もし神様がいるのならこの手で殴ってやる
マリオネットホテル、よかった~~~!初のTRUMPシリーズだったのですが、初見で画の美しさとストーリーの面白さに衝撃を受け、公演期間にデリコズ一気見しつつグランギニョルとTRUMPを履修して、終わったあとにCOCOONも見つつこのnoteを書いています。
末満さんの書かれる脚本って、ある種の完璧さがあるなと刀ステでずっと思っているのですが、今回のマリオネットホテルもすごくそれを感じました。
私は辛い舞台を見るときかなり俯瞰して見るタイプというか、ここで誰々が誰々に一声かけていれば回避できたのではないかとかのifを考えるのがすごく好きなのですが、なんかTRUMPシリーズって悲劇は運命によって定められているというか、抗えないものを感じますね……。黒幕は割と最後まで分からないし、今回でいえばモネ卿を止めたところでエゴ(ダミアン)が実行するからこの脚本からは逃れられないんだよな……という諦観を感じます。
物事を起こすうえでの動機部分が舞台で見せられる時間軸になくて、我々の見ている時間軸ではもう既に計画は進められていることが多いからなのかも。15年の月日をかけてモネ卿はこのイニシアチブリングを用意したし、そもそも言ってしまえばダミアンズがいる以上誰も悪くない……。ダミアン・ストーンはイニシアチブによって強制されているので。
ダミアン・ストーンという機構(存在というより機構というほうが正しいのかな?と思いました)って面白いけど難しいですね……。ダミアンズたち、グランギニョルをTRUMPに捧げるということだけは共通認識としてあるけれど、あとは割と本人たちの自我が強いですよね。少なくとも誰にもダミアンということがバレずに日常生活をできるくらいには自由。エゴくんも、小説から「美しい死」に魅入られてはいるけれど、「美しい死」としてお姉さまを殺そうとは思ってないように見える。
ここまで書いていて思ったけれど、結局グランギニョルはエゴくんではなく別のダミアン・ストーンが実行犯だったわけだから、予知夢でお姉さまが死ぬ未来が見えても、どうなってそうなったかはきっとその時が来るまで分からなかったんだろうな。これは逆に、シャルロッテを自らの手で殺したエマが異端だったのかもしれませんが……。
エゴにとってのグランギニョルの結末は、エマのいう「美しい死」なのだろうか。どちらかというと、未来がわかる分いまのほうが生き地獄のような気もします……。お姉さまの死後もきっと、シャルロッテの亡き骸を眺めて悲しむエマのようにお姉さまを想って苦しみ悲しむのでしょうが……。
ダミアン・ストーン本人が元々思い描いていたことって何だったのだろうか。結局そこは描かれることはないんだろうなと思います(やるとしたら原初のTRUMPとダミアン・ストーン本人の登場する紀元前みたいな話やるしかない)が、TRUMP本人がおそらく悲しみの中で生きてる実感を得られた経験があるから同じものをずっと捧げ続けてるみたいな感じなのかなと思っています。幼いころの好物を一生出してくるおばあちゃんみたいだな……。
結局、エゴくんって何歳くらいの設定だったんだろうか。越繭してちょっとくらい?繭期が人間でいう高校生くらいのイメージなので、20歳とかそこらなのだろうか。
推しの中でもエゴくんはかなり変人寄りのキャラ作りをしていると思うので推測するのは難しいが、今まで推しの芝居を見てきた経験上なんとなく若めの設定なんだろうなとは思った。
TRUMP年表とか見てもダリちゃんいま20前半?で、フリーダ様も同い年か±1くらいしか違わなそうで、フリーダ様とエゴくんも2~4歳くらいしか離れていなそう……。
今回このnoteをまとめるのにすごく時間がかかったのですが、過去作の履修もそうだけど、ツイッターで大量に流れてくる考察や日替わりレポを読んで自分の感想というものがかなり薄れてしまったことに愕然としていました。本当は、自分の言葉で自分なりの感想を紡いでいたかった。今回自分比で観劇数が少なかったし、TRUMPシリーズの世界観についてまったく知らないから色んな人の感想を読んだりしていたし。観劇という贅沢な趣味に、さらに複数回観劇するという業を重ねているのに、結局流れてくる文字を追っているだけのツイッターの感想なんかに影響を受けるようなつまらないものしか己の中に残らなかったという事実が、かなり悔しい。
とはいえ、やっぱり悲しくなる話よりはハッピーになれる話や見てよかったと思える話を見たいのも事実なので、……推しにはできればもうTRUMPシリーズに出ないでいただけると助かります……。