前評判と現実との差は!?箱根駅伝
前投稿記事で箱根駅伝の区間ごとの振り幅をまとめてみたが、今回は「明治大学」の各区間と区間賞との差をピックアップしてみた。
次のような感じになる。
▼区間別 区間賞と明治との「差」 区間順位 誤算値※私の期待度調べ
1区 1分06秒 16位(OP含め17番目) 30秒 (トップから30秒差目標)
2区 3分59秒 17位 1分30秒(前年の自身のタイム1:07:52、今回1:09:48)
3区 2分38秒 12位 2分15秒(前年同区間手嶋1:02:22、今回はエース小袖1:04:43)
4区 1分37秒 7位 45秒(前年同区金橋1:02:59、今回1:03:52)
5区 1分42秒 9位 1分30秒 (前年の自身の記録1:11:49、今回1:13:34)
6区 2分10秒 13位 1分30秒 (前年の自身の記録58:48、今回59:46)
7区 1分34秒 11位 45秒
8区 - 区間賞 区間2位と16秒、10位と1分33秒差
9区 2分12秒 10位 1分00秒
10区 2分05秒 10位 1分00秒
総合10分11秒差 10位と26秒差
トラックの記録や11月の全日本大学駅伝、前年の箱根3位争い(結果6位)などから大会前には3強(青学、駒澤、東洋)の牙城を崩す筆頭、あるいはもはや「4強」と期待が高まった(「持ち上げられた」とも)明治大学。蓋を開けてみれば8区の大保海士(4年)が区間新記録に迫る区間賞を獲得した点を除けば「見せ場」すらなかった。
期待が膨らみ過ぎた故か、シード権を落とすというボーダーでの象徴的な敗北の点もあってか「裏切られた」「残念すぎる」「ガッカリ大賞」的なムードが広がってしまったようだ。前評判と結果の乖離の大きさはプラスが創価、マイナスは明治だったという点は間違いないだろう。が、私はそんなに惨敗したとは思えない。
まずは優勝チームとの総合タイムの差を見て欲しい。優勝した駒澤との差は10分11秒。前年の例を見ると優勝チームから10分遅れなら6位に入っていた。エース阿部が7区で区間新を出した前年の明治がまさに6位で優勝チームとのタイム差は9分23秒だった。
区間記録や総タイム、所要時間を見ると気象コンディションなど好タイムが続出した前年との比較は難しいがタイム差に視点を投じると「惜敗度」が見えてくるような気がする。
シードを獲得した学校は明治を除く前年のシード校9校と予選会トップだった順天堂。確かに前年6位で大会前の評価が高かった明治が11番目にはなったのは意外だったがほぼランキング通り。戦前の予想勢力図から大きく変わったとは言い切れない結果とみることもできる。しかも10と11位の差は23秒。ひとり2〜3秒を削り出していたら変わっていた。
しかも明治はほとんどの区間で○○位争いに加わっておらず集団の力を利用することがなかった。単独走や離れたターゲットを捕まえにいってなおかつ伸びる、粘るというほどの力はなかったのかもしれないが、競り合って追いつく、競り合って引き離すという場面が少なかったのは不運だ。
その上で、各区間の区間トップとの差を改めて見てもらうと「〝そんなに〟やられている訳ではない」という見方もできないか。ただし、総すくみ現象とでも言うのだろうか、そろいもそろって「少し」悪かった。
区間賞からの遅れはビンセントが区間新を出した2区で3分59秒だったが、ほとんど区間で約2分以内に収まっている。(2分はデカイが…)20キロを超える区間で30秒は早くても遅くても誤差の範囲だとして遅れは1分から1分半程度。1分半の遅れは場合によってだが1つの区間で取り返せるタイムだ(前回のnote記事参照)。さらに私なりに誤算値を考えて提示してみたが、その値はさらに小さいなタイム差だった。
ところが10区間中9区間で「誤算」が起きた。その誤算は大ブレーキなどというようなものではなくても9区間でそれぞれ1分悪い方に振れると合計で9分。お気づきだろう。想定通りであれば大会前の評判通り優勝争いに加わっていたわけで、戦前の予想や期待は決して的外れのものではなかったとチームの目標、解説者、論客たちを擁護しておきたい。
もちろん想定通りにいくことなど珍しいわけだが、想定より良い方に振れることだって起こりうることもある。せめて半分、あるいは各区間10秒違っていれば全くわからなかった。
それまでのテレビ東京による部分中継から日本テレビの完全中継へと変わった1987年以降、箱根は大きく変貌したととらえることができる。明治が強豪として箱根に臨んだは「前時代」の話。大六野、鎧坂(ともに現・旭化成)、菊池(現・コニカミノルタ)が在籍していた頃に3位に入ったことはあるが、優勝候補の1つとして「見えない重圧」のなか大会に臨むのは今回が初めてのことだった。
想定より「少しずつ」悪い方に振れたのは、「ノーマークの気楽さ」と逆の現象もあったのではないだろうか。苦い経験が活かせれば新たなステップに上がっていけるような気もする。選手、スタッフは悔しい思いをしたはずだろう。ここから「前へ」の明治を見られることを楽しみとしたい。
※画像はサトウ食品のHPより転載
https://www.satosyokuhin.co.jp/newsrelease/newsrelease_2631.html