中国反ゼロコロナ政策デモ2022/11/28
はじめに
この記事は記事最後部に記載したニュースなどを読んで書いたものである。
なので情報としては2022/11/28時点でのニュースの内容をまとめた程度でしかない。
本文
原因
中国のデモは新疆ウイグル自治区で発生した火災で10人以上が死亡した事件が発端のようだ。
この原因がロックダウンによる消防活動の遅れという意見がSNSで急速に拡大した。
中国のすでに3年に及ぶロックダウンとコロナ規制による経済自粛で、国民不満が当局の予想以上に強まっていた模様で、瞬く間に全国デモへと発展した。
デモは震源のウイグル自治区を始め、北京・南京・上海・武漢・成都・広州など大都市で報道各社が確認している。
北京大学や清華大学などの名門大学もデモに参加しており、名門大学のデモ参加はかつての天安門事件以前のデモを連想させる。
このデモが要因としては主にコロナ規制による不満が上げられている。3年もの長きに及ぶ規制の中で人民は家族とも友人とも会えず、仕事も不安定になる生活を強要されてきた。
GDPも下落修正され、中国の誇る高度経済成長の終わりまで真剣に語られている。
それでも中国政府はゼロコロナ政策の成功を盛んに宣伝してきたが、1日あたりの感染者数が過去最高を記録した今ではその成果もむなしく響く。
その他には意外なことにW杯が上げられている。
中国ではサッカーに力を入れており、今回のW杯も主要テレビ局が力を入れて放送していた。
しかし、テレビに映るのはマスクもせずに密集した外国人が楽しそうに歓声を上げる姿。一方で今の中国では集会は禁止されているため多くが家で孤独に観戦している。
まるで別の星のようだと訴える声がSNSに溢れた。
この孤独感が満杯になっていたコロナ政策批判、体制批判の最後の一滴となった可能性はある。
更に、先日北京で習近平批判の横断幕が吊り下げられた。当時党大会直前の高い緊張感が中国全土に漂っていた時期だったこともあり、この驚くべき抗議は国内外の注目を浴びたのはまだ記憶に新しい。
この一件でこれまでタブー視されてきた習近平批判と体制批判により踏み込む雰囲気が醸成されたという意見もある。
これまでの違う点
その結果かは不明だが、今回のデモで異例なのは公然と習近平批判と体制批判が繰り返されていることだ。
これまで中国においてこのようなことは厳然と抑圧されており、過激な取り締まりと制裁が下されてきた。
今のところ警官隊は封じ込めこそしているが、全国に広がるデモと集会の継続をおおよそ黙認している。そのため海外の人道家たちが恐れる強権的な弾圧にはまだ発展していない。
予想
しかし、だからといって中国がゼロコロナ政策を緩和、民主化運動に迎合することを期待するのはあまりにも早計であると思われる。
現時点で考えられる中国の展開は3つ。
1,ゼロコロナ政策を転換して人民の意見によった政治を行う。
2,台湾侵攻などはけ口を作る。
3,強権で反体制運動を弾圧する。
1は独裁政治においてあり得ないと言える。強権的に抑圧する国家において民衆に妥協するのは絶対に無理だ。一度でも妥協すれば国民の要求は更に上がり体制変革までいくだろうからだ。
強権支配するコツは硬く鎖で縛り付けるのでは無く、鎖をほどく意志を持たせないことだ。妥協すれば鎖が実は外せることに人民は気付いてしまうだろう。
あり得るとすれば、習近平の大いなる慈悲の恩寵として自由と権利を与える形にすることだろうが、どちらにせよかなり難しい舵取りを求められる選択だ。
2は一見あり得るように見えるが、無理だろう。台湾有事は中国といえども全力で取りかかるべき一大事だ。国内に動揺がある状態では全力など出せはしない。
そもそも中国は普段から人権や法律を無視した強権的政治が可能なので、戦時という理由を使って強めるべき支配力は存在しない。
3、よって全ての選択肢でマシなのは強権的な弾圧しかない。
しかしなにも戦車で学生をひき殺すことはしないだろう。1989年とは違うのだ。
今の中国には国中に監視カメラと金盾による監視システムが構築されている。これによりデモに参加した人間の特定は容易い。
素人の私が考えられる鎮圧としては次のようなものだ。
コロナ感染拡大を理由にデモ発生地域をロックダウン。デモ参加者毎封鎖して運動の拡大を封じる。
更にデモの首謀者や精力的なものを順に、人目のつかない自宅で逮捕していけば運動は中核を失い四散する可能性が高い。
特に外国のカメラを前にあまり過激な取り締まりは余計な波風を立てるだろうから、中国政府はなるべく穏やかに(中国基準で)終結させたいと願っているはずだ。
ただ、もしその方針が失敗すればむしろ断固として厳しく弾圧するだろう。
もっとも可能性の強い選択肢である弾圧が行われた場合、国内では早期に事態は沈静化すると思われる。だが海外は当然これを非難するだろう。
米中対立の再燃が予想され世界経済はより減速を強いられる。
インフレ退治の面ではよいが、米国のリセッションはより可能性を上げるだろう。
参考ニュース
https://www.cnn.co.jp/world/35196625.html
https://jp.reuters.com/article/health-coronavirus-china-protests-idJPKBN2SI05D
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM272OU0X21C22A1000000/
https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-63754434
https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-63327430
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