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まくらにピンクの脳を乗せて、小説のリハーサル

こんばんは、北川陽子です。
劇作家である私が小説を書いて投稿してみよう!って事で先週から始めたnoteですが、今回は四方山話です。よもやまばなし。
まだnote慣れしていないので硬いはじまり。でも新しいSNS始める時ってそんなものだよね。そのうち言葉使いも変わってくると思います。

で、最近見たドラマの話。
たくさんのドラマを見たいがために基本2倍速で見る派の私ですが、今期のドラマで唯一2倍速を解除したシーンがあった。
正直全く期待してなかった「今日から俺は!!」の、橋本環奈と伊藤健太郎が演じるツッパリ×スケバンカップルの掛け合い!!最高。
原作読んだ事ないし、橋本環奈の顔面見たさに録画したけども、こんなにホクホクするとは思ってなかったよ。すいませんでした。

ツッパリの伊藤とスケバンの京子は付き合いたてでラッブラブなんだけど、京子は伊藤の前でスケバンはもうやめてるってふりをする。嘘ついて、可愛く振舞う。でもそんな事は関係なくて、嘘もひっくるめて全部好きだから硬派なはずの伊藤もどんどんそれにのっかってくの。可愛い。好きすぎてどうかしてる。

もう橋本環奈も健太郎の演技がおかしすぎて笑っちゃってて最高の現場感も伝わってくるしほんといいなと思って。説明が難しいのですけれど。

この世のいろんな嘘とか出来事に引かないで抱きかかえて更に加速しようとする人って。生きるの上手。お見事。かっこいい。私もできるだけそうなりたいものだ!

2人のシーンだけは、2倍速にせず通常の速度で5回連続で見た。輝いているシーンは2倍速であっても輝いているから見逃す事などないのです。

あとツッパリとスケバンの時代って全く荒れてないなとも。わかりやすい全てが。自分に嘘つけないだけ。まるで獣!良い。ファッションも可愛い。

結局のところ、嘘つけない人可愛い。SNSで、嘘つきまくってる人も結局欲望に正直で可愛いけどさ。小説書いたら、そこでは何も嘘つかなくていいのかなって思うから、書きはじめてみたけども。本音を書いてるつもりでも、どんどんずれてっちゃうから。本当の事を書けると、魂のほうがぶるぶるっと震えて、透明になってくってのがあるから。自分の魂のパートナーとしては、どうにか魂側が喜ぶようにしてあげたいんだけども。

私は演劇を10年くらい続けちゃってるんだけども。昔やってたヒロイン育成ゲームで、一番簡単に誰でもなれるのが劇団員だった事がひとつ、ひっかかりつつ、演劇をやってて思うこと。
みんな舞台の上で役を演じてるんだけど、その時点でもう嘘なわけですよ。フィクションだから。でも現実の世界も同じで、シェイクスピアが言ってたあれ、この世は舞台、人は皆役者。ってやつ。ほんとそれ。日常の中でも舞台と同じような事、毎日毎日繰り返しやっちゃってる。嘘ついて、演じて。喧嘩して愛して、世界がこわれてまた整えて。それをまた、わざわざ劇場まで出かけて行って、じっくり見ようとする人間。どうかしてて可愛い。

人は演じる人を見て、嘘にのっかる事で貪欲に、楽しもうとしてるんだなって。伊藤と京子の掛け合いを5回も連続で見てしまう自分も含めて。馬鹿らしくてどうかしてる人間をとにかく見たいきもちって何。

そんな欲を満たしたい時に最適なのが落語。出てくる人ほぼ全員どうかしてるからとても落ち着くし。
私の主宰する劇団FAIFAIで、古典落語の「芝浜」をリミックスして「SHIBAHAMA」として上演した事があるんですけれど。その上演DVDを談志師匠に直接お渡しした事があるって話は、夢になるといけないのでまた改めて年末にでもしようと思いますけれど。
落語の登場人物ってほんとうに馬鹿らしい事しかしないし、落語ってデビッドリンチみのある展開がバンバン起こるから気が抜けないしとっても興奮するんだけど、中でも「だくだく」というお話がありまして。これが、とっても可愛い。洒落てる。
あらすじとしては、

