はじめの一歩「自分たちの強み」って?
気持ち的には、第一回目の記事です。
今回は「自分たちの強み」についてです。
たいへん間違ったことを考える方の典型的な一例です。
自分たちの仕事は3Kだから、求人に人が来ない。だから、出来るだけ格好良くキレイに見せれば良い。
プロの業で****する。
上の典型的な間違いは、読み進めれば理解できてきます。
さて、強みですが、格好良く言うと「ストロングポイント」みたいな。
まずは考えましょう。「差別化」という言葉をご存知でしょうか。
マーケティングにおいて、基本のキ。
商品やサービスを販売する上で、独自のストロングポイントは大変有利なものです。
もうひとつの、大事なこと。
それは「記憶に残る」こと。
それには他社にない強みが、あなたのイメージとして人に認識させること。
ともあれ、他にない自社だけのオリジナル商品で、需要が顕著にあるなら、こんなコラム見ないでしょう。
差別化というほど、目立つ長所がないものの、
いちを長所と呼べるものは持っている。
だからといって、上手く販売が軌道に乗れない。
そんな感じの方に向けたコラムですから。
何にしても、「長所」「差別化」は重要です。
まず、独自の長所を箇条書きで書く。それが最初です。
「特に変わったことはしてないよ」って場合もあるでしょう。
それでも競合他社よりも優れた点は、何かありませんか。
他ではやっていないこと、していませんか。
あ)差別化とは、何と差別をするのか?
い)何と差別をすればいいのか?
う)これは長所も同様で、何と比べるのか?
え)誰と比べるのか?
について、よく考える必要性があります。
ストロングポイントなんて無いのに、どうしよう?
例。ダイソンの掃除機は「吸引力の落ちないたったひとつの掃除機」という「吸引力が落ちない」で売りました。
ここにはポイントが2つあります。
ポイント1)吸引力が凄いとは言っていない。
吸引力そのものは、他のメーカーと比べて特筆すべきものが無い。あまつさえ、吸引力では負ける。
そこで言っているのは、吸引力が紙パックに比べて、目詰まりによる影響が少ないという事実だけです。
あ)紙パックがいらない、だから交換の手間がない。
い)紙パックを買わなくていい、だからお財布にうれしい。
う)透明のプラだからゴミが溜まっているのがよく見えて、管理しやすい。
他に考えうる長所はあったと思いますが、
吸引力の低下原因の少なさにフィーチャーしています。
消費者にマーケティングアンケートをした場合、現状のゴミの溜まった量が見えないことや、紙パック交換の煩わしさ、紙パックというランニングコストに問題と提起する声は出るとは思いますが、実際に吸引力が落ちて困ったという声があったとは思えません。
実際に、紙パック掃除機が吸引力が落ちて困ったと経験したことのある方を僕は見たことがありません。
この比較フレーズは、なぜ出てきたのか?想像を巡らせるしかありません。
あ)紙パック交換とゴミを捨てる行動が比較された場合、メリットとしずらい。ダイソンのゴミを捨てようとして、実際にゴミ袋の外に少しゴミが散らかったという経験も多いと思います。そうなると紙パックの方がある意味、確実にごみ処理が楽だとも考えられる。ここを競合に突かれたくない。
い)紙パックを買わなくて良い。ラニング費用で考えた場合、イニシャルのコストが高いので、寿命までのトータルコストで考えられると、コスト負けする。
う)ゴミが溜まっているのが見える。メインの宣伝文句にするには、なんだか地味な気がした。
こんな想像をしてしまうわけです。
ふむふむ。
もうひとつのポイント2!
