介したいと思います。
その意見とはズバリ、仮に暴落(たとえば米株なら株で30%+為替で20%)で大やられしたとして、その時にどの程度キャッシュポジションがあれば自分が冷静でいられるかを思考実験してみる事です。

そう考えてもし「株が暴落しても、暴落した株と同じくらい現金があればまあ耐えられるかな・・・」と思えたなら、ここから逆算していくことで現在どのくらいキャッシュを持つべきかわかります。

この場合ですと、株で30%+為替で20%やられた後なので、ざっくりリスク資産は最初の半分強になっているはずですから、今持ってる株の半額と同量の現金を最初から持っておけば良いわけです。

これを計算すると平時では1/3を現金、株で2/3を持っておけば良い事になります。この状況で株が半額になると株は最初の総資産額に対して1/3の量に減る一方、現金は変わりませんので自動的に現金比率は上がり、暴落後のキャッシュポジションは50%になっているでしょう。
このように自分のリスク許容度に応じて最適な現金量を平時に考えておきます。

残した現金が輝く瞬間

そしてもし本当に暴落が来た場合、市場は買い手不在で退場者続出の阿鼻叫喚となっていることと思いますが、この時この現金を持っている人だけに、これをどう使おうかと攻めの姿勢で考える権利が与えられます。
この、他の市場参加者に対する心理的なアドバンテージは侮れません。このような他人が恐怖に怯えきっている時に建てたポジションは、後々大きなお宝ポジションになる可能性が極めて高いのです。私などはこれだけで此処まで来たと言っても過言でない程です。

勿論相場ですから、ここで突っ込んで買った株がさらに下がり続けることはあります。いや、あるというか、実はほとんどの場合そうなるのですが、元々株で30%+為替で20%やられた後から建てたポジションですので、これは相当安いため傷は浅いし、一旦底打ちし戻しに入ると本当に一瞬で含み益になります。

ここはそうなると信じて耐えるしかないのですが、そもそも逆にこれが出来ない人は株でプラスにするのは難しいでしょう。ここでは生活防衛資金はあるから大丈夫、と自分に言い聞かせて耐えるしかありません。

それでも不安なら生活防衛資金をもっと多く確保しておくという手もあります。私などは7年分も確保していて、我ながらこんなに要らないんじゃないかと思いますが、このレベルになると暴落後に株価が落ち着くどころか、次の景気拡大サイクルに突入し、あわよくば最高値更新までも狙える範囲なので、もはや株が下がって慌てる事はありません。

もっともここまで大量に生活防衛資金を確保するのは一般的には難しいでしょう。でも少し多めの2年分くらいあれば、ほぼ同じ安心効果は得られるんじゃないでしょうか。

余談ですが私はコロナショック時にはまだ会社員だったので、生活防衛費は手元になくても退職金があるからいいや、とこじ付けて生活防衛費も含め急遽手持ち現金をほぼ全ツッコミしてしまいました。無謀に思えるかもしれませんが、大きく資産を増やすには、やはりどうしてもここぞと言う場面では大きなリスクをとった勝負は必要です。その当時の詳細は著書に書きましたのでもしご興味がありましたらご覧ください。

という事でキャッシュポジションについてはこんな感じで投資用と生活防衛用を考えてみてはいかがでしょうか。

バフェットの直近の現金比率

なお、昨今ウォーレンバフェットのバークシャーハサウェイがさまざまな株を売って現金比率を高めているとニュースになっています。

直近の報道によるとバークシャーの現金と米短期債保有額を合計した手元資金は6月末時点で2769億ドルに達し過去最高となっています。これはバークシャーの最低300億ドルの現金を保有するという方針からすると、現在非常に大きなキャッシュを保有して次のチャンスを待っていることになります。

また、最新のWarren Buffett 13F Portfolioによるとポートフォリオ総額は2800億ドル程度のようです。もし手持ち現金同等物に変化ないと仮定し、ここから先の300億ドルを除いた2400億ドル強を株投資可能分と見積もれば、ある意味現金比率は45%以上ということもできそうです。(実際には13F以外の投資もあるので、もう少し低くなるとみられます)

まとめ

では今回のまとめです。

  1. 暴落時に慌てないためには、いざそうなった場合にどのような現金比率になるのか平時からシミュレーションして想定しておく

  2. 暴落時にはリスク資産は減少するが現金はそのままなので、自動的に現金比率は上がる。これを見越して平時にキャッシュ量を調節する

今回の記事は以上になります。ではまた次回の記事で!

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