第9回 合同会社洛北社中 十塚悠さん
こんにちは、北区盛り上げ隊です!
今回は、合同会社洛北社中 代表 十塚悠さんにインタビューをさせていただきました!
十塚さんは新大宮商店街に関する取り組みのほか、団体としても個人としても様々な活動に取り組まれている方です。今回は十塚さんが取り組まれている・計画されているいくつもの面白い取り組みについてお話を伺って来ましたので、ぜひ最後までご覧ください。
合同会社洛北社中と十塚さんはどのような活動をされているのか、教えてください。
合同会社洛北社中は、新大宮商店街理事で「朝ごはん ふく」の店主である平元さんと2人で立ち上げた、商店街のイベント企画などを行っている会社です。令和3年度から大宮交通公園の管理も行っていました。
僕は、パラレルワーカー(複数の本業をもった働き方)という働き方をしていて、それは、日本はこれから人口が減っていくから1人が2役以上しないと社会を保てないのでは、という考えからです。洛北社中は地域の魅力を高めるために、案件などが出てくればなんでもやっています。それがなければ僕と平元さんはそれぞれ他の仕事をやっています。
個人の仕事としては、新大宮広場というコミュニティスペースの管理を週に1回やっています。他にも、最近は旅行の企画を始めました。それは一般的なものではなく、「スロージャーニー」というもので、スローなライフスタイルを普段せかせかとしている人たちに体験してもらう、というものです。僕は新しいことを生み出すには余裕を持った方が良い、と考えていて、スローな生き方の体験をしてほしいと思います。
昔(会社員時代)は会社を通して社会に奉仕していたけれど、今は個人で直接社会に奉仕していると感じます。それに僕は公務員ではないので、全体に分け隔てなく奉仕する必要はなく、自分の好きなポイントに対してやりたいように奉仕することができます。
新大宮商店街とはどのように関わっていらっしゃるのですか?
個人としては新大宮広場の管理を通して商店街に関わっています。
また、新大宮商店街には既にいくつかのコミュニティスペースがあるのですが、もっとこれらのコミュニティスペースが繋がって、商店街の中にいる人も外にいる人も助けや仲間を求められる、そんな地域の関係を案内する場所、「関係案内所」を作りたいという話を平元さんとしています。昔、新大宮商店街には地域の子どもと大人の交流場所となっているおもちゃ屋さんがあったらしいのですが、そんな場所を復活させたいですね。
他にも、シェアハウスを作ってみたいと考えています。どこかの物件を借りて、地域の学生と外から来た社会人をまぜこぜにしたような面白いシェアハウスです。学生は社会人たちの生き方を学び、社会人は学生たちと一緒に面白いことをできる、実験場のようにしたいです。このシェアハウスを先ほど挙げた「関係案内所」と連携もさせてみたいですね。例えば2階建ての古民家を借りて、2階をシェアハウスに、1階を「関係案内所」にするとか。僕自身の経験として、人生でためになったのは学校以外の場所で知り合った人たち、というものがあり、生活自体が将来の糧になると思っています。そういうものを暮らしの中にデザイン出来たらいいなあ。
地域全体との関わりを教えてください。
僕は今暮らしている場所にこれからもずっと暮らしていこうと思っています。自分がずっと暮らしていくまちだから、好きなまちでいてほしい、面白い人たちがいてほしい、そんな地域であってほしいです。つまりは、自分のために地域にお節介を焼いているという感じです。福祉や医療、公共施設など、住みたいと思えるまちであるために必要なもの全てに手を出したいです!(笑)
新大宮商店街の現状についてどう思われますか?
今の新大宮商店街にいるのは高齢者ばかりでもったいないと感じます。僕は昔のことはあまり知らないから昔に比べて廃れているとは思わないけれど、昔からいる人に話を聞いてみるとやはり衰退しているようです。
僕は商店街を日常的に来たくなる場所にしたいです。年齢を重ねると行動力が落ちることもあって、相対的に見て若い人の方が面白いことをやっていると思います。そこで、大学生や若い社会人がもっと通いたくなるような商店街にしたいです。今の新大宮商店街は、僕は好きだけれど一概に「魅力がある」とは言えないかもしれません。僕は元々化粧品会社でマーケティングをやっていたので、商店街にどんな人が来てほしいかや人々が求めているものは何かを考え、あるものを周知したり、無いものは作ったりしていきたいです。例えば、若い人にとっては夜遅くまで営業している場所がある方が嬉しいかもしれませんね。
学生と一緒にやってみたい取り組みなどはありますか?
