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【MTG趣味デッキ紹介】軽すぎる命で戦え!ゾンバードメント【モダン】

はじめに

デッキ構築のきっかけ

むかしむかしあるところ(レガシー)に、ゾンバードメントというデッキがありました。
《墓所這い》や《恐血鬼》など何度も戦場に戻ってくるクリーチャーを、《ゴブリンの砲撃》や《屍肉喰らい》で投げ続ける、というコンセプトです。

ゾンビたちをGoblin Bomberdmentで投げるところから
「ゾンバードメント」と名が付きました

やがて《ファイレクシアの供儀台》が加わり、《黄泉からの橋》と合わせた無限コンボも搭載するようになったそうな。

またEDHでも、ゾンビが出るor死亡すると相手のライフを失わせるゾンビ(以下、ライフルーズシステムとします)が複数いるため、《墓所這い》《ファイレクシアの供儀台》と組み合わせた無限コンボが定番となっています。

私の周りにゾンビEDH使いが多すぎるだけでは?

レガシーフォーマットに無縁だとしても、他の構築フォーマットで実現したくなるのがマジックプレイヤー。
しかし、モダンにおいては当然ながら《ファイレクシアの供儀台》はイリーガル。おまけに《黄泉からの橋》は禁止です。ホガークのせい。
とてもではありませんが実現は難しい状況でした。
モダンホライゾン3が来るまでは、、、

そのときゾンビ界隈に電流走る…!

《巣穴の魂商人》。
1点のライフ、及びクリーチャー1体と引き換えに宝物トークンを生み出します。
しかもあろうことか、クリーチャータイプは「ゾンビ」。
コイツ単体で《ファイレクシアの供儀台》の代わりになりつつ、《墓所這い》のキャスト条件も満たすことができるのです。

これはやるしかねぇよなぁ!!!

ということで、モダン版ゾンバードメントのはじまりはじまり~。

※有料部分ありますが、全編無料で読めます。気が向いたら投げ銭感覚で購入いただけますと嬉しいです。

挨拶

kitaと申します。MTG参戦は旧エルドレインから。冒頭で「むかしむかし~」とか言っていますが、普通に存在しない記憶です。

基本的にカジュアルプレイヤーで、環境デッキを握ることはほとんどありません。好きなカードを使って勝つことを目的にデッキを組んでいます。
(今回は好きなゾンビを存分に活躍させたい!という思いが強く、想定の3倍くらいの長文になってしまいました笑)


構想編

コンセプト

ゾンバードメントのコンセプトは、ライフルーズシステムがある状態で、《巣穴の魂商人》で《墓所這い》を反復横跳びさせて勝つ。これだけです。

基本的な流れは下記の通り。

Step1:戦場に《墓所這い》、《巣穴の魂商人》、ライフルーズシステムを用意
Step2:《巣穴の魂商人》を起動し、《墓所這い》を生贄に宝物トークンを生成
Step3:宝物トークンからマナを出し、墓地から《墓所這い》をキャスト
Step4:ライフルーズシステムが誘発
以下Step2~4を繰り返すうちに相手のライフは消し飛ぶ、という寸法です。

ライフルーズシステム枠として、今回は2マナと軽い《むら気な召使い》《死体騎士》の2種を採用。
特に前者は1点ドレインにより《巣穴の魂商人》の起動コストを帳消しにしてくれる最高の相棒です。

ゾンバードメントの強み

このコンボの強みは、大きく分けて3点あります。

①普通に3キルできる
コンボパーツが1,2,3マナなので、毎ターン順番に投げるだけで相手は○にます。
《縫い師への供給者》+《発掘》なども活用できるので非現実的ではなく、めくれが強ければ2キルも可能。
ただしお相手の台パンと引き換えであることは言うまでもありません。

②地味に妨害しにくい
メインパーツがほとんどクリーチャーのため、《否定の力》《耳の痛い静寂》に引っ掛かりません。
墓地対策はもちろん有効ですが、完全な解答は《安らかなる眠り》《墓堀りの檻》くらいで、いまのモダン環境ではあまり採用されていません。《虚無の呪文爆弾》《忍耐》《ボガートの先触れ》は一時的な対処に留まるので、再度墓地を肥やせばなんとかなります。

ただしオメーは許さん

除去が山ほど飛んできても、リアニメイトスペルを多数積むのでダメージは軽め。
《対抗呪文》《緻密》《孤独》には当たりますが、そんなんみんな一緒です。その点、低コストクリーチャーで完結するコンボであるため、テンポ面ではあまり損していないんじゃないでしょうか。

