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「私は日本にお邪魔している身なんだから、優等生でいなきゃいけない」/週刊「外国人就労関連ニュースまとめ」(22.6.5-22.6.11)

目先の変わるニュースに心が動きがちですが、今週公開されたなかで断然興味深く読めたのは現代ビジネスのこれ。

(鳥井)出稼ぎ労働というのは社会の問題を映し出す鏡なんですよ。人々の移動によって社会が活性化して、その社会に潜む構造的な問題が明らかになるということでしょうね

(シャラ)タレントのローラさんのお父さんが逮捕されたときに、バングラデシュ人全体が非難されるようなこともありました。私自身も、母に「普通の日本人がしていることをあなたが同じようにしただけでも、あなたは『外国人だから』と非難されるんだから、行動によく気をつけるのよ」と言われながら育ってきました。「○○人」である前に個として生きていけるような社会の実現のためにできることって何があるんでしょうか。私が現在取り組んでいる表現活動も、最終的にはそこを目指しているつもりなのですが……

(鳥井)戦争というものに対して、私たちの運動は何ができるのかということも考えています。暴力に対して私たちはいかに対抗できるかと考えたときに、難民の受け入れっていうのは実は人々の対立や戦争を止めるひとつの道筋でもあるんですよね。本当の意味で人が移動すること、逃げることの自由が作られていけば、それは戦争に対抗する大きな手段になるんです…ナショナリズムを守ろうとすることで戦争が起きるわけだから。移動の自由によって悪しきナショナリズムを切り崩していくことができる。でも、皮肉なことに日本社会に馴染もうとするあまりに、逆に過剰に日本人化する移民の人たちも多くいます。
(シャラ)すごくわかります! 自分自身にもそういう傾向を感じます。最近は表現活動を通していろいろなメッセージを発信するようになったけれど、日本人は強い自己主張をしないから、自分もそうあるべきだと考えて生きてきました。自分を表現すること自体がマス的な日本人らしさとは正反対にあるものだから、なるべく自分の意見は言わないようにしようという意識が強かった…私は日本にお邪魔している身なんだから、優等生でいなきゃいけないと思っていました。

引用の(…)部に省略あります

■毎週毎週、日本で暮らす外国人をキーワードにニュースをクリップしていると否応なくステレオタイプな見方が鼻についてくるので、上記3本の、シャラ・ラジマによる鳥井一平インタビュー、特に聞き手の「型にはまりたくない」スタンスに共感したところはあります。

ステレオタイプ、ってたとえば以下のような記事が表す事象をイメージしているんですけど。

「ガイコクジンは何をやるか分かったもんじゃない」
「人手不足の解消に助かるわー」
「人権は守らねばならない!」
……個々の記事がどうこうではなく、昨日の繰り返しの今日。みたいな記事ばっかり目に入ると飽きるよね、ぐらいの感想なんですけどね。
それはそうと岐阜日報のサムネイル、なんらかのバイアス再生産に寄与してませんか。

■続々と発覚してますけど

ごめん返して。って自治体は言うしかないだろうけど、もし自分が返金しろって言われたら困るよなあ、って感想にしかならないので、「生活が困窮した世帯」にパッと見で分類されたのなら「外国人技能実習生だから対象外だったわ」って後者を「でも1回払っちゃったし」って活かす道だって知恵を絞れば出そうな気もするんですけどね。

■書き手の問題なのかねえ

「訪日客受け入れ再開」記事、上のような切り口ばっかりだよなー。って思ってちょっと違う方角からの文章があってうれしくなったら

筆者が(職業:ドイツ人の)マライ・メントラインで、いやガイコクジンだから良いんだ、ってそんな話じゃなかろう。と内心あわてる私。

そうそう、「旅行業界」とか話題をひろげるから漠然としたテキストになるのであって、日経の上記記事のように、たとえばニセコ限定に対象を