長期投資旅の重要サイクル① ~覇権国の栄枯盛衰~
長期投資で重要な2つのサイクルについての話です。このサイクルを意識するかどうかで、もしかすると買うつもりだった投資対象を逆に売る気に変わるかもしれません。私はそのくらい重要なサイクルと認識しています。
【投稿した人】
北原銀二
著書『投資で「3億円FIRE」したぼくがすすめるたった2つのこと』
ファイナンシャルプランナー
なぜサイクルが重要なのか
長期投資において「今、自分が超長期の周期中のどの位置にいるのか」という事を意識するのは重要と思っています。
資産を増やしたい(=上に行きたい)なら絶対に登りエスカレーターに乗るべきですし、理想的にはさらに足で階段も登って倍の速度で上に行きたいものです。そのためには常に上り調子の場所に身を置く必要があるからです。
ついでに(本物のエスカレーターでは歩いてはいけませんが)登りエスカレーターなら途中で転んでも(投資で多少の失敗があっても)痛がっている間にも自動的に上に行きますので資産を増やす上では保険にもなるでしょう。
もし、これの逆をやっていたら大変なことになるのは想像に難くありません。
さて、具体的に投資にどうこの考え方を生かすかと言えば、例えばテクニカル投資ではまず1番最初に見るチャートは最も期間の長いものが良いと言われています。
これは、最もトレンドが分かりやすいのが長期チャートであって、期間が短くなるに従ってランダムウォークに近くなるからです。
見られる最大スパンのチャートを見た後、自分が主戦場とする週足なり、日足なりのチャートを見て自分の位置を確認するのがお勧めです。これを怠ると「木を見て森を見ず」という諺どおりとなってしまいます。
株式の長期投資においても長期チャートを確認する事はもちろん重要です。しかし、私はこれに加え、もう少し違う図も意識しています。今回はこれについて2回に分けて書いていきたいと思います。
1周期500年!の超長期サイクル
まず最初はレイ・ダリオが提唱するビッグサイクル論というもので覇権国の栄枯盛衰を表した図です。
これは1周期が500年にも及ぶ長大な期間となっており、それぞれの段階で社会がどのようになっているかを表したものです。
ざっくり説明すると覇権国は前の戦争に勝った後、教育や工業に注力し国内の経済力・軍事力を増していきます。結果としてその覇権国の通貨が準備通貨となります。
しかし繁栄は無限ではありません。そのやり方を真似てキャッチアップしてきた他国との競争や豊かになった国民の労働意欲の低下により、だんだんと借入に頼りがちになります。
それは結果的に金融バブルと崩壊を起こし、国内の景気悪化、国民の格差拡大につながります。そうして内部での不満が高まると、それをカバーするのに覇権国は必ずと言ってよいほどさらにお金を擦りまくります。
いよいよそれが限界に達すると、内紛が起き衰退が加速するのですが、そんなドタバタを傍から力を蓄えていた他国は見逃すはずはありません。ここぞとばかりに戦争をしかけられ新しいビッグサイクルが始まるという流れです。
このサイクル中では当然ですが上り調子の時の方が株価には大きくプラスとなります。従ってこの状態の覇権国へ投資をすることが最も資産の増加としては効率的であると言えます。
ただ図で誤解してほしくないのはピーク後も株価の上がるペースが遅くなるだけで下がるわけではありません。
なお、レイ・ダリオによると現在の覇権国アメリカはこの図の13段階にいると述べています。
サイクルを投資戦略に生かす
以下は私の考えですが、私もサイクル的には現在そのあたりかなと思います。つまりアメリカの覇権も終盤に差し掛かっていると考えています。
ということで好調な米国株の賞味期限も長期的にもあまり残されていないと思いますが、そうは言っても元のスパンがあまりに長大なので、現在の「アメリカ資本主義ダンスフェスティバル」はあと50年くらいは開催されそうです。
であればまだ暫くは踊ればよいですし、おそらく私の年齢なら死ぬまで踊っていてもよさそうです。
なお、次は中国のビッグサイクルが一番人気ですが大穴としてインドかもしれませんし、それはわかりませんので逐一ウォッチを続けています。
それにしても、もそも社会制度として株投資を良しとしない国が覇権国になれば、その時はパソコンで言えばOSが変わるようなものなので根底から考え方を変える必要があるでしょう。
ところで私は一つ思う所があって、次の覇権交代はこれまでのように戦争によって入れ替わるとは思っていません。
歴史は繰り返すものですし、投資においても「今回は違う」たいてい間違っていますが、それでもあえて「今回は違う」と言いたいです。それは核兵器によって80年前に世界は変わってしまったからです。
今、地球上に核ミサイルを発射できる人物は何人かいて、そのうちの誰か1人が気が狂ってボタンを押してしまったら全て終わりなのですが、私はロシアにもアメリカにも中国にも北朝鮮にも頭の良い人がいて、そうならない仕組みが既に実装されていると思うからです。
ひょっとすると外部に出てきていないだけで、すでに極秘でバグ等によりミサイル発射条件が揃うといったシステム事故は過去にあったかもしれない。
そんな時でも、最後は人間が止めたのかも・・・などというドラマを妄想すると胸アツですね。だれかそんなストーリーのNetfrix映画作ってくれないかなw面白そう。
それはさておき、まあ今後は現在のように数人の要人に全人類の運命を任せるより、AIに任せたほうが安全かもしれません。どんな頭のいい人でも歳をとればボケてきますからね。ボケた人間と暴走したAIどちらが危険か・・・まるで手塚治虫の「火の鳥」の世界のようです。
まとめ
今回はここまです。まとめると覇権国の栄枯盛衰はこれまで何度も同じパターンで繰り返されており、今まさにその歴史をなぞろうとしています。
私たち投資家は自分がそのサイクル中のどこにいるのかを見極め、投資戦略を立てていくことが大事だと言うことです。
次回はもう少し短いスパンの話について考えたいと思います。
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