現在、京都オリジナル商品として京都府産のポップコーンをお土産として売り出すことを真剣に考えています。そういったことに興味のある学生と一緒に作っていけたらいいなと思います。
実は過去に何度か大学生と一緒にプロジェクトに取り組んだことはあります。例えば、漬物がなかなか若い人に売れない現状を踏まえて、「漬物を食べたくなるようにしよう!」と、漬物入りのタルタルソースを作ったこととか。
他にも目をつけているものがあって、それが豆腐屋さんです。僕は価値が高い業態だと思っています。豆腐屋は後継者不足で、今の代で辞める人も多いでしょう。しかし、豆腐屋の作る豆腐はスーパーのものとは全く違う美味しさで、もっと付加価値がつけば外国人観光客も手に取ってくれるかもしれません。しかし、豆腐を作るための機材は高価で、1度廃業してしまうと新たに始めるのは難しいです。そこで僕はまず豆腐屋に通って彼らと仲良くなることから始めています!
僕は他と同じことをやってもあまり面白くないし、廃れかけているものこそレアで価値があると思っています。これは「伝統を守りたい」というより「絶対また流行る時が来るから廃れてしまうのはもったいない!」というモチベーションから来ています。みんながいらないと言っているものにこそチャンスがあって、廃れかけているものを「どうしたら次流行るまで保てるかな?」というようなことを考えています。
新大宮商店街の課題は、商店街の中に住んでいる人が多い(1階が店舗で2階が家というように)、つまり後継者は親族ではなければならない、しかし実際にはなかなか後を継ぐ人はいないということです。そんな中で、僕が1つでもなにか面白い事例を作ることができたら、寛容な誰かが親族ではなくても1階を貸してくれるかもしれません。そんなモデルケースを作りたいと思っていますし、それが未来投資です。
僕は妄想をすることが好きで、小さくてもいいからその妄想を実現させたいと考えています。そのために、まずは自分1人でもできることから始め、そしてメンバーが集まってきたものから広げていきたいです。
十塚さんが考える理想の商店街や北区とはどんなものですか?
住んでいる人、関係している人たちみんなが自主的に動くような地域が1番だと思います。「~があればいいからそれをただ待っている」のではなく、「自分がなにか行動をする」、そういう人たちが集まってほしいです。主体的にまちづくりをする、自分たちで自分たちの住むまちに対して行動のできる人たちです。
僕はこのまちがそのようになれる要素は多いと思っています。これからはちょっと変わった面白いこと・ものがメディアでも取り上げられるようになるから、まずは実績を作ることです。小さくても良いから成功事例が必要で、それがあれば自然と周囲に一緒にやってくれる人たちが集まってきます。ここは自分のやりたいことをやる余裕があるまちだと思うから、1度外に出て育ってから、能力や自信を身に着けて戻ってくるのも良いと思います。
十塚さんの信念を教えてください。
僕は、自分の生活する場所は、自分が「豊かだと思える場所」であってほしいから様々な活動を行っています。
誰かから紹介やおすすめされたことは基本的に一旦やるように意識しています。
流れやタイミング、運も大事で、それをどうやったら引き寄せられるかということを考えています。
また、何かに抗おうとはせず、例えば「寒い時は暖房をつけるよりも暖かい場所に行く」という考え方ですね。コロナ渦ではオンラインでたくさんのイベントを開催しました。そのおかげで逆に人と出会えたという経験もあります。どうしようもないネガティブなことが起きた時は悩んでも仕方がありません。チャンスだと思いましょう!
いかがでしたか?
十塚さんはとてもポジティブかつ行動力のある方でした。また、記事には残念ながら載せきれませんでしたが、他にもたくさんの面白い事例やアイデアをお話してくださり、インタビューは、新大宮商店街の未来への想像や期待が膨らむとても楽しい時間でした。私も十塚さんの溢れるアイデアを聞きながら「これは面白いから是非実現させたいな」とか「それはもっとこうしたら地域の人たちに喜んでもらえそう!」など妄想を膨らませてしまいました。私たちも自分の暮らす地域を良くするために自主的に動ける人でありたいですね!
最後までお読みいただきありがとうございました。
次回の記事も楽しみにお待ちください。
北区盛り上げ隊 山田陽香