【小規模事業者持続化補助金 低感染リスク型ビジネス枠】ぼくならこう書く【記載例】
小規模事業者持続化補助金 低感染リスク型ビジネス枠ですが、2021年よりはじまった、小規模事業者持続化補助金の特別枠となります。
2020年までは事業再開枠や、コロナ枠が別でありましたが、「低感染リスク型ビジネス枠」はより具体的に「接触機会減少」になるための事業を小規模事業者が行う場合、申請できる補助金です。
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採択率は50%弱
過去2回のこの補助金の採択率ですが、1回目が約44.8%、2回目が約52.5%となっております。平均して約49.2%です。
約半数が採択されています。
昨年の特別枠の採択率が序盤かなり高かったこともあり、一見低く感じますが、まぁ、補助金という制度のこれまでの採択率から考えると、だいたい高めのような気もします。
小規模事業者持続化補助金はもともと競争率が高い補助金でしたから、ワタクシとしてはちょっと高めに感じております。
低感染リスク型ビジネス枠の申請について
スケジュールですが、10月現在、このようになっております。
申請は全てオンラインでの申請です。
オンライン申請のためにgBizIDプライムの発行手続きが必要です。申請から発効までに1週間~10日かかります。
その他、詳しい内容は小規模事業者持続化補助金 低感染リスク型ビジネス枠のホームページから公募要領・よくある質問などをダウンロードしてお読みください。
申請書の準備
申請書はワードで作成し、ワードまたはPDFをシステムにアップロードして申請します。
まず、ホームページのこのページへ行き、必要書類をダウンロードしてください。
少なくとも、「公募要領」「申請書類の注意事項」「【申請補助資料】補助金額計算用補助資料」「様式1」は最初にダウンロードして精読をお願いします。
特に公募要領は重要なことがたくさん書いてありますので、しっかり読んでおいてください。
審査項目の確認
動画では、要件など諸注意事項もお話して本題に入るのが遅くなっていますが、こちらでは早速本題に入りましょうかね。
様式1の記入についてです。
採択に近づけるためには、しっかりと審査項目を押さえておくことです。
ちなみに審査項目は以下の通り
ア・・・必要な能力とは、実現可能性のある事業という事です。
イ・・・強みを活かした取り組みであるかという事
ウ・・・今回の要旨であり、本旨でその取り組みでコロナを乗り越えることが出来るか
エ・・・一般型と違うところです。新しい取り組みでの販路拡大の取組であることが必要です。
オ・・・アやイとも関わる事ですが、しっかり効果を想定し、自社の実現可能な取り組みで最大限の効果が出せるかを審査されます。
ということを踏まえて、書いてゆきましょう。
様式1の記載時の注意点
作成にあたっての注意事項がまず記載されておりますので、ここはしっかり読んでおきましょう。
<注意点1:合計最大5ページ以内>
経営計画と補助事業計画書は5ページ以内で記載します。意外とタイトな枚数ですが、こうした申請に慣れていない人でも申請しやすいようにとされている措置でもありますので(一番の目的は審査員のためなんでしょうが・・)、ここは守るようにしましょう。
<注意点2:ファイル形式はWordまたはPDF、サイズは3M>
オンライン申請の場合、得てして「PDF」だったわけですが、「Word」でも良くなりました。
また、3MB以内ですので、画像の入れすぎなどは注意しましょう。
<注意点3:フォントは「MS明朝」「Century」そしてサイズは11ポイント>
今までは「MSゴジック」の10.5ポイントが相場なんて言われていましたが、今回は「MS明朝」英数字は「Century」の11ポイントと明確に指定されています。まぁ、面倒です。
<注意点4:ファイル名は【事業者名】補助事業名>
例えば、「【きたごう行政書士事務所】オウンドサイトメディアを通じたオンラインシステム導入事業」といったようにファイル名を記載してください。
<注意点5:黄色の塗りつぶしは消してOK>
黄色の塗りつぶしとはここの部分です。何を書くかのナビですので消してよいとのことです。
申請者名
まずは自分の名前を書きます。
ここは5ページの対象範囲外です。
記載例はこの通り
当事務所は個人事業主ですので、本来は「屋号」と「代表者氏名」だけで大丈夫です。法人の場合は「代表者の役職・氏名」を上記のように記載してください。
経営計画
ここからが5ページ以内で記載する必要があります。経営計画と補助事業計画の配分ですが、特に指定もありませんが、ワタクシは経営計画2ページ、補助事業計画3ページで記載しております。
早速、書いてゆきましょう。
自社の概要、経営状況、特徴、サービスの概要、市場動向など書くように黄色でナビがあります。
それに沿って、目次で見やすくするために分けて記載例を見ていただこうと思います。
概要、経営状況
※ここで出している数字は、フィクションです。
ポイントとしては、概要では自社の簡単な沿革と業種などの簡単な自己紹介をすることです。
まず、はじめに「誰が」「何を」「どうしている」事業者なのかを説明します。
