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ピロリ菌除菌日記
先日、私はピロリ菌の除菌に成功しました。今回は若者の感染率は非常に低いとされるピロリ菌に、20代のワタシが感染発覚し除菌するまでの体験談についてお話しようと思います。
ピロリ菌とは
ピロリ菌というのをご存知でしょうか?正式名所はヘリコバクター・ピロリ。胃や十二指腸に住み着き、胃がんや胃潰瘍、十二指腸潰瘍の原因のほとんどはこのピロリ菌が原因とされています。逆に言えば、ピロリ菌を持っていない人はこれらの病気になるリスクはほとんどないと言えます。日本人のピロリ菌感染者数は、文献にもよりますが、約3000万人と言われていますので、約4人に1人が感染しているということになります[1]。
胃がんの原因にもなるこの恐ろしいピロリ菌ですが、近年は感染者数は減少傾向にあります。
こちらは日本人の年代別のピロリ菌保有率の推移です[2]。いずれの年代も時代とともに感染者数は大幅に減少しています。60代に関して言えば1970年代においては約9割が感染していますが、2010年代には5割以下まで低下しています。また現代の10代~30代の感染率は10%程度と、昔に比べ格段に少なくなっています。(私は10%のレアくじを引いたってわけですね。)
この主な要因としては、近年の水質改善が挙げられます。ピロリ菌は、5歳までの幼少期に、ピロリ菌で汚染された水や、感染した親からの口移しで食べ物を摂取することで感染するとされています。今でも高齢者の感染率が高いのは、ピロリ菌に感染し得る幼少期に、井戸水の利用など不衛生な環境で育ってきた人が多いことが原因と考えられています。
母の胃潰瘍・ピロリ菌の感染発覚
ここからは、私の体験談についてお話しようと思います。
約10年前、母が胃潰瘍を発症し、病院で検査を受けたところ、ピロリ菌の感染が発覚しました。確かに母の家系は胃がんで亡くなる人が多く、胃には弱い家系だと言われていました。
母が感染したときに、ピロリ菌の感染経路として幼少期の口移しがあると知りましたが、「アンタには口移しで物を与えたりしていないから大丈夫」と言われ、私自身も「そうなのか~」程度に思っていました。
母はピロリ菌が発覚してから、除菌治療(といっても薬を1週間飲み続けるだけ)を行い、見事除菌に成功しました。
突如現る、ダークマター
それから数年後、今から約3年ほど前、大学に入学し一人暮らしにも慣れ、いつものようにトイレで大を済ませ、流そうと思い便器の中に目を向けたところ。おや?う○こが黒いではありませんか。(急に下品ですみません。。。)黒と言っても、赤褐色みたいな色ではなく、本当に墨汁で色を付けたような、まるでダークマターのような真っ黒さです。う○こは体のバロメーターとも言います。不安になり、ネットで調べてみたところ、「胃がん・胃潰瘍」などのワードも出てきましたが、「鉄分を多く摂取すると黒くなることがある」とも書いてあり、おそらくそれだろうと思い、水に流しました(2つの意味で)。
しかし黒色便は1週間程度続き、さすがに1週間も同じ食生活はしていなかったので、近くの消化器内科で診てもらうことにしました。
そして血液検査を行った結果、ヘモグロビンの数値が10 g/dLと、男性の基準値(13.5~17.6)どころか女性の基準値(11.3~15.2)も下回っている事がわかり、胃で出血を起こしている可能性があるとのことで、胃カメラを飲むことになりました。(胃カメラがめちゃめちゃしんどかった話もしたいですが脱線するのでやめます)
胃カメラの結果、先生からは「十二指腸がただれていますね。また調子が悪くなったら来てください」とだけ言われ、帰されてしまいました。実際、胃カメラ当日には、黒色便も治っておりこのときにはほぼ回復していたんだと思います。
十二指腸潰瘍・ピロリ菌の感染発覚
