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補助金にまつわるデマ・怪文書を集めてみた。

SNSやネット上には、補助金に関するデマや怪文書があふれています。ここ数年で特にその数は増え、YouTubeなどでも誤解を招く情報が拡散されることが珍しくありません。そうした「デマ」や「怪文書」は、まことしやかに語られ、多くの人を惑わせます。今回は、そんな「補助金にまつわるデマ」を一挙に集めてみました。

① 採択に関するデマ

補助金の審査は非公開(審査項目は公開されているが)で行われているため、実際どういった基準で採択が決められているのかが明らかではありません。そんな事情もあって、採択に関するデマがとにかくまことしやかに語られます。

・特定のキーワード(DX・SDGs・カーボンニュートラル)を入れれば加点される

もちろんそんなわけもなく、事業計画全体で評価されるため、むやみやたらに意識高いワード入れても飛躍した文章になるばっかりで加点にならないどころかむしろ「鼻につく」んじゃないでしょうかね。これは割とよく見る「テクニック系」デマです。

・最初の公募は甘いから、初回が狙い目

実際に、昔は公募が年2回程度で、2回目は予算が余ったら公募されるというものが多かった時代があったのじゃよ。(老害)そんなことで第1回目は当然、採択率・採択者数が多いわけで、それを「第1回目は甘い」とかいうデマにすり替わってしまっているのがこのデマの出どころなんじゃないかと思います。これは採択系の「裏技系」デマですね。
たとえば、みなさん大好き「事業再構築補助金」の第1回の「通常枠」採択率は34.4%、厳格化されて極端に下がった11回前の第10回の通常枠(成長枠)の採択率は約45.4%です。
初回とかあんまり関係ないのですよ。

・○○フォーマットを使えば100%採択される

これは昔から言われていた話で、逆に「〇〇のフォーマットは広まりすぎて使うと採択されない」という逆派生型も流布されています。
この〇〇に入るのは、老舗コンサルさんであったり銀行さん名であったり様々です。その時点でなんか怪しいなって思っていただきたいです。

・申請書を派手にして審査員の目を引けば採択されやすくなる。

普通に考えれば「ラジオのハガキ職人じゃないんだから・・」と思うかもしれませんが、これも真面目に出回っていた話で、具体的には「蛍光ペンでアンダーラインを引く」「審査員はおじいちゃんだから写真や図などを多用し文字は大きくする」などがあります。
もちろん、デコったところで何の効果もありません。

・フォントサイズはMSゴシック、サイズは10.5ポイント

これはだいぶ前のものづくり補助金で指定されたフォントとサイズで、一概にデマではなく、過去にあった話でもあります。ですが、最近はそんな指定もなければ推奨もされていません。いまだにこれを指定してくる某補助金の窓口(〇〇会議所、〇〇会)もありますが・・・

・プロっぽい表現はNG、素人っぽく書け

これは実際に未だにまことしやかに言われているものです。背景としては審査の厳格化で「主体的でない」事業は不採択にする。ということが明文化されたことで、申請者自身が事業計画書を作るということが明確化されたことによります。そこで、申請サポートをするコンサルの間で広まったのが「素人っぽく書け」という変な解釈です。
そもそも「プロっぽい」「素人っぽい」は個人的な主観でしかなく、よくわかりません。私が個人的に面白かったのは「漢字変換を意図して間違える」「ひらがなでかく」とかよくわからない「ワザ」でした(笑)
「専門用語を用いない」「へんなカタカナ用語をつかわない(イノベーションとかソリューションとか顧客体験とか)」そういった話が変な解釈された結果だと思います。
余談ですが、近年は「AI(ChatGPTなど)っぽい文章を書かない」が広まっています。
AIっぽいって何よ・・(笑)

② 陰謀論を含むデマ

補助金は経産省(中小企業庁)の行うものが多いため、国の政策目標にリンクします。まぁ、当然ですが。そこで国の予算編成や時の内閣の方針に影響を受けたり、「行政プレビュー」や「財投審」なんかで俎上にあげられてしまうと、とても影響を受けます。事業再構築補助金の審査の厳格化が良い例ですね。
そんなことから政治系や、陰謀論的なデマが広まります。

・ 新しい総理大臣は緊縮財政派で財務省と関係が深いから補助金は終わる

タブロイド紙の三面記事の見出しみたいですが、実際、岸田政権になったとき、そして石破政権になったときにはそんなことが言われました。
新政権になるとまぁ、毎回出ます。政権交代したりしたらどうなるかはわかりませんが(都市伝説風)

・選挙対策で〇〇選の公示直前の採択発表は高い採択率となる。

「補助金はバラマキ」という批判をうけてのもので、補助金は政府の人気取りという固定観念による被害妄想が生むデマですね。採択率に大きな違いはありません。というか、政府が採択をコントロールしたりは出来ません。

・〇〇省は△△党の議員の影響下にあり、その政党次第で変わる。

実際、政権の政策目標により、審査基準や予算なんかは変わりますが、特定の政党によるコントロール説はまさに陰謀論ですね。圧力は多少なりともあるとは思いますが、政策を受けてのものであって、政党の思惑が影響することはなと言ってよいと思います。ただ、政治家の秘書からの事務局への問い合わせの電話、いわゆる「政治家案件」はあります。

・官僚は補助金を減らしたがっているが、政治家が止めている

「財務省」を敵とする昨今の被害妄想が補助金界隈にも伝染し広まっているデマです。実際は逆で補助金の執行をコントロールしているのはむしろ経産省や財務省の役人で、政治家はやれ減税だなんだと支出を減らすような目的でアピールしていますね。

・補助金の事務局の企業は非正規社員ばかりで審査にも責任がなく、不正な会計を行っている。

非正規云々というのは某総理のブレーンであった某氏が関連する(派遣法改正に尽力した人)例のあの企業が事務局をやっているから出てきた話でしょうね。
補助金の交付決定や不正のチェックは厳格なガイドラインに従って行われており、まぁ、内部をみたわけではないので能力はわかりませんが、少なくともそんなおおっぴらな不正はしていないと言えます。
事務局の肩を持つ気はさらさらないんですが、なんか誰も幸せにならないデマですね。
あ、ちなみに多重下請けで激しい中抜きが横行しているのは新聞報道の通り事実です(笑)

③ 混同系、レッテル貼り系デマ

コロナ禍では「持続化給付金」などが行われ、事業者が申請すれば割と簡単に貰える系の制度もありました。また、補助金と助成金といった似て非なる制度を混同し、話す・・これはお恥ずかしい話特に士業に多いのですが、結果としてデマになっている話もあります。無知さが生む、レッテル貼りもあります。

・申請すれば事業者であれば誰でも貰える

持続化給付金の内容と混同している人が言いがちで、「申請しなきゃ損」とか「申請すれば最大ン千万円がもらえる」という大げさで紛らわしい話が広まっています。少し減ってきていますが、いまだにSNSやTikTokなんかでは見かける悪質な広告でも見かけます。

・補助金をもらう企業やサポートをするコンサルや士業は、税金にたかる乞食

自己顕示欲の高い士業が広めるレッテル貼りで、無知さが生んでいる非常に頭の悪いデマです。補助金は成長戦略の一貫であり、ゆくゆくは還元されるものであり、また、申請をサポートする支援機関も税金から報酬を受けているわけではないんですよ。

・補助金で儲けた企業は、最終的に潰れる

いわゆる「無人餃子販売機」問題ですね。とにかく市場のトレンドに合わせて暗躍したベンダーがコンサル化し、事業再構築補助金でやりまくった結果、事業化出来ずに市場が飽和し、衰退してしまった例ですね。ほかにも「フルーツサンド」「シミュレーションゴルフ」「グランピング」があげられます。目立つだけで基本的に一部ですので、こうしたレッテル貼りはネット記事とかに簡単に騙されてそう・・

④ 怪しいコンサルデマ

これはデマと言いますか、補助金をエサに高額な報酬や情報商材を売ってくる連中がその集客手段に使う「誤解を招く」表現です。決して騙されませんように。

・元審査員がサポートするから高い採択率を誇っている。

「元審査員」は日本全国山のようにいらっしゃいます。それに自分が審査員だったとか事務局の職員だったとかは守秘義務が辞めた後も継続されるため、言ってしまっていることからもその人の倫理観は「お察し」なわけです。毎回公募要領や審査基準、審査項目なんかも変わりますし、かつて審査員だった方は知見はあるでしょうが決して今の審査員や事務局にコネがあるわけではないので、それだけで惹かれるのは違いますね。

・補助金申請を丸投げでOK!

丸投げは当然ダメですし、代理申請、代行申請も認めていません。もちろん事業計画書の作成や、事務局との電話のやりとりも代理人制度は認められていません。GビズIDの第三者への開示も規約で禁止されていますし、補助金の公募要領にも記載されているのに、いまだに「丸投げOK」を謳うコンサルが後を絶ちません。これは稼げるだけ稼いで、指摘されたらさっさと撤退してしまおうという暁烏なやばいコンサルですので、こういった話には乗らないようにしましょう。

・(支援機関を目指す人に対し)この記載例や情報商材150万円(例)を買えば採択取れる!なぁに、成功報酬ですぐ元は取れるさ。

補助金の申請サポートを頼まれたり、興味をもって始めたいという人を喰いに行く、いわゆる「ひよこ狩り」ビジネスです。もちろん、そんな商材を入手したからと言って採択になんの保証もないわけですし、公募要領や審査項目も毎回変わる中で、すぐに役立たずなものになってしまいます。
また、成功報酬で元を取るなんて考え方も悪質そのものです。成功報酬をパーセンテージで取るために事業者に無理な投資をさせたり不必要な経費を計上させたり、そういったケースが起こり得ます。
補助金の申請や支援の仕方などは無料で学ぶことが出来ます。決して上記のようなネタに飛びつかないように。

⑤ 補助金の知識がない人が広める、誤解・都市伝説系デマ

これは悪気はなく、どこかで聞いた話を・・人って怖いもんで自分の信じたい情報しか信じないし聞こえないようになっているんですよね・・。
そんな不思議でかわいいデマを集めました。

・〇〇県の補助金は出せば必ずもらえる。ただし先着〇社までなので早いもん勝ち。

先着順の補助金がないわけではありませんが、基本的に補助金は審査制です。先着〇名様に必ずもれなくもらえる!なんて開店セールみたいな補助金は存在しません。

・補助金はバブルで、コロナ禍が終わった今、当時羽振りの良かったコンサルや士業は干上がってどんどんつぶれている。

たしかに大手コンサル「北浜グローバル」は倒産の憂き目にあいましたが、実際に淘汰されているのは一時的なブームで参入している人たち(なんちゃってコンサル)です。補助金事態は経済政策の一環であって、バブルのような一過性の政策でないことは普通わかりますし、コンサルや士業が補助金一本でやってるわけないじゃないですか(笑)
こんなことを言いがちなのは自己顕示欲の強い士業ですね。これはミスリードです。

いかがでしたでしょうか。
上記はあくまでも一例であって、もっと面白い・・いや、誤解を招くようなデマや怪文書が出回ることもあります。
ぜひ、こんな話聞いたけど、本当?などのお話があったら、ぜひ、おきかせくださいね!






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