このフレーズにはもうひとつ、最大のポイントが存在します。「これまでの掃除機は使っていると吸引力が低下することが問題でした。」と勝手に言い出したことです。
実際この問題は、多くの方が気にする程のこともない問題と考えています。
ただ、このどうでもいい問題を、さも大問題のように言い出したことで生きてきた言葉が「吸引力が落ちない、たったひとつの掃除機。」なのです。
つまり!言い方ひとつで、些細なことが重要なストロングポイントになるということです。
強みは、些細なことでも大丈夫ですと言いたいのです。
最初に書いた、よくある大間違いですが、
お掃除屋さんが「すごく、キレイになります。」と言っても長所ではありません。お金を払って掃除をしてもらうのに、汚い方が問題だからです。
お食事処が「すごく、美味しい。」といういのも長所ではありません。お金を払って食べたものが、美味しくない方が問題だからです。
しかし、「ビックリするほど不味い。」であれば長所だなと思います。
おまけの豆知識)試してみたくなる気持ちをくすぐる。
「どんなに不味いか食べてやろう。」とトライをする方が一定数います。これをトライアルユーザーと呼び、トライアル商品は数多存在します。
ビールやお菓子、期間限定。トライアルを狙っています。
他と比較してみる。
お掃除屋さんが「他の掃除屋の2倍はキレイです。」と言ったなら、それは長所だと思いますし、「なんと300kcalで、満腹で美味しい。」ということなら長所だなと思います。
当たり前のことを、当たり前に言うのは失策です。
この間違え方をする人は、かなり存在します。
競合であるとか、何かと比べて秀でている必要があり、何と比べてかを明確にするのはグッドと思います。
何かと比較以外に
エシカル(倫理やモラル)に訴える。という方法があります。
エシカルマーケティングです。
環境に優しいのも長所。
環境負荷がこれまでの半分以下ならすごい長所。
すべて手作業なのも長所。
大自然、自然豊かな場所で作られたのも長所。
社会問題と戦う。
社会的弱者を救済すべく力を使っている。
それと土地の特徴は長所です。
銀座資生堂の銀座は長所ですから。
ブランドストーリーって言葉をよく見ますが。
情熱も、強みになります。
共感という行動で、自分のファンを強く惹きつけます。
ちなみにですが、
春日部の蜂蜜は「花の蜜だけ」がストロングポイントです。
養蜂において給餌は通常の行為です。
花の蜜だけというのは珍しいです。
私たちの抱える問題は、「はちみつは花の蜜で出来ている」と信じている方しか世の中にいないことです。
誰も、はちみつのことを知らないことが、販売ハードルになってしまいます。
しかし、世の中の常識を変える行為は大変に難しい行為です。
それが事実と異なる常識であっても、一部上場企業が大量に資金を投下し続けて長い期間を経て変えるものです。
具体的に社会的な常識になってしまったことに苦しんだのは、サントリーのビールです。
私の年代の子供達は、自分の親にこう言われて育ちました。
「サントリーのビールは美味くない」と。
子どもはこの言葉を頭に刷り込みました。
子どもは大人になりました。サントリーのビールは買いません。
このビールイメージを覆したのは、プレミアム・モルツです。
CMでも破格のタレント、破格の投下量だったと感じます。
美味しさの指標ではないが、持っていると美味しいのだろうとご認識されるモンドセレクションも購入し続けました。
金額、期間ともに過去刷り込まれた常識の覆しに、社運をかけるほどの苦労をしたのだろうと想像します。
世の中のみんなの持つイメージを変えるという、無謀な挑戦をしないのが基本のキです。これ、かなり勘違いで間違える方が多いです。イメージの塗替えはやめましょう!
ここを間違える方の多くは、この考え方をします。
3Kだから求人に人が来ない。かっこよく見せようは、人の常識を上書きする行為ですので、それなりのコストを払わない限り、この上書きは成功しません。
上書きではない、新規学習はコスト的にはかかりません。
キシリトールという成分が歯に良い。北欧では広く知られている。商品化前に、ニュースや記事等を使い、キシリトールという成分学習をさせた後、商品販売をしたのが、キシリトールガムです。
新規学習型は、塗替えではなく、ただの詰め込みですので、頻繁に見せるか、印象に残るよう見せれば記憶されるはずです。
成分記憶ができれば、商品を置くと、歯に良い商品でポジショニングが確率されるという寸法ですが、大変に頭の良い手法と思います。
と、同時に大変にコストと手間のかかる手法だったろうとも想像します。
そろそろまとめます。
ブランディング=かっこいい ではありません。
最高な大間違いです。
海外のお高いハンドバックをブランド物と言うので、かっこいいとか、高いものがブランドだとご認識しています。
それと、気にしておきたいのは、
当たり前のことを当たり前に言うことです。
僕はこれを好みません。
広告において評判が良いのと、評判が悪いのはウエルカムです。
普通が一番最悪だと思っています。
無理に自分のイメージを変えてしまおうとする。
無理はいけません。
物理的な長所、イメージ的な長所、エコのような倫理観へ訴えるのも長所。
様々な視点で、長所を見つけて沢山箇条書きにして眺めてみてください。
新しい発見があると思います。
僕が若い頃、日本一のコピーライターがこう言っていました。
「良いコピーとは、説得することではない。
忘れていたことを、そっと思い出させるのが良いコピーだ。」