古代ローマが面白い

今私が読んでいる本の一節を紹介します。

「宗教は、それを共有しない人との間では効力を発揮しない。だが、法は、価値観を共有しない人との間でも効力を発揮できる。いや、共有しない人との間だからこそ必要なのだ。ローマ人が、誰よりも先に、そして誰よりも強く法の必要性に目覚めたのも、彼らの宗教の性質を考えれば当然の経路ではなかったかと思う。  ちなみに、ローマ人と同じく倫理道徳の正し手を神に求めなかったギリシア人は、それを哲学に求めた。哲学は、ギリシアに生れたのである。とくに、ソクラテス以後のギリシア哲学の流れは、このギリシア人の思考傾向の果実以外の何ものでもない。  人間の行動原則の正し手を、 宗教に求めたユダヤ人。 哲学に求めたギリシア人。 法律に求めたローマ人。  この一事だけでも、これら三民族の特質が浮びあがってくるぐらいである。」(『ローマは一日にして成らず──ローマ人の物語[電子版]I』(塩野 七生 著)より)


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