このボールを持つ感覚これだけは 体が覚えているんだ
リトルバスケは脚本がすごい。メインはスヒョンとジョンウが中心の物語だが、キャラクター一人ひとりにそれぞれストーリーがあってそれが2時間という短い尺に綺麗に無理なく詰め込まれている。
6人という人数もちょうどいいし、小物などで差別化をされていて今誰を演じているのかがすごく分かりやすい。一人ひとり見せ場があるから各々がすごく愛おしくなってくる。
私はすごくサンテが好きなのだけれど、ストーリーが見えづらいけれどサンテが一番しっかり重いものを背負っていると思う。考えれば考えるほど色んな発見があってすごく愛しくなってしまった。習ってない範囲の問題はスヒョン(ダインだけど)と一緒に挙手していたし、先生からもサンテは名前を憶えられていたからきっと普段から発言しているのだろう。でもきっと教育ママに言われて勉強させられているのだと思うし、予習復習をしても結局右から左に忘れていってしまうのだ。そして「一人でバスケやってて楽しいか?」という問いにもはい! と元気よく答えるし、他人に期待しないようにしていると言ってしまう。16歳にして一人で生きていく道を選んでしまうその寂しさが、とても辛くてとても愛おしい。
他のすべてを見ないふりして、『ボールとゴールそしてこの体』だけでサンテの世界はできている。
そんなサンテの世界を壊したのはスヒョンであり幽霊たちだ。スヒョンがサンテに影響を与えたのは言うまでもないが、1on1の曲でバスケテクニックを見せるスンウを見つめる瞳はスヒョン同様すごくキラキラしていた。間奏のスンウは本当にカッコよくて見てしまうのだが、後ろで見ている二人が憧れのまなざしでスンウを見ているのが本当に良いのでちょっと一瞬でいいので見てほしい。
スヒョンは勉強も運動も何もできない子だけれど、サンテもきっと教育ママがいなければ勉強ができなかったし、運動もすごくできるというわけではない、普通の子なのだと思う。友達がいなくて、他人に対して壁を作っている大人な子。でもきっと、元天才だったから、他人から期待される嬉しさも失望される悲しさもちゃんと知っている。友達だと思ってたのにとスヒョンに言われて久しぶりにその感覚を味わったのかな、と私は勝手に考えている。あの時守ってやれなくてごめん、というサンテの顔が本当にぐしゃぐしゃになっていて、後悔と仲直りしたいという気持ちがすごく伝わってきて、そのあと袖に逃げるようにはけていくところも含めて太田さんってすごくいい演技をされる方だなと思った。
そろそろダインの話をしたいと思いましたが、正直私はここにきてもダインのキャラを掴みかねている。親に愛されて育った子特有の優しさや天真爛漫さがあって、先を読む力に優れているすごく賢い子だと思う。サンテに見えていることに気づいたり、お父さんに声をかけようとするスヒョンを止めたり、他二人から一歩下がって周りをしっかりよく見ているなと思う。
15年も幽霊をやっているから大人びていると思いきや、だいたい登場ではスヒョンを驚かすし(勉強中のスヒョンの部屋に入るシーンや、アイスの歌の前に入ってくるところなど)全力で変顔するし子どもっぽいところもすごくある。アイスをねだるところは、まんまこの顔で家族に甘えてたんじゃないかなと思っている。
余談だが、何かお願いをするときの顔がダインだけすごく可愛い顔してるなと思う。スンウは頼む! お願い! って感じの顔に見えて、ジフンはちょっとだけ! ね! みたいな軽く見せてるように見えるが、ダインはなんか……上目遣いでおねが~い♥❤︎❤︎ みたいな顔をしている気がする。きっとこの顔をして親に何かものをねだってたのだと思うし、中学生くらいでこんな甘え方をしている子どもの親なら絶対に過保護だしソクチョにもついてくるだろうな、と思った。偏見だが。
あとは三人組のやる気ないメンバーについても話したい。たぶん推しの演じる子が一番お調子者一番面倒くさがりなのかなと思っている。(ゲーセンの)トイレに行きたいというときも横の二人からせっつかれているし、「勝つぞ 勝つぞ 俺たちは勝つ」のあたりで吉高さんにずっと筋トレさせている(なおやらされてる時もあった)し、キャプテンを決める! のところでせっつかれてやっぱり前に出ている(別の人の時もあったが)。
そもそも海といえばゲームでお寿司出したりペンギンやアザラシやるのは絶対お調子者なんですよ。
これは余談だが、どこかのインタビューでリトルバスケの日本版を作るにあたって舞台を日本に移そうかという案があったが、違うものになってしまったからやめたという話があった。これは本当に韓国のままでよかったと思う。市で雇われているバスケコーチというのは日本ではあまりピンとこないし、中学生以降はだいたい部活に所属してしまうため外部でバスケをやっているというシチュエーションもピンとこない。かといってジョンウを教師にして部活の話にしてしまうのも違うなと思った。
スヒョンやサンテの通うサンロク区は内陸のある程度都会にある街のようで、逆にソクチョは検索結果に観光おすすめサイトが出てくるくらいの観光都市らしい。大宮とか前橋とか当てはめられたら逆に嫌だったかもしれない……。
期間中ずっと頭の中を曲たちが流れていたし、きっといつかまたふとした瞬間にこの曲たちを思い出してしまうんだろうな。また何か思い出したら追記します。
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