経営状況のポイントではできるだけ具体的・・というより実際の売上の数字を出して、表にして見やすく推移などを表してしまった方が良いでしょう。
ちなみに開業して間もない方は、月別の売上や年度末での売り上げ見込み。目標売上に対しての達成度などを書くと良いです。
ちなみに、緊急事態宣言による売上減少などがあった場合、かつ加点を受ける場合はしっかりとその旨を書くようにしてください。
提供商品、またはサービスなど
上記の記載例では文字だけで書いていますが、商品などが可視化できる場合は、画像をはさんでもいいかもしれません。
飲食店など、お店の看板メニューなど見てもらった方がわかりやすい場合もありますので。メニュー表を簡単に載せても良いと思います。
ポイントとしては、サービスなどに差別化の特徴がある場合は書くことです。この後でしっかり差別化ポイントを書くので、簡単でかまいませんが、商品やサービスが強みである場合は、強調してゆきましょう。
市場動向
まずは、どんな人をターゲットに商売をしているのか。
これを考えてゆきます。つまり「顧客」です。
そして、その顧客がどういった要望、求めているか。それから課題を見出します。
あまり顧客層の求めるニーズと関係ない事業はその後、事業化する事が難しく、審査においてマイナスになるので注意しましょう。
今回の小規模事業者持続化補助金 低感染リスク型ビジネス枠に関しては新サービス等を導入して行いますが、その理由として顧客ニーズが大きく影響していればストーリー性はバッチリです。
そして、市場動向について、もちろん記載してゆく必要があります。
顧客のニーズを裏付けるデータという事になります。つまり、その顧客のニーズが確かに「市場」として存在しているか。また、その市場がどういった動向にあるのか。それを調べて記載します。
この表はフィクションですが、こうした表を持ってきて貼り付けるのは有効です。
「自社の事業概要」についてですが、肝というか難しいのは市場の話になりますが、大きなデータというよりも自社がターゲットにしているお客様の顔を思い浮かべながら、調べた方が良いですね。
新型コロナウイルス感染症の影響・既に取り組んでいる対策
経営計画の後段、「新型コロナウイルス感染症の影響・既に取り組んでいる対策」についてです。
黄色部分によると、コロナで受けた経営に関する景況や環境の変化。そして、ここまででやってきた対策について書けと言っております。
これはまずは記載例を見ていただこうかなと思います。
新型コロナウイルス感染症の影響
ぼくならこう書く。ということで、まずは経営に及ぼした影響と、事業環境に及ぼした影響と分けて書いております。
まずは、経営状況として、月別の売上高をコロナ以前(2019年)と2020年の申請を11月として10月基準で書いております。そして減少率を計算して出すようにしております。
例ですのですみません、数字は書いておりませんが、ここに数字を入力して、これだけ影響を与えた。ということが一目で分かるようにするのが大切です。
一方で、コロナ禍において、逆に売り上げを伸ばした場合もあると思います。その際は、その要因と、次の「現在行っている取組」で、しっかりと理由を説明する事が良いです。
そして、事業環境への影響については、業種によって様々であると思われます。
例えば、
■ テイクアウトがサービスのメインとなった
■ お酒の提供が出来ずに休業した
■ リモートワークがメインとなり、参集する事が少なくなった
■ デリバリーサービス(Uberなど)を利用するようになった
など、コロナ禍で営業してゆく際にコロナ以前と変化したことを書いてゆきます。
そして次に、現在行っている取組です。
既に取り組んでいる対策
既に取り組んでいる対策ですが、実際にコロナで2年くらいあったわけですから、行ってきている対策もあるはずで、そこは正直に書くべきです。
なぜ、この項目があるのかといいますと、今回の低感染リスク型ビジネス枠で導入するサービスが既存の取組の延長線上の取組でないという事、また、すでに行っている取組では今後に課題が残るという理由を聞いています。
また、事業の継続に対する姿勢もありますので、環境の変化、経営状況を踏まえて記載するようにしましょう。
ここまでで2ページです。
補助事業計画
さて、ここからは今回の申請する事業について、できるだけ具体的に詳細に書くパートになります。心して。
補助事業名
申請フォームと同じ事業計画名であることと、最大のポイントは「30文字以内」というところです。
あえて言うのであれば、31文字でもNGです。30文字といったら30文字以内で、とはいえ、20文字くらいの短さでもよろしくなく、28文字~30文字くらいにしたいところです。
上記は敢えて言ってますので、計画名に関しては、計画の内容がわかりやすくまとまっていて、30文字以内であれば問題ありません。
記載例ですが、こんな感じ
補助事業の内容
そしてここから、実際に今回の補助事業は何かを説明してゆきます。
申請書の本番です。
※感染拡大防止のための対人接触機会の減少に資する新たなビジネスやサービス、生産プロセスの導入等の取組について、取組内容や実施体制、スケジュールを具体的に記載してください。
