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「やまなし」with AI⑤〜偶然の産物〜

1 青いカニが導き出したもの

 実は、これまでの3時間の中で「二枚の幻灯をCanvaで再現する」という活動を継続してきました。この活動には、①宮沢賢治の色彩表現に着目させる、②五月と十二月の対比構造を明確にするという意図があります。タブレット端末導入前から行っていた実践で、「ICT全部盛り「やまなし」実践」でも同様のことを行っています。詳しくは、こちらの記事を参考にしてください。

 さて、今回はCanvaを活用したわけですが、その中で偶然の産物ともいえる素敵な事例に出会いました。それは、

 素材として使用したカニの色が「青」だった子がいたこと

です。カニといえば、「赤色」をイメージしがちですが、実際、多くの子が赤いカニを選択していました。しかし、本文中でカニの色に関する描写はありません。これは、「色彩表現に着目させる」ことにつなげるチャンスです。
 早速、作成途中の画像を共有し、「なぜ、青いカニを選んだのか」を説明してもらいました。その結果、「カニの色に関する描写がないこと」に気づく子が出てきます。そこで、「色彩表現がないところ」は「読者が想像して補完するところ」として共通理解しました。
 一方で本文中には、色彩表現が多く登場していることも押さえます。その結果、青いカニは、「明確に色彩をしている描写には作者の意図が込められているのではないか」という問いにつながる見事な伏線となったのです。

2 あ、これミスったわ

 さて、国語の学習的には順調に進んだ3時間だったのですが、Canvaの使い方でミスをしました。実は、「全員が作った幻灯の共通点を考える」という活動を想定していました。
 ところが、僕は、「五月」と「十二月」のスライドを作成してテンプレートとして配布してしまっていたのです。そのため、個々のファイルが作成され、全員の作品を俯瞰できる状況になっていませんでした。いちいち閲覧リンクを回収し、Canvaのホワイトボードに埋め込むという作業が発生してしまいました。
 今回の場合だったら同一のシートを人数分用意し、「編集可能リンク」を共有して作業した方が効率的でした。この学習者の記述内容を一覧で俯瞰するという機能は、MetaMojiやロイロノートであれば回収と閲覧も簡単に行えるので、今後のCanvaのアップデートに期待しています。
 ということで、地道に子ども達から閲覧リンクを送ってもらい、ホワイトボードに埋め込んだことで「五月」と「十二月」を再現した幻灯が集まりました。今回の単元展開では、それぞれの幻灯の出来栄え(叙述の読み取り具合)について検討する予定はありません。今回の意図は、あくまでも「全体の傾向からどのような印象を受けるか」を明確にすることです。そして、この「全体の傾向分析」をAIに任せたところ、思わぬ結果を得られたので次回、ご報告いたします。


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