いつもドジばかり踏んでいる泥棒が空き巣に入る。すると家中に豪華な家財道具がずらり。けれど暗さになれてよく見るとみんな壁に貼った紙に描かれた絵だった。
すぐに家から出ればいいものを泥棒、洒落ているのか、芝居っ気があるのか、根っからの馬鹿なのか、盗むものが何もなければ、せめて盗んだ気にでもなろうと、「まずタンスの引き出しを開けて風呂敷を出して広げ、結城の着物、博多の帯を包んだつもり。茶箪笥の上の銀の置時計を包んだつもり、風呂敷を結んで背負ったつもり、重すぎて立ち上がれないつもり」と、実演し出した。
泥棒の「つもり芝居」の途中で目を覚ましたこの家のあるじの八五郎。前の長屋から家財道具を全部売り払って、ここに引っ越して来たばかり、何も家財がないのは殺風景と、知り合いの絵師に絵を描かせたのだ。
何事かと目をこすって見ると泥棒が一人芝居を熱演中。面白いと見ていたが、たとえ絵でも、好き勝手に盗んで行かれるのに我慢が出来なくなって来た。それなら俺もやってやろうと、布団をぱっとはねのけ、
八五郎 「長押に掛けたる槍をりゅうとしごいて、泥棒の脇腹をプツーと突いたつもり」
泥棒 「うーん、血がだくだく出たつもり」

軽いしお洒落。タイトルが「だくだく」なのも可愛い。
泥棒も盗んだつもりになるとかどうかしてるんだけど、家主も相当どうかしてますよね。この、「血がだくだくと出たつもり」って言ったあとの空気感とかどうなってんだろう。めちゃくちゃ居心地悪そう。いいなあ。
江戸時代だったらまだあり得る感覚だったとしたら江戸やばい。流れに順応しすぎ。後先考えなさすぎ。考え方フラットすぎ。人生楽しみすぎ。

うちは実家によく泥棒が入るタイプの家だったんですけれど、その度に刑事さんが来て家が刑事ドラマみたいになるのでまあ良しとしてました。親はたまったもんじゃなかったでしょうが。母親の葬式の日に入られた時はさすがに家族全員まいって、泥棒は容赦がない!って事でセコムつけました。それ以来何も盗まれてません。
泥棒、人がこんなに悲しんでる時にもガンガン思い出の品を盗ってくわけで。形見分けするはずだった指輪とか全てなくなってしまいました。悲しい。でもこんな事もあるのだから、いつかネタにできる時がくるはずと、のむしかなかった。仕方ねえ!陽気にいこう。
私の指の上できらきらと、輝いてるはずだったきれいなダイヤモンドの指輪を、はめたつもりになって私は生きていく。クソ。

「だくだく」ってとっても演劇っぽいなとも思います。つもりになって演じて、それを見てる観客もつもりの嘘をのんで参加していく感じ。自分もつもりの舞台設定に、脳みそで飛び込んでっちゃう感じ。どうせこの世は嘘か幻、だったらこっちが本当かもしれないじゃないか、どっちが本当かよりもとりあえず魂震わせたもん勝ちだ!ってゆう健気な様。好き。

なので、「だくだく」を下敷きに小説の練習をしようと思い立ちました。
次回はそれを載せる予定です。「だくだく」小説版です。
書いてみると、書き方とかこれでいいのか?嘘っぽくない?とか気になります。いろいろやってみよう。文字って難しい。

私の小説はまだ、小説未満なので、読書をしているつもりになりたい時に、読んでみてください。電車に乗ってる移動時間とかに、サクッと、スマホでインスタでも流し見しているつもりで。
という事でお楽しみに。
小説を書いてみた、つもり。の小説。

#小説
#よもやま話
#落語

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