と、ありますので「具体的」に記載してゆくとしましょう。
で、■でこの3つの項目を書けと言っていますので、その通り書いてゆきます。
■補助事業内容(取組内容)
取組内容や実施体制を書けと言っていますので、書き方としては
1,補助事業の概要を書く
2,実施体制を書く
この流れで書きましょう。
全体的に、何をしてゆくのか。経営課題や感染防止の取組、顧客のニーズ、対面接触機会の減少に資する取組か。そこを記載します。
で、実際に導入するサービスを、こちらも具体的に記載します。
ざっくりふわっとしか決まっていなくても、申請時には具体的に決めて記載しましょう。経費の内容にも係るので、ここは詳細に。
逆に言えば「補助金採択されればやってもいいな」とか思っていて、ざっくり申請するような事業なら申請するだけ無駄なのでやめておきましょう。
スペースに余裕があれば、実際に導入するサービスの写真などを貼付するとより、イメージが審査員に伝わってくると思います。
そして、実施体制です。
ポイントは、社内で「誰が」「そのような」役割をこなすか。
そして、実現可能性として、その人がどんなスキルを持っているか。
ここは審査項目として、「主体性」と「必要な能力」を満たす意味でも重要ですので、しっかりと書きましょう。
よくある事なのですが、ウェブ制作サービス事業者に唆されて、自社で運営が難しいようなECサイトを作ってしまうなんていう話も聞きます。
一応、言っておきますが、自社で「企画」「運営」くらいできないサービスを導入してもゆくゆく損をするだけなので、しっかり見つめなおしてくださいね。
それから、補助事業に関して、補助金の清算や事務作業は煩雑で大変ですので、経理事務の方や経理を代表の方が行っている事業者さんは、そのスキルや経験を書いておくと印象が良いと思います。
それから外部連携体制も書いておきましょう。
先述の経理など、事務を税理士さんや商工会などにお任せしている場合はその体制や、今回、サービスを導入予定の会社さん(決まっていれば)、資金調達先(大事)、管轄商工会(商工会議所)を上記のような体制図で書ければ見やすいです。
■必要な理由
必要な理由を書けと言っております。
ここは、事業者が自社の課題にしっかりとピントが合った取組を行っているか、どこかに営業されて申請しているものではないか(あるいは申請書までどこかに丸投げしていないか)、課題は明確化されているか。
そういったポイントに沿って記載してゆきます。
先に書いた「経営計画」との整合性をしっかりと取るようにしましょう。
顧客のニーズとは別というわけにもいかないので、特にその辺は注意して書くようにします。
■事業実施スケジュール
これは事業のスケジュールが、しっかりと補助事業期間内に完結できるかを記載します。
おおよそ10か月で完了し、翌月末に実績報告書の提出期限がありますので、長くても10か月で支払い・導入は終わらせてゆきたいところです。
書き方ですが、「いつまでに」「何をする」を明確に書きます。
記載例です。
例えば、2021年11月10日締め切り回に申請するとして、採択発表は早くて12月の年末、または1月になってくると思います。
そのあと、交付決定通知が届いてから(オンライン)、事業スタートですので早くても1月末、または2月から事業スタートと計算して書いてゆくと良いです。
あとは、11月締め切りの補助事業期限は2022年8月末ですので、そこまでに事業が完了する事をこのように表などにして書くとわかりやすいです。
補助事業の効果
効果を想定して書きますが、黄色に注目です。
「自社の経営に与える効果」と書いていますので、単純にその事業の効果のほか、経営にどんな影響を及ぼすか、記載してゆきましょう。
まずは、しっかりと効果を「数字」で記載します。
上記の記載例では、サイト構築ですのでその効果を書きます。PV数や顧客獲得数、売上高など具体的に記載します。
そして、経営に与える効果ですが、非常に効果というのは難しい話です。
そこで何か「指標」があれば書きやすいのではないかなと思います。
おススメしたいのは、2パターンありまして、まずは「自社の課題」と「達成度の考え方」を書き、今後にどんな影響を及ぼすかという書き方。
そして、もうひとつは「中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン」に関連性を持たせて書くやり方です。
ガイドラインは下記です。
こんな感じで、「目標」「関連項目」「手法」「達成度の考え方」を一覧で、読みやすく書けるのでとても重宝します。
そして、事業化見込み、将来の展望まで書くことができれば、しっかりと補助事業のストーリーが完成します。
まとめ
5ページ以内でフォントまで指定がある低感染リスク型ビジネス枠です。
しっかりと事業内容をまとめ、自社の強みを十分に活かした取り組みを記載しましょう。
採択されるためには「読みやすさ」と「ストーリー」が重要で、どれだけ「対面接触を減少させた取組」を行って事業化してゆくか。そこを実現可能な範囲で書いてゆきます。
この記載例はあくまで一例ですが、どうぞご参考にしていただければ幸いです。