ブラウザで完結できる、同人誌表紙メーカーでデザイン表紙をつくってみる話
概要
本をつくりたいけど表紙はどうしたら!?という話題を最近見かけるので実際に同人誌表紙メーカーさんを使ってなんとなくいい感じの表紙をつくってみたぞ、という我流チュートリアルです。
前置き
字書きのかたが「はじめて本を出してみたい!」と思ったときに直面する問題のひとつが表紙なのでは、と思います。どう用意するか考えたときにおそらくこのようなパターンが挙げられそうです。
わたしもいまは試行錯誤しつつも自分でつくっていますが、1番はじめは友人に頼んでデザインをつくっていただいたりイラストを描いていただいたりしました。
でも、ドロー系ソフトを使うにもツールが多い(Photoshop、クリスタ、Affinity Designer、メディバン、FireAlpaca、Canvaなどなど…)ので一から覚えるのは大変!誰かにお願いするための頭のなかにあるイメージを伝えるのは大変、またそのつてをあたるのも難しい…最初から有料サービスを使うのはハードルが高い…とたくさん迷ってしまうことも多いのではないでしょうか。
そんなときに役に立つのが同人誌表紙メーカーさん。よくTwitterで見かけるSS名刺メーカーシリーズさんと同じ管理者さんが制作・運営されています。
また、デザイン担当は同人誌の素材制作で有名なてんぱるさんです。
普段はIllustratorを使って表紙の作業をすることが多いわたしですが、友人知人に「はじめて本をつくる」という方を見かけたときに自分のやりかたを勧めるのは難しく…でも自分で表紙をつくるのも同人誌の楽しみのひとつだなと思っているので、それを自分の手でやるにはどうしたら…?ということを考えてたどり着いたのがこのツールでした。
実際にどんなことができるのか触ってみた上で、このツールでできることをわたしなりに紹介してみるのが本記事の趣旨です。触ってみるのがとても楽しかったので、この記事もわくわくした気持ちで書きました!
同人誌表紙メーカーとは?
豊富な素材を用意されており、ドロー系ソフトを使わずとも自身のイメージにあわせてブラウザで表紙をつくることができるツールです。無料で使用できます(すごい!)
作成できるイメージ例
公式Twitterではこんなふうにイメージを載せていらっしゃいます。ブラウザで操作するだけでここまでできるのはすごい!
選べるデザイン
さまざまなデザイン素材が色やカテゴリから選べて、ほのぼのにもイチャラブにもシリアスにも対応できそうです。デザインは2023年3月現在で600点もあります!
版サイズはA5とA6(文庫)から選べて、Adult Only・R18マークもデザインにあわせて自動的につけられます。どれもかわいくて迷ってしまいます。
公式Twitterの作例まとめ
公式Twitterにて作例ツイートをなさっていて、文字入れについてのアドバイスや、設定についてのスクリーンショットをまとめてくださっています。
その上で、一般ユーザー&字書きであるわたしが実際に触ってみて、友人知人に勧めて、こうすると「よりそれっぽくなるかも」ということをこの記事でまとめてみます。一般ユーザーの一例なので、まず上記の作例を見た上で、「こういうやりかたもあるんだな〜」程度にご覧いただけたらうれしいです。
同人誌表紙メーカーを使う前の下準備
同人誌表紙メーカーさんを使う前に、まずタイトルを考えておく必要があります。
1. タイトルは日本語がおすすめ
使えるフォントは70種類ほどありますが、そのどれもが日本語フォントです。なので、日本語のほうがそのフォントが持っているデザインを有効活用できそうです。
とはいえ、英語はダメ、というわけではなくもちろん英語のタイトルでも制作はできます。今回の記事では日本語タイトルのものをいくつか紹介しますが、以下のツイートのように英語タイトルの表紙もつくれます!
2. なんとなくのイメージを考える
本にする内容から、どんなカラーやモチーフがいいかを事前に想像しておくとよさそうです。たとえば青春ものだったら町並みや青空、ラブコメならハート、花言葉が出てくる話なら花、などなど。
以下のツイートは同人誌表紙メーカーではないですが、普段わたしがデザイン表紙をつくっているときに考えていることです。こんな感じで連想形式でモチーフを抽出しておくと、表紙をつくりやすいです。
実際につくってみる
わたしなりに何点かタイトル・属性を変えて考えてみたものをのせてみます!その際考えていたことなどもあわせて書いています。
選択カテゴリはわたしがそれぞれのデザインを選んだときにチェックをいれたカテゴリのことです。
せっかくどれも素敵でかわいいので…と思い全部の作例にR18マークを入れていますが、もちろん全年齢の本にも使えます。
※以下の作例はすべてA6サイズで作成しています。
1. 青春・学パロ
デザインは034、フォントは源ノ明朝ExtraLight、文字サイズは28pt、文字カラーは黒、横書き、左/上揃えにしたスクリーンショットがこんな感じ。
この状態でも素材のおかげでかなり雰囲気がありますが、もう少し「憂鬱」感を出せたらな〜と思ってより調整をかけてみます。
元の状態からフォントを解星オプティMedium・24ptに変更して、改行位置も調整しています。このタイトルの場合「ちょっと」の「ょ」と「っ」の小さな文字が空白が空いて見えるので、ほかの文字と並べないほうがバランスがとれそうだな、と思いそうしています。
配置のカスタマイズも調整していて、字間や行間を少しだけ広げて、より雰囲気を出す・ダルそう〜な感じに仕上げてみています。笑
配置のカスタマイズについては「表紙印刷範囲・内枠の確認」にチェックをいれて、この範囲におさまるように調整しています。
ちなみにそれぞれこういう意味があったりします。
R18マークを入れるときは、そのデザイン特有のマークがあるので、それと対象位置にするとバランスがとりやすいのでおすすめです。詳しくは以下のツイートをご覧ください!
2. ラノベ調、アホエロ
デザインは161、フォントはZEN丸ゴシックMedium、文字サイズは28pt、文字カラーは白、横書き、中央揃えにしたスクリーンショットがこんな感じ。
この状態でもかわいいのですが、「むちゃくちゃ」のあたりがちょっと気になるので、もう少しだけ調整をかけてみます。
元の状態から、フォントをZEN丸ゴシックBlackにして太くしてよりポップな雰囲気にし、均等揃えにすることで文字ごとの大きさのばらつきを軽減しています。
配置のカスタマイズと印刷表示範囲については以下のようにしています。
3. 切ない、シリアス
デザインは248、フォントは源ノ明朝ExtraLight、文字サイズは28pt、文字カラーは白、縦書き、左/上揃えにしたスクリーンショットがこんな感じ。
よりインパクトが出るような雰囲気にするならどうするかな〜と思い、調整をかけてみます!
元の状態から、はんなり明朝に変更し文字サイズも62ptにしかなり大きくし、一般の文庫本にありそうな雰囲気にしてみました。
こちらは敢えて内枠からはみでるようなカスタマイズをしています。その場合はちゃんと「タイトルが内枠から出ている」ことを知らせてくれるエラーが表示されます。
4. ほのぼの、穏やか
デザインは432、フォントは源ノ明朝ExtraLight、文字サイズは28pt、文字カラーは黒、横書き、中央揃えにしたスクリーンショットがこんな感じ。
この状態でもかなり雰囲気があるのですが、より細部の調整をかけてみます。
元の状態からフォントをはんなり明朝にし、フォントサイズを22ptにし、字間をかなりあけています。それ以外の調整は特に行っていないので、印刷表示範囲のスクリーンショットは割愛します。
裏表紙の表記・背表紙
裏表紙によくある表記や、背表紙に文字をいれることができます。背表紙に文字入れする場合は10mm以上が対応のようです。サンプルとして入れてみた状態はこちら。ここまでできれば入稿できるようになります。
背表紙・背幅の設定については使用する紙の厚さや印刷所によって変わってくるので、詳しくは印刷所のガイドをご確認ください。
調整するときのワンポイント
文字数は5字以上がよさそう
バランスをとりやすくするのであれば5文字以上のタイトルがおすすめです。とはいえこだわりのタイトルを変更するのが難しい…という場合は、以下のアドバイスが参考になりそうです。
配置のカスタマイズで位置を移動させてサブタイトルをつける、という内容なので、よりデザインの幅が広がりそうだな〜と思います。
注意事項
入稿時には必ず、オンライン画像出力サービスを使ってつくった表紙データだということを利用する印刷所に伝える必要があります。
印刷所への連絡事項や注意事項などが細かくまとまっているので、詳しくは同人誌表紙メーカー内の「表紙を印刷する前に」のページを必ず確認した上で入稿してください。
おわりに
無料でここまでつくれるのは本当にすごい…!と紹介していてしみじみ感じました。もちろん、このツールでできない表現もたくさんあるのですが、この範囲に収まらないやりたいことを見つけたらはじめて合いそうなドロー系ソフトのチュートリアルを探してみる…という指標になる、はじめて本をつくるかたにはとてもおすすめだし、慣れている方にとっても気楽に表紙がつくれる素敵なツールだと思います!
冒頭にて紹介した公式の作例はとにかくたくさんあるので、自分に合いそうなデザインを探して、ご自身のイメージにあう表紙をご自身でつくってみてください!自分の手でつくったものって愛着が湧くと思うので、この記事で興味を持っていただける機会があればうれしいです;)
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