人の脊髄反射を笑うな/週刊「外国人就労関連ニュースまとめ」(22.3.27-22.4.2)
今年のアカデミー賞でウィル・スミスが獲得した栄光を(事前に)台無しにした件。洋画ファンとして言いたいことはいっぱいあったのですが、秤が揺れているうちは目盛りの数字は読めないのに、みんな口々に好き勝手言うじゃん。と呆れていたらあっという間に世間が飽きてしまい。
仕方ないので、私はもう一方の当事者であるクリス・ロックの作品を見たり
当夜の司会者で、実はクリス・ロックより早い時間帯でウィルとジェイダ・ピンケット夫妻をネタにしていたレジーナ・ホール主演作を見たりしていました。
あと、ウィル・スミスより前に、妻のペネロペ・クルスがクリス・ロックにネタにされ仏頂面をしていたとき「何もしなかった」ハビエル・バルデムのコメントを誰か取ってきて。彼は今、何を思うのか。
自分がウィル・スミスと同じ立場にいたらどうしたか。を想像すれば彼の取った行動を非難する気にはなれないものの、同時に、あの行動を俯瞰すれば別の意見も出る。
アンビバレンツを統合するのが私という個で、つまり一連の話、考えれば考えるほど、断罪したり理解したり、簡単には出来ない。ですよね。
怖いのは、自分にはまだ分かっていない要素があるかも。という可能性を無視してニュース速報を目にした瞬間、「自分が分かる物語」にトリミングして受容するトレンドそのものです。しかもトリミングしたことを都合よく忘れるじゃないですか。
もうちょっと考えてから何か言う習慣を、俺たちは取り戻すべきではないのか。
■たとえば時事通信の記事中に
“昨年の通常国会に提出された入管難民法改正案に「補完的保護」の創設が盛り込まれたが、与野党対立のあおりで廃案となり、実現していない”
って一節があったんですよ。
これ「難民申請は嘘」「不法滞在者が死んでも自己責任」みたいな声をあげるひとたちが無条件に理解している「入管法を改正すべきだった」文脈が既定のものとされているわけ。
ちょっと待って。入管法改正云々はいったん横におくとしても、わざわざ「避難民」なんて区分を作ったから困ってるんでしょ?
「法律上の難民」として扱えば解決する話じゃないですか。
難民と別の存在として「避難民」という単語を政府とメディアが一体となって生み出し、かつ、あたかも前から在ったような顔つきになった瞬間については、当欄でも1ヵ月前、長々と目撃談を書きました。
私だけの声では心もとないところ、信濃毎日新聞の社説(2022/3/29)も指摘しています。
以下は私が先週、失笑した見出し。
「ウクライナ難民」ということばが禁忌になっている媒体(読売新聞)ではこう表現されますが
ふつうに書けばこう(AFPBB)
別の記事を伝える朝日新聞系列媒体も見ておきますか。
ウクライナ難民ともウクライナ避難民とも書きたくない意志表示。
■今週のその他ニュース。に行く前に
外国人実習生が出産した子どもがどうなるか、過去に例がなかったわけではない。ってことを、ニュースのこの見出しに義憤を覚えるようなひとたちにこそ、知っておいてもらいたいんですよ。
そう、この話の延長に、死体遺棄罪に問われている女性がいることも忘れないで。
■さて、今週のその他ニュース。映像メディアがニュースとして技能実習生を取り上げる回数がずいぶん増えました
以下はNHK各地の放送局
この辺のウェブ記事、みんな競うように早々と消してしまうので、サムネイルと見出しだけでも残しておきたい。
■介護の国家試験結果が分かるタイミングだったので、今週はこんなニュースもありました
images from Instagram of Will Smith