週刊外国人就労関連ニュースまとめ(20.6.28-20.7.4)
いきなり3カ月前のニュースを紹介するんですが。
札幌国際大学(札幌市清田区)で、定員充足のため、2019年4月に留学生を急増させた経営側の対応に対し、一部の教員が「日本語能力が大学に入学させる基準に達していない学生が多く、安易な受け入れだ」と反発。入国管理局や文部科学省に調査するよう求めるなど、学内が混乱している
まさにその「一部の教員」が解雇されたニュースが今週報じられたことで、3カ月前の話を蒸し返す絶好の機会が到来。
“札幌国際大学は毎日新聞の取材に対し「個別事案については回答を差し控える」と答えた”って、むしろ刮目して待て。って意味ですよね、ありがとうございます。続報をお待ちしてます。
■そういえば朝日新聞ハノイ支局の記者がこんなことを書いていて
外国人技能実習生として日本で働いたことのあるベトナム人の男性(28)と知り合った。SNSを通じて知人に紹介してもらって2カ月。新型コロナウイルスの感染が収まった6月6日、ハノイのカフェでようやく会えた。
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男性の会社から実習生を受け入れる日本の企業関係者は、ベトナムまで候補者の面接に来る。男性はその際、通訳を兼ねて接待の案内係をさせられる。ゴルフや食事、夜のカラオケやマッサージ……。「気に入らなければ怒られる。建設会社の社長を一週間、毎晩接待した時は一番ひどかった」
こういうの、今は技能実習制度が槍玉にあがるトレンドですけどね、ほんの2~3年前までは留学生を「本当の日本語能力にかかわらず受け入れてくれる」学校関係者によって同じ構図が現地でくりひろげられていたわけです。その証拠が最初に紹介したナントカ大学のようなテイタラクで。
それはそうと、よ。
「日本に行って一番良かったのはどんなことですか?」
私の何げない質問に男性は「景色です」と答えた
おい、よくそんなこと聞けたな。と真顔になる私。
■俺たちはイイカゲンにしたほうがいい
今年で21回目の開催。感染防止のため、恒例のカウントダウンは見送られ、関係者が見守るなか、川沿いの遊歩道に並んだ約1200個のちょうちんが静かに点灯した。友人4人と訪れた兵庫県尼崎市のベトナム人技能実習生、グエン・ティ・トゥアンさん(20)は「とてもきれい。SNSで友達に見せてあげたい」と話した。
待て待て。ホイアンのランタン祭と比べたら失笑するしかない規模でしょ、社交辞令を真に受けてこの子は本当に(タメイキ)。
■ニッポン全国技能実習ニュース
茨城のニュースは「技能実習で働く場所がなくなったら特定活動を経て特定技能に」って政府も推奨している理想的なルートを紹介しているものですが、北海道のニュースは「技能実習制度にこだわってるからでしょ?」だし、3つ目の毎日新聞香川版に至っては、まだそんな認識なのか、さすがに遅すぎるのでは。みたいな感想しかありません。
って思ってたら天下の日経が“有力な送り出し国として期待したベトナムとの調整も遅れた”云々って書いたりしていて、え、いつの記事? って誇張でもなんでもなく、日付を3度見しました。
MOC(特定技能に関する二国間の協力覚書)を日本がベトナムと結んだのは1年前。なのに話がぜんぜん進まない、それは……ってそこを書くのがメディアの仕事でしょー。
■日経新聞はこっちの記事ではちゃんと仕事してたので、まあいいか
■今週読んだなかでも印象的だったのは沖縄タイムスのこの記事でした
来沖6年目で昨年春に県内の専門学校を卒業し本島北部のホテルに就職したネパール出身の女性(34)。転職のため2月、那覇市に引っ越して那覇空港内の仕事に就いたが3月末、突然退職届を書かされ、解雇された。
4月17日付で就労ビザの期限切れを迎え、在留資格が出国を準備するための3カ月の「短期滞在」になった。...10万円の特別給付金申請書が届かないため市役所の窓口を訪ねると「ビザが短期滞在に変更されたのに伴い、住民票が取り消された」と告げられた。
国は4月27日時点で住民基本台帳に登録されている人を10万円給付の基準とする。沖縄に5年以上住み続けてきた女性も、給付の対象外とされた。
那覇市の担当者は「これまでも(女性と)同様の問い合わせが数件あった。国に相談してみたが、対応方法の指示がなかった」と説明する。
まあね、困ってるのはおまえたちだけじゃないんだ。って言っちゃう人がたくさん居るのは知ってますけどね。
人手が足りないから来て。って呼んだんだから、呼んだなりの責任は果たすべきでは、って私は思うんですけど、仕事があるうちは相応の対価を渡していたんだから、それ以上、無い袖はふれない、ってエピソードが多すぎない? じゃあせめて「袖が無い」らしくふるまおうぜ。
■「不法滞在などで国外退去処分になった外国人は本来、速やかに本国に送還されるべきである」
見出しの表現しかり、全体のトーンしかり、ああそっち側の意見ね。てなものですが、“収容が一定期間を超える場合に、第三者機関が審査し、適否を判断する仕組みが必要ではないか”ってところだけは正論だと思いました。
それにしても「不応滞在などで国外退去処分になった外国人」のイメージが貧困なのが、こういう主張につながっている気はします。
ひとりひとりに異なる物語がある、ってあたりまえのことは、たとえば今日紹介した記事をちょっと見ただけでも分かることですからね。