"ミツバチ大量死は警告する"
今私が読んでいる本の一節を紹介します。
「長崎県下で二〇〇九年から、商品名をダントツという農薬(有効成分はクロチアニジン)が殺虫剤として水田で大規模に散布されだしたことを知る。 クロチアニジンはネオニコチノイド系(以下、ネオニコ系と略す)と呼ばれる新しいタイプの農薬の一つだ。ネオニコ系農薬は昆虫の神経を侵して殺す「神経毒」で、成分が根などから作物に浸透して茎や葉に移行する「浸透・移行性」と、効果が長続きする「残効性」を特徴とする。クロチアニジンはとりわけミツバチへの急性毒性が強く、ダントツの水溶液には「ミツバチを放飼している地域では使用を避けてください」との注意書きがついている。 「原因はダントツ以外ありえない」と久志は断言した*1。」(『ミツバチ大量死は警告する (集英社新書)』(岡田幹治 著)より)
内容説明
二一世紀になってにわかに発生した「蜂群崩壊現象」。地球上の様々な場所で同時多発的に大量のミツバチが姿を消したこの現象は、世界中を震撼させた。著者は、日本で実情を探るうち、主要因を突き止める。真犯人に浮上したのは、ハチのみならず生態系全体、さらには人間にとっても脅威となる、戦慄の化学物質だった…。人間の生活環境のみならず、生態系にまで深刻なダメージを与える環境化学物質の実態を詳細にリポートする。
目次
序章 ミツバチ一家は完全分業
第1章 ミツバチの墓があちこちに
第2章 なぜミツバチは減り続けるのか
第3章 アメリカのミツバチは疲労困憊
第4章 農薬規制に動いたEUの国々
第5章 ネオニコチノイド系農薬の罪と罰
第6章 「農薬安全神話」のまやかし
第7章 生物多様性の宝庫・田んぼの危機
第8章 急増する子どもたちの異変
第9章 広がり、深刻になる健康被害
第10章 「脱・化学物質づけ」への道