そして、2021年8月。食後数時間後にきりきりと胃が痛むようになりました。それも1ヶ月程度続いたため、これはおかしいと思い、消化器内科(黒色便のときとは別の病院)を受診しました。この時点で、薄々自分はピロリ菌に感染しているのではないかと思っていました。先生には、数年前に黒色便が出たことや、母がピロリ菌に感染していたことも伝えたところ、「胃カメラ飲む?」と聞かれ、数年前の胃カメラを思い出しとっさにYESとは言えず、「じゃあ胃薬出しておくね。また調子が悪くなったらおいで。」と言われました。処方してもらった胃薬を飲むと、すぐに症状は改善し、現代医学の素晴らしさを実感しました。
しかしその約1ヶ月後、また胃痛が再発し、今度は覚悟を決め胃カメラに挑戦することを決意しました。
そして胃カメラの結果がこちら。
上二つが胃、下二つが十二指腸の写真です。胃の写真からは、胃の肌がボツボツと鳥肌のようになっていることがわかります。先生曰く、これはピロリ菌感染者の特徴だといいます。また十二指腸の写真からは、十二指腸潰瘍があることがわかり、また以前にも十二指腸潰瘍を発症していた痕があることもわかりました。(一ヶ月前の胃痛か3年前の黒色便の原因かはわかりませんが)
ピロリ菌があることを正式に判断するために血液検査も行い、ピロリ菌陽性であることがわかりました。また今回の胃痛では、黒色便は出ず、ヘモグロビンの数値も正常に戻っていました。長年の胃のトラブルの原因がようやくわかり、少しほっとした気持ちになりました。
ピロリ菌除菌
ピロリ菌陽性ということがわかり、早速除菌をすることにしました。
除菌には朝夕食後に3種類6錠ずつ1日計12錠の薬を一週間飲み続けます。副作用として、お腹がゆるくなったり、少し吐き気があったりすることがありました。それでも、これまでの胃痛・黒色便に比べればどうってことありません。
ちなみにこの除菌に失敗してしまうと、薬に耐性のついたピロリ菌になってしまうみたいなので、絶対に失敗しないようにこの一週間は生活習慣を改め、決まった時間に薬を飲むことを心がけました。
さようなら、全てのヘリコバクター・ピロリ。
ピロリ菌が除菌できているかどうか、約2ヶ月後に呼気検査があります。ピロリ菌は尿素をアンモニアに分解することができます。そのため尿素が含まれた検査薬を飲み息を吐くと、除菌に失敗しまだピロリ菌がいると呼気からアンモニアが検出され、成功しいなくなっているとアンモニアは検出されず、除菌に成功していることがわかります。
(まだ呼気検査を受けておらず、成功しているかどうかわからないので、結果が分かり次第、追記します。)
さいごに
私の年代でも約1割の人はピロリ菌に感染しています。私の場合は、おそらく幼少期に家族での食器の使い回しなどで母からピロリ菌が感染したのだと思います。
胃がんなどの病気の感染リスクを抑えるためにも、ピロリ菌を後世に伝えないためにも、胃痛などがあるときには積極的に消化器内科を受診し、若いうちにピロリ菌を除菌することを強くおすすめします。
参考文献
[1]【内科医監修】ピロリ菌検査で陽性だった時の対応。陰性結果でも注意必要。胃がん(胃癌)、胃潰瘍、胃炎の原因となるピロリ菌の症状、潜伏期間、予防法、検査方法について | 環境未来株式会社Accessed on 10/27/2021)
URL: https://kankyomirai.co.jp/pylori-kensa
[2]Kamada T, Haruma K, Ito M, Inoue K, Manabe N, Matsumoto H, Kusunoki H, Hata J, Yoshihara M, Sumii K, Akiyama T, Tanaka S, Shiotani A, Graham DY. Time Trends in Helicobacter pylori Infection and Atrophic Gastritis Over 40 Years in Japan. Helicobacter. 2015 Jun;20(3):192-8. doi: 10.1111/hel.12193. Epub 2015 Jan 7. PMID: 25581708; PMCID: PMC6905084.