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職員室デジタライゼーション〜だったら差し込んじゃえよ②〜
○○さん保護者様
1年間、よろしくお願いいたします。家庭位置を確認させていただきました。もし、この手紙が間違って届いているようでしたら、お手数ですが、学校までご連絡ください。
間黒市立表計算小学校 ○年○組担任 ○○ ○○
家庭位置確認の際、こんな文面の手紙をポストに投函することになっているらしい。思うところは、多々ある。しかし、赴任三週目。そもそも、数男は、波風立てず、穏やかに働きたいのだ。
名付けて「家庭位置確認確認票」は、教務主任がWordで作成したフォーマットをいじって、担任名を変更するらしい。どうやら、低学年の職員は、担任名を変更した時点で印刷したものに児童の氏名印を押しているようだ。
しかし、数男は、児童名と学年、学級、担任名を打ち直すことなく、「差し込み印刷設定」を行なった。そして、あるExcelファイルを差し込むことにした。
【全校児童名簿】
数男が差し込みに指定したファイルは、全校児童の「学年・学級・名簿番号・氏名」が一覧になっているものである。これは、4月1週目にブラックホールのようなサーバーと格闘し、自学級を含む全学級の名簿をExcelにコピーしたものだった。
なお、この時点で表計算小には、Excelで作成した名簿、Wordで作成した名簿、一太郎で作成したものまで混在していた。そこで、Excelでフォーマットを作成し、全校児童分をコピペしておくという手間が必要だった。
ちなみに、数男は、全校名簿を作成するついでに、「ユーザー辞書登録」を済ませておいた。以前、ちらりと覗いたKitaChannelという人物が作った動画を参考にしたのである。学級の児童分、多くても学年の児童分だけでも良かったかもしれないが、学級分を登録するのも全校分を登録するのも対して違いはない。
それに、数男は、6年生を担任しているので、次年度は必ず別の学級の児童を担任することになる。その際に登録し直す必要を削減できるかもしれないので、全校児童分の名前を読み仮名を登録しておいた。
差し込み印刷の設定を終え、数男は、職員室に人が揃うの待った。コーヒーを淹れているうちに、下校指導を終えた職員が徐々に職員室に戻って来た。そこで、数男は、職員に声をかけた。
「家庭位置確認の確認表、まだ、作成していない方はいますか?僕、これから、印刷するんで、一緒に印刷しちゃいますよ。」
職員室に、一斉に疑問符が浮かんだことが居並ぶ職員の表情から読み取れた。