見出し画像

学べばいいと思うの/週刊「外国人就労関連ニュースまとめ」(21.7.18-21.7.24)

大坂なおみファンとしてのnoteを何度も書いている私ですが、同時に今般のスポーツイベントは否定する信条なので、当該イベント開会式において推しが晴れがましい役目を仰せつかった件に関する気持ちを表すのは難しい……わけがなく、なおみ姐さんが喜んでるからいいんだよ! としか思いません。

この起用を否定する声がちらっと目に入ったので典型的なファンはどう答えるか、というテストケースでもいかがですか。
「日本語もしゃべれないくせに」……誤認。姉ほどではないけど基本、日本語で会話できるんですよ、身内にしか披露しないだけで。
「BLMには熱心だがアジア系差別には声をあげなかったくせに」……すみません、それを理由にあなたが彼女を嫌う理由は分かるとして、それと彼女の国籍が日本なことと、関係ある?
「自分の都合で鬱病って言い訳を使って」……(こういう事いうひと、本当にいるんですよ)まず自分が認識している鬱の定義を教えてくれ。次に、人間の心理的葛藤の発露がどれだけ多様か、俺が考える鬱じゃない鬱が存在することを知ってくれ。
全仏オープンの際も思ったことだけど、骨が折れて血がダラダラ流れていればどんな奴でもその「痛そうなこと」は理解できるけど、メンタルやられてる状態って、理解しようとしないひとには金輪際、理解されないですよね。

……何の話? ああ、もっと学ばないとダメじゃないのか。って話でした。今週はそういうニュースが多くて。

警察によりますと、22日午後5時ごろ、さいたま市大宮区の繁華街で、「外国人が泥酔している」と近くの交番に通報がありました。
警察は、酔って路上で寝ていた、さいたま市に住む20代の外国籍の男性を保護しましたが、持っていた在留カードの期限が切れていて、更新したかどうか話が二転三転したことから、22日夜遅く、男性を不法残留の疑いで逮捕しました。

待て待て。酔っ払い相手ご苦労さまとしか言いようがないけど、すぐに「不法残留の疑いで」逮捕するんじゃないよ。保護だろ、保護。翌朝、目が覚めてから話を聞けや。その手順は「外国人」には適用しなくていい、ってどこで習ったんだ。あるいはどこでそんなことを教えているんだ。

広告会社からは、ラティールさんのほか、セネガル人の弦楽器奏者と日本人のタップダンサーがメインで出演すると説明があり、引き受けることにした。ラティールさんは歌唱と打楽器を担当。オンラインで打ち合わせを重ね、4月22日には開会式出演の取り決めなどに同意する書類にもサインした。(中略)
5月上旬になってマネジメント会社に問い合わせたところ、「出演がキャンセルになった」と電話で告げられた。突然のキャンセルに納得できず、広告会社の担当者に理由を尋ねると、次のような趣旨の説明があったという。
「開会式の内容を確認した大会組織委側が、『なぜここにアフリカ人が?となる。そしたら他の国籍も入れないといけないという話になる』と指摘した。そしてラティールさんらセネガル人2人の出演をキャンセルするよう求めてきた」

当該イベントを見ていないので、当該シーンにおける当該人物の重要性がよくわからないままなのですが、クイーンの「Teo Torriatte」が流れたとかハンス・ジマーの(違)「イマジン」が別のパートでは使われたらしいじゃないですか。つまり日本人じゃないと出てはならん。ってことではない、って理解でいいんですよね? そもそも国籍が問われるイベントなんですか?

ウガンダの20歳の若者が母国に居たら稼げないから。って置き手紙をして脱走したニュース、ありましたね。

見つかった、帰国したくないってゴネてたらしいけど結局帰った。
じゃあその件はおしまいだな。
……おしまいだな?

そもそも経済難民は認められない、とかいう主張には個人的には爆笑するしかなく、だって技能実習制度なんて経済難民受け入れを「公的にラベルを付け替えることで」促進している事例じゃないですか。どの口で言うとんねん。この口か、え、この口がそんな事を言うのんか(ぎゅー)

なんにせよ、行き当たりばったりで逃げ出して良いことなんかないよ、って話と、「そういう連中が口にする難民申請なんてとりあっていたらキリがない」って話は別です。全難連の申入書にあるとおり

本件選手がウガンダ帰国後に本国政府からどのような処遇・対応を受けたのかについては、日本政府は難民条約加入国としてその責務を適切に果たしたか検証するため、最低限追跡調査をするべきであると考えます。

失踪期間中、ウガンダ政府の公的アナウンスとして「スポーツ界からは追放」ということばが出ていたのですが、案の定、帰国後の取り調べにおいてもロクな目にあっていない模様で。なんならメダリストも国家元首が約束した褒章を受け取っていないとか、スラム暮らしを余儀なくされているとか。

学ばないとダメだよ俺たちシリーズ、特に難民についてはどう振る舞うのが正しいのか、分からないことも多いですからね。
専門家に聞けばいいんだよ、って全難連も書いている通りだと思うの。

その意味では入管庁とUNHCRの連携ニュースは良い方向。
問題は「意見は聞くがその通りにするとは言ってない」って入管庁のスタンスなわけですが。

■入管庁の親玉、法務省の大臣が閣議後記者会見で記者からケンカを売られてそのケンカを買っている様子が議事録にあったので紹介しておきます

【記者】人として対応したということであれば,顔を合わせて名刺を交換して挨拶をする,言葉を交わすということをやっていただきたいと思います。
【大臣】何をすべきかということについて,お考えを述べていらっしゃるのですか。私がそれをやっていなかったということについて,その場にいらっしゃらないお立場で御質問してもらっているのですが,そういうことをすべきではないかというのは,一般論としての御質問ですか。
【記者】今後,そういう態度で臨むべきではないかと。
【大臣】どういう態度というのは御存じなのですか。私は先ほど人として対応するということで申し上げたところでございます。どの場面におきましても,そのように振る舞っております。
【記者】ではお聞きします。指宿弁護士とお会いしたときに,御挨拶をされましたか,名刺交換をされましたか。
【大臣】個別の状況の中で御遺族の方にお会いした場面についてお話をするということにつきましては,お答えを差し控えさせていただきたいと申し上げているところでございます。
【記者】御回答できないということですね。そのことは,こちらの感じたことを質問で入れたのですが,お答えできないということですか。
【大臣】差し控えさせていただくということです。御遺族の方に個人的にお会いをするという場の中でのことであります。ですから,その場面のことについては,お答えを差し控えさせていただきたいと申し上げたところであります。

毎度思うんですけど「大臣はキレて今日も真っ当に回答しなかった」ってこの繰り返しに生産性はあるのでしょうか。俺も面白がっていていいのか、という話でもあるんですけど。
危うくこの回の答弁でいちばん注目すべきはこの喧嘩シーンではなく、こっちだわ。って箇所をスルーしそうになりました。

入管の収容者数についてお聞きいたします。6月20日の世界難民の日を前に,出入国在留管理庁長官が一部報道の取材に応じまして,「全件収容主義と決別すべく不退転の決意で取り組む。」と述べられています。
大臣も全件収容主義からの決別ということは,これまで何回か御発言があったかと思うのですが,現在,全国の入管収容者数は,ピーク時1,000人の約5分の1以下の140人にまで減少しています。これによって,国内の治安が乱れたという指摘は聞こえてきません。法改正をせずに,今のような状態にまでできるのであれば,なぜもっと早く餓死者などが出た原因となった収容長期化を解消する策に,法務省が動かなかったのかという点が気になるのですが,コロナ禍だから収容者数をここまで減らしただけだということなのか,スリランカ人女性の問題を含め,国内外の非難があり,今後はコロナ禍かどうかにかかわらず,法務省として収容者数を確実に減らしていくということなのか,大臣の見解をお聞かせください。

この問いについて、法相が正面から答えないのは責められるべきだと思うんです。

■という流れでようやく「実はこのニュースこそが今週最も大きく問われるべき」話に到達

外国人が嫌いだ、というゼノフォビアの話だと思っていたんですけど、むしろ女なんて嫌いだ、というミソジニーの要素もバカにできないぐらい混ざってますね、これ。
何度でも繰り返しますけど、裁かれているのは日本社会ですよ。ベトナム人技能実習生じゃないですよ。

われわれの社会は変わっていけるのか。

最後のニュースは見出しに国籍への言及がないだけマシですけど、本文ではきっちりこんなふうに書かれています。

(引用者注:被害者は、逮捕された容疑者の)男がベトナム人と聞き、「実際にお金がないのか、食料がないのか分からないが、人の物を取るのは最低。不法滞在というが、そういうところの管理はどうなっているのか」と疑問を持つ。男の関係先からコメ袋が大量に見つかり、「まさかそんなに出るとは。本当にあちこちでやっていたんだろうな」と推察した

同じ記事を別の切り口(気の毒なベトナム人たちよ!)で書くことだって不可能ではないなか、どういう書きぶりで世に送り出すか、新聞記者の腕ですけど、その辺に自覚的になったほうがいいよ、という感想です。

■今週も俺はもう力が尽きたからリンク貼るだけにさせてくれコーナーでお別れです



いいなと思ったら応援しよう!