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関数男物語〜インターミッション01〜

 怒涛の4月も終盤に差し掛かり、待ち望んでいたゴールデンウィークが近づいてきた。慣れない新天地での勤務によって疲弊し、数男の判断力は間違いなく鈍っていた。しかし、この鈍った判断力が、数男の人生の転機となったのである。

 いよいよ明日から連休を迎える金曜日。数男は、わくわくしていた。「赴任手当」が振り込まれたのだ。赴任手当とは、引越しの際に発生する費用に対する手当である。これは、単純な距離計算に基づいて算出される。
 独り身で飄々と生きている数男は、引越し自体もそこまで大変ではない。そもそも、荷物が少ないので単身パックで簡単に済ませてしまった。なので、引越し業者に支払った額よりも多少多い額が振り込まれていた。

 冷静に考えれば、引越し費用が赴任手当で完全に相殺されるわけではない。諸々の手続きにかかる費用を計上すれば、完全にマイナスである。しかし、判断力の低下していた数男は、振り込まれた金額に純粋に喜んでいた。前任校に通うために契約していたアパートから現在のアパートへの引っ越しは、距離にして120kmの移動。そこそこ大きい額が振り込まれていた。
 そんなプチ大金が振り込まれた数男は、定時になると学校を後に、夜の街へと繰り出したのだ。

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