③《一つの指輪》を貫通できる
いまやモダン環境を定義している《一つの指輪》。プロテクションによる延命と大量ドローは、ミッドレンジ~コントロールデッキにとって替えの効かないカードとなっています。

気づいたら2万超えてて笑った(笑えない)

しかし、このコンボにおいては少々事情が異なります。
《むら気な召使い》《死体騎士》は、「各対戦相手」のライフを失わせます。プレーヤーを対象に取る必要がないので、プロテクションで勝ちが1ターン遠のいた、ということがありません。
相手がフルタップから指輪を投げてきたときが最大のチャンス。

デッキリスト:初期型

コンボパーツ4種に加えて、メインボードには下記カードを採用。
・墓地肥やし:《縫い師への供給者》《無名の墓》
・ドロー加速:《アンデッドの占い師》
・リアニメイトスペル:《発掘》《アガディームの覚醒》《セヴィンの再利用》

MH3にてモダンリーガル化
フラッシュバックでコンボパーツ2枚を一度に戻せたら強そう

サイドボードは、MH3発売初期ということもあり、それまでのメタゲームも考慮しつつシンプルめに選択。

こうして出来上がったものがこちら。
4枚積みがほとんどを占める(見た目だけは)美しいリストになりました。

改善編

問題の洗い出し

1人回しや対戦などを経て、いくつかの問題点が浮上しました。

問題①:さすがに妨害が少なすぎる
メインに妨害ゼロはあまりにも強気、もとい無謀でした。
最低限1スロットの除去は確保したいところです。
とはいえ、軽いカードをどんどん投げていくデッキなので、構えるタイミングが少ないことを考慮する必要があります。

問題②:《死体騎士》の勝利条件がシビア
ドレインできる《むら気な召使い》と異なり、《巣穴の魂商人》の起動コストのせいでお互い1点ずつライフが減っていきます。
つまり、《死体騎士》で勝つにはライフで優位に立っている必要があるのです。
しかし、

  • 勝ち手段である《巣穴の魂商人》やライフルーズシステムをチャンプブロックに差し出すわけにはいかない

  • 《墓所這い》《屍肉喰らい》など元々ブロックできないクリーチャーが多い

  • フェッチ+ショックインや《アンデッドの占い師》によってライフがガンガン減っていく

といった理由により、ライフで優位に立つことが難しく、コンボパーツが揃っても勝てない、という本末転倒な事態がけっこう発生してしまいました。

問題③:《無名の墓》を撃つタイミングがない
コンボパーツをなんでも探せる《無名の墓》ですが、モダン環境においてのんびりと2マナソーサリーを撃っている暇はほとんどありません。《発掘》と同時に撃てるならまだしも、ほとんどの場合はオープンリーチをしながら隙をさらすばかり。
次ターンに妨害を構えられたり、逆にコンボを決められたりと散々な目に遭うことでしょう。
《納墓》くれ~~~~~

喉から手が出るほど《納墓》を欲している図

問題④:序盤の圧力に欠ける
コンボ達成ばかりを目指してしまうと、序盤3ターン程度はせいぜい《縫い師への供給者》などのチャンプブロッカーを立たせる以外にはほぼマグロ。
安定3キルできるならまだしも、3枚コンボがいつでも都合よく揃うわけもなく、コンボパーツが除去の的になるばかり。
さらには問題①とも関連しますが、圧力不足からナドゥやネクロに悠々とコンボを決められてしまうのもツラいところです。

これらを踏まえて、3つの課題(=やるべきこと)が見えてきました。
A. コンボの成功率を上げる(パーツ収集スピードの向上&新たな勝ちパターンの創出)
B. コンボ以外のプランを取り入れる。序盤から攻められるとなお良し
C. 妨害手段(特に除去)の枠を空ける

課題解決に向けた改善策

A. コンボの成功率を上げる(パーツ収集スピードの向上&新たな勝ちパターンの創出)
最大の変更点として、勝利条件が厳しかった《死体騎士》をリストラし、新たに《マリオネットの見習い》を採用しました。

致命的な誤訳があるため、絶対に絶対に英語版をご使用ください

マリオネットには、《死体騎士》と比較して3つの強みがあります。
(a) ライフ条件が緩和される
(b)「製造」が便利
(c) 墓地対策の上から勝てる可能性がある

(a) ライフ条件が緩和される
マリオネットは、クリーチャー、及びアーティファクトが墓地に置かれると1ルーズを与えるライフルーズシステムです。
トークンでも誘発するため、魂商人を絡めたコンボでは、
(1)魂商人起動→《墓所這い》を生贄に宝物を出す⇒自分1ライフルーズ
(2)マリオネットが誘発→《墓所這い》が墓地に行く⇒相手1点ルーズ
(3)宝物を生贄に《墓所這い》キャスト⇒相手1点ルーズ
という1サイクルで、相手2ルーズ:自分1ルーズとなります。
つまり自分のライフが少なかったとしても、対戦相手の半分以下でなければ勝利できるようになり、条件が大幅に改善されました

(b)「製造」が便利
《マリオネットの見習い》がもつ「製造」というキーワード能力もなかなかに便利です。
例えば先手3tで下図のような盤面だと…

手札や墓地は便宜上省略しています。

パッと見コンボパーツ3種が揃っており勝ち確のように見えますが、
①土地3マナから魂商人キャスト
②クリーチャー2体をサクって宝物2つ
③宝物2つから騎士キャスト
で止まってしまいます。

しかし、これがマリオネットになると大きく話が変わります。
①土地3マナから魂商人キャスト
②クリーチャー2体をサクって宝物2つ
③宝物2つからマリオネットキャスト
④マリオネットの「製造」で霊気装置トークンを出す
⑤霊気装置トークンをサクって宝物1つ
⑥宝物から墓所這いキャスト
⑦以下ループ達成

まで進めることができ、一気に勝利できるのです。

自身が打消しを持たないコンボデッキでは、コンボパーツ2種を揃えてオープンリーチのまま相手にターンを渡すのは、妨害してくれと言っているようなものです(もちろん状況によっては突っ込みますが…)。
しかし、マナ加速もなく、土地も切り詰めたアグロコンボにとって、4枚目の土地を待つ行為は、これまたゆるやかに餓死していくようなもの。
この1マナ、1ターンの差が、勝率に大きく影響してくると思っています。

(c) 墓地対策の上から勝てる可能性がある
《虚空の力線》《ダウスィーの虚空歩き》がいると、ご存じの通りクリーチャー・カードが死亡しても置換効果で追放されてしまうため、諸々の死亡誘発が機能しなくなってしまいます。
 しかし、マリオネットはトークンでも誘発します。トークンはカードではないため、置換効果の影響を受けずに済むのです。

108. カード
108.2 ルールや文章に「カード/card」と記されていた場合、マジックのカードか、マジックのカードによって表されているオブジェクトのことだけを意味する。
108.2b トークンは、カード大のゲーム補助物品がトークンを表していたとしても、ルール上はカードとしては扱わない。

111.6. トークン
111.6 トークンは、パーマネント一般、あるいはそのトークンのカード・タイプやサブタイプに影響を及ぼすものの影響を受ける。トークンは(マジックのカードと同じ裏面であったり、マジックのパックから出てきたものであったりしても)カードとしては扱われない

MTG総合ルールより引用

余談ですが、トークンも追放する場合は「カードかトークンが墓地に置かれるなら~」や「これによりダメージを与えられたクリーチャーが死亡するなら~」という表記になっています。

パイオニアのサイドボードだとよく見るイメージ

《むら気な召使い》《死体騎士》はそもそも出た時誘発のため、マリオネットと同様に墓地対策の上からでもライフを削ることは可能です。
しかし、その場合は単純に後から引いたゾンビを投げるだけに留まり、どうしてもジリ貧。
マリオネットであれば、後続だけでなく既に場にいるゾンビもライフルーズの種にすることが可能となり、勝率が大幅に変わってきます。

その他、下記2点のアップデートを実施しました。
①墓地肥やしに《アンデッドの執事》
出た時3枚切削&死亡時墓地のクリーチャー回収。
ブロッカーとして延命に寄与しつつ、墓地からコンボパーツや《縫い師への供給者》を回収できるため、地味に嫌がられます。
2マナというのが若干重いので3枚。
《無名の墓》?アイツは星になったよ

②リアニメイトスペルに《黄泉帰る悪夢》
MH3より、新リアニメイトスペルを採用。
繰り返し場と墓地のクリーチャーを入れ替えることができ、《縫い師への供給者》2体をグルグルさせる動きも強力です。
基本的にエネルギーが余るので、沼サイクリングした《カザド=ドゥームのトロール》を釣れる可能性もあります。
1枚引ければ十分なので、こちらも3枚採用です。

2マナ枠の新星

B. コンボ以外のプランを取り入れる。序盤から攻められるとなお良し
このような課題、悩むまでもありません。なぜならいま握っているのはゾンビ。コンボが無理ならゾンビで殴ればいいじゃない。

既に採用している《屍肉喰らい》に加えて《滅びし者の勇者》を採用することで、序盤からガンガン攻められるように。
墓地から何度も甦る《墓所這い》とも相性良好で放置しづらく、いい感じに除去を吸ってくれます。
ちなみに、《墓所這い》《巣穴の魂商人》が揃うとライフの分だけ勇者を育てることができるので、うまくいけばワンショットで相手を撲殺することも可能(ただし自分も瀕死)。

ボックス購入特典のデザインが超クール

また、サイドボードもクリーチャー軸にすることで、相手の対策をしつつ攻められるように意識しています。
《発掘》をはじめとしたリアニメイトスペルで釣れるのも◎。

若干怪しげなコモンカードも混じっていますが…

C. 妨害手段(特に除去)の枠を空ける
生贄を多用するため、《致命的な一押し》が最も汎用性に優れます。
しかし基本的にフルタップでクリーチャーを展開するので、ピッチスペルだとさらに嬉しいところ。

そこで、MH3から《悪意の閃光》をピックアップ。
《墓所這い》《縫い師への供給者》など、命が軽いクリーチャーが大半を占めるこのデッキのコンセプトにバッチリハマります。
《濁浪の執政》《有翼の叡智、ナドゥ》《黙示録、シェオルドレッド》を落としやすいのもポイント。

ゾンビトークンでは撃てないので注意

デッキリスト:最新型

ということでアップデートしたリストがこちら。

実践編

各種マッチアップの対戦結果と所感

このリストで20戦ほど回した結果は下記の通り。

  • アグロ(マーフォーク、ズー):1勝1敗

  • ミッドレンジ(エネルギー、ジャンド、白黒ブリンク):1勝2敗

  • コントロール、テンポ(4c、青単、青黒):2勝1敗

  • コンボ(ナドゥ、ネクロ、ストーム、リビエン):5勝2敗

  • ランプ(エルドラージ):2勝0敗

  • その他(LO):3勝1敗

21戦14勝で勝率66%。
こうしてみるといまのモダンはめちゃくちゃコンボ環境ですが、それに対して勝ち越せているのは嬉しいですね。

以下、マッチアップの所感です。

  • 除去が多いフェアデッキは相性悪め。特にエネルギーから飛んでくる《静牢》がキツい。

  • コンボ相手は速度勝負できるので五分。メインから墓地対策をガン積みしているネクロは厳しかったが、《滅びし者の勇者》によるアグロプランのおかげでかなり改善された。なおリビエンは《悲嘆》《忍耐》《緻密》すべてが無理。

  • 《海の先駆け》で詰むことが何度かあったため、基本土地を優先するなど配慮が必要。かといって平地は取りたくないなぁ…

採用検討中のカード

以下、採用を検討しているカードたちです。

・《無声開拓地》
マナフラッド受けに1枚程度。
ただ、ライフ支払いが原因でギリギリ勝てない場面に遭遇したら正気を保てる自信がありません。(精神衛生上)無理に入れる必要はなさそうです。

・3枚目の《密偵長の大霊堂》
この土地、めちゃくちゃ強いです。
魂商人で《墓所這い》をグルグルしたのち、謀議10くらいでライフルーズシステムを探して勝つことができます。
が、タップインのテンポ損リスクが大きいこと、サイドボードが白マナを多く要求することから、現状2枚に留めています。
今後黒要素が強まったら増やせるかも?

・《ファイレクシアの十字軍》
赤白系のエネルギーデッキに対して無敵の強さを誇ります。
上述の通りフェアデッキは苦手なので、なにかしら対策を取りたいところ。しかもゾンビなので、ただの私情で採用してもいいくらいです(小声)。
ただ3マナと重いこと、ロードがいないために都合5回は殴る必要があること、結局《空の怒り》で流されることから、コンボ成立までの壁役として時間稼ぎをする程度になってしまいそう。

・《ドラニスの判事》
ストームやミラー(いるのか?)対策に。
《耳の痛い静寂》との比較ですが、割られやすいというのが明確なデメリットです。
あとEDHでこのカード使いたくなくて売っちゃったから買い直したくない。引くほど高いし。

か、かっけぇ~~~

おわりに

リストのアップデートにあたり、MOパンダ氏の配信を参考にさせていただきました。
私のリストは、ある種氏が紹介しているリストをゾンビ化したようなものと言えるかもしれません。
この記事が届くかは分かりませんが、ここで謝辞を述べさせていただきます。ありがとうございました。

最後になりますが、ここまでお読みいただきありがとうございました。
MTGを遊ぶ皆さんにひとつでも気づきを提供できていれば幸いです。
それはそれとして、あなたもゾンビ握りませんか??🧟‍♂️

ではまた。

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