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2024年6月

6月30日。新卒で入って3年間勤めた仕事を辞める。運転を教える仕事だった。もともとは事務職志望だったけれど、面接の時に指導員のほうが条件が良いと言われてこの道に飛び込んだ。

免許は今の職場とは別のところで取っていたけれど、自分が教習生だったときの担当指導員には憧れの気持ちを抱いていた。一緒になって成長を喜んでくれたあの人みたいになりたかった。

2年目の冬の繁忙期、無理を重ねてついに心身を壊してしまった。双極性障害だった。3ヶ月休職して復職したけれど、前のようには無理ができなかった。例えるならば最大HPが減ったような状態だ。残業をしない契約で1年頑張ったけれど、ここで辞めることにした。

ずっと人見知りで、人と喋るのが苦手で、でもそんな自分を変えたかった。変わりたかった。結果的に以前に比べるとかなり人と話すことができるようになった。それでも人間の性格の根本はなかなか変わってくれなくて、やっぱり心のどこかで苦しかった。

向いていないことをこのまま続けて症状を悪化させるより、思い切ってもっと自分に合っている別のことをやったほうがいいのではないかと思った。たくさん悩んで、やっと決断できた。

住んでいる場所も性別も年齢も様々ないろんな生徒と関わる中で、本当にいろんな人がいること、人の数だけそれぞれの人生があること、その一瞬に関われたこと、いい経験だったと思う。わざわざお手紙をくれた生徒、わかりやすかったと伝えてくれた生徒。本当にうれしかった。

やさしい先輩、後輩にも恵まれて本当にありがたかった。特に友達みたいな相棒みたいなたったひとりの同期にはずっと救われていた。お互いがいなければ途中で挫けていたね、という話を定期的にどちらともなくする。本当にそうだったと思う。

次の仕事はまだ決めていない。すこしゆっくり過ごしながら自分に向いていることを考えたいと思う。



ついにポストカードの販売を始めた。思っていたよりたくさんの人に手に取っていただけてびっくりする。うれしいしとてもありがたい。いつかはデザフェスみたいなイベントに出てみるのも楽しそうだなあと頭の片隅で思ったりもする。

はじめて恋人の前で昔のことを思い出してしまって泣いてしまった。前から子どもの頃のつらかったことがフラッシュバックみたいに急に思い出されることがしばしばあって、でも一人でいるときにしかならなかった。

恋人は、心の許し具合が自分と他の人とで違うから、一人でいるときと同じような条件になったのではないか、と言って、何を思い出したのかは深く聞かないでいてくれた。

過去に苛まれるのはもう苦しい。つらくなくなりたい。誰かに吐き出してしまえば楽になれるのかもしれないけれど、話しながら過去を再体験してしまいそうでなかなか話せない。話そうとすると思い出せなくなることもある。誰かを捌け口にするのも躊躇われる。

通院のときに相談してみたけれど、無理に思い出したり触れないほうがいいと言われた。自然のままに忘れてしまう方がいいそうだけれど、忘れてしまうまでにいったいどれだけの時間がかかるだろう。私としては多少痛みを伴ったとしても解決したいと思っていたので、仕方がないとわかってはいてもすこし拍子抜けした。

今まで私は過去を無理にでも清算しようとすることに躍起になっていたけれど、変えられない過去の苦しさにとらわれるより、今現在や未来の中でできるだけ光に目を向けていくうちに、少しでも痛みを忘れられる時間を長くできる可能性もあるのではないかとも思えるようになってきた。

それでも、今が幸せであればあるほど、あのときのあれは今考えれば変だったな、つらかったな、と過去の未消化の感情が未消化のまま出てきてしまう。光の中に影が濃く伸びるみたいだ。

自分の気持ちの整理がつくのであれば、無理のない範囲でなら書いてまとめてもいいと言われたので書く作業は続けている。ぐちゃぐちゃなまま押し込めてしまった気持ちに一つ一つ名前をつけることで漠然とした不安や恐怖が整理されて、すこし楽になれる気がする。言葉にすることで削ぎ落とされてしまう気持ちもあるけれど、単純化されることでこんなものか、と思えて楽になれる面もある。

いつか苦しくなくなりたい。完全に苦しくなくなれなくても、傷を抱えて生きていくしかなくても、せめて血だらけの状態からかさぶたくらいにはしたい。自分の気持ちにちゃんと向き合っていけたらいいなと思う。