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我流投資する時にやるべきこと

”ログブックに偽りを書くことは、それを口に出して言うよりも難しい。なぜなら書くということは、目はそれを見るし、指がそれを感じるからだ”

今回は、

誰も知らないオリジナルの投資手法で大儲けしたい・・・!

と意気込んだときに一度落ち着いて考たほうがよいことの話です。

【投稿した人】
北原銀二
著書『
投資で「3億円FIRE」したぼくがすすめるたった2つのこと
ファイナンシャルプランナー


人はなぜ我流で投資したがるのか

突然ですが、最近ふと思ったのが料理と投資は似ているんじゃないかと言うことです。

どういう事かといいますと、料理にはレシピというものがあって、この通り作れば大抵は誰でも美味しく作れますよと言うものなのですが、料理下手な人はなぜかそのベストプラクティスをあえて崩して自己流でやってしまうのです。

レシピを読むのが面倒なのか、あえて無視しているのか分かりませんが、材料や調味料の量を書いてある通りにしないのを始め、酷い人だと何でもかんでもニンニクやマヨネーズを入れたりします。

それでも十万回に一度くらいはレシピより美味しくなるかもしれませんが、大抵は逆に働きます。しかもそういう人に限って、まずくした原因を作ったのは自分なのに「この料理はまずかった」などと他責にしたりします。

そもそも一般的な家庭料理はもとより、食品メーカーの商品外箱に書いてあるレシピは、その道の経験豊富な担当者が自分で何度も試し、試食会を開いて多くの人の意見を集め「これが最も多くの人に受け入れられる」という最適解を苦労して見つけたもののはずです。

そしてこれが正解だという所までやっときたと思ったら、全然関係ない変な上司が登場して「ぼくは意見を聞かれてないよ。認めないよ」などと言い出し、うわぁメンドクセェ…と思いながらも、それもなんとかねじ伏せ、やっと消費者の目に触れるモノになるのです。

私なんかはそこまでいらん想像をしちゃうので、スーパーでカレールーの外箱のレシピを見るだけで目頭が熱くなってしまいます。

これはつまり、料理下手な人はそういった他人の努力に考えが及ばないため、いきなり勝手にアレンジを加えて台無しにしてしまっていることに気づいていないのです。

言い換えれば、

プロの仕事に対するリスペクトが足りない、もしくは自分のこれまでの仕事でそういったものに触れていないのでそもそも知らない

ということです。

もちろん、各家庭それぞれに家庭の味と言うものは存在しますが、それは最初はレシピ通りに作って、もうちょっと味が濃いほうがいいとか、そういうその家族の好みに合わせて少しずつ後から改良していくもののはずです。

それならまずはレシピ通りに作らないと標準がどこにあるのかさえ分かりませんし、それではそのレシピ自体の評価もできないというものです。

これが私はとても投資と似てると思っていて、投資にもインデックス投資と言うレシピがあるんですが、とにかく早く金持ちになりたいと言う欲求が勝ってしまっていきなり変な方向に行ってしまう人が後を絶ちません。

我流で投資する際にやるべきこと

もちろん、中には個別株や先物の空売りをやったほうが圧倒的に良い成績が残せる才能を持っている人はいます。しかしその確率は多く見積もっても1%位じゃないでしょうか?すみませんがほとんどの人はそんな才能はありません。

というか超優秀なアメリカの大学を出て仕事時間のすべてを投資に捧げているプロでさえ、インデックス以上の利益を取りに行こうとしてインデックスに負けまくるのです。

なのに、なんで仕事が終わってからちょっとパソコンを開く程度の投資のド素人が、そんな秀才達に勝てると思うんでしょうか?

そして料理の場合は失敗してもさすがに100回も繰り返せば「あぁ、最初から書いてある通りに作ればよかった」と大抵の人は気がつくはずです。それにかかる時間も1年もないでしょう。

しかし、投資でそれをやるのは一回のトライ&エラーが異常に長い、という致命的なデメリットがあります。

これが何より一番マズい。圧倒的にマズい。

どのぐらい長いのかと言うと、1回の景気循環を経験するだけで軽く10年以上はかかるので100回もそれを繰り返しては1000年もかかってしまいます。これでは人生がいくつあっても足りません。

なので私はどうしてもチャレンジがしたいのであれば、まずはベストプラクティスであるインデックスをやりながら、その傍で個別株やトレードにチャレンジしてはどうですか、とお勧めしたいです。

そして10年くらい経った後、どちらの方が成績が良かったかをちゃんと比べて、もしチャレンジした方が良ければその時初めてそうすれば良いのです。

まあ100人中99人はインデックスに負けると思いますが・・・(私もタイパ含めるとそうでした)。

まずは巨人の肩にのろう

もちろん何事でもチャレンジすることは素晴らしい事ですし、その意気込みがあるだけで自分がその例外的な1%の人物である可能性は格段に高くなるのですが、それでもインデックスと並行してやって保険を掛けておいたほうが良いのでは、という事です。

そもそも学問など一般的な勉強において、まずは先人の築き上げたものをマスターしてからその先を自分で研究する、ということは当たり前に行われていますが、料理や投資と言うのは1+1は2といった、唯一無二の正解が無いせいか、ついつい「自分はもっとうまくできるはず」という夢を見がちなんでしょうね。

このようなことを言い表した「私たちは巨人の肩の上に乗る小人のようなものだ」という言葉があります。

あのバフェットでさえ最初は巨人グレアムの言う通りにやって、その肩の上から考えを発展させて今があるわけです。ならば私達レベルの人間ならなおさら「まずは巨人の肩の上までのよじ登る」ことを資産形成の上では優先すべきでしょう。

なお、もし「10年」やってインデックスに勝てたなら間違いなく例外的なホンモノです。その場合はインデックスなんかやらず、ひたすらそのジャンルを突き詰めるべきでしょう。
逆に負けたなら、潔く諦めたほうが良いと思います。
その判断をするために、投資成績は記録、記録、記録していくのです。

そうしていくと、冒頭の格言は「ゆるぎない自信」か、もしくは「残酷な宣告」のどちらかになるはずです。

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