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職員室デジタライゼーション〜関数男の物語〜

 男は、PCをシャットダウンすると、そっとノートパソコンを閉じた。
長かった戦いに区切りがついたのだった。

彼が戦ってきたもの。

それは、旧態依然とした職員室の空気だったのかー
それもと、現在の学校現場が抱えている問題だったのかー

 戦っているときには、その大きさが見えなかった。彼は、愚直に目の前に山積みされた課題と向き合い、争い続けてきたのだ。そんな戦いも今日で終わると思うと、彼は、一抹の寂寥感を覚えた。

男の名前は、関 数男。
 
 市立表野小学校で6年生を担任しながら、情報教育主任として勤務してきた。しかし、彼の専門は情報教育ではない。大学では、国語科教育を専攻していた。数男自身は、そのような型分けを好まないが、いわゆる「文系人間」にカテゴライズされる。

今日は、3月25日。

 5年生の頃から持ち上がり、2年間担任をしていた子達を中学校へ送り出してから2日が経っていた。それぞれの進学先へ、学習指導要録を送付し、内示されている次年度の分掌主任への引き継ぎも終えた。
 職員室の机、更衣室のロッカー、そして、教室をきれいに片付け終えた数男は、5年間使ってきた職員用PCにも別れを告げた。

 辞令交付。関数男は、この3月末で表野小学校での勤務を終える。

「お疲れ様でした。」

 数男は、穏やかな声で同僚に挨拶をし、表野小学校を後にした。

 彼が、この小学校で変えたものはなんだったのか。そして、彼は、なぜ、それを変えようとしたのかー

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