末っ子キャラ、ムスリム君を見ながら
photo: Rifat Attamimi by courtesy of flickr
東京駅を9時過ぎに発つ新幹線でお客様をご案内するミッション。総勢5名とはいえ、うち1名はパートナー会社から派遣されたムスリム君(技能実習を経て正社員採用された20代男子)つまりホストの俺サイド。のはずだったんですけど、東京駅に真っ先に来てしかるべき彼が現れたのは9時まわってから、即ち発車直前。もちろん私を含めた全6人中、最も遅い到着でした。
車で駅に着いたお客様は八重洲口にいるが新幹線改札口までの案内は。自動改札を通る際の諸注意は。メインゲスト最大の関心事である喫煙所はどこ。などなど、本来ムスリム君がケアするはずのアレコレに私が追われるなか「おはようございます。新幹線乗り場に着きました」というおっとりした電話が入ります。
「着いた? いま目の前に見えてる新幹線乗り場の色、何色?」「色ですか」「うん、新幹線乗り場って書いてあるでしょ、それ青くない?」「青ですね」「あーそれ東海道新幹線だね。もうちょっと奥の方まで来て。緑色で新幹線乗り場って書いてあるから」「わかりました」みたいな会話を経てようやく登場する若者。
興味深かったのは主賓ご夫妻、取引先社長および支社長、全員ムスリム君からすると雲の上の存在なんですけど、みんながみんな「おお、ずいぶんのんびり来たな笑」というムードで彼を迎えていたこと。
あのねえ、弊社で同じことを若手社員がやらかしたら泣きたくなるぐらい叱り飛ばされるシーンですよこれ。
当のムスリム君に遅刻の自覚が無いわけではなく、それなりに申し訳なさそうにしているものの、なにしろ誰も彼の遅刻を責めないため、すべてが順調に推移したケース以上に鷹揚な空気が漂う、という不思議な展開。
この人間関係のありようは、日本人よりインドネシア人のほうがいい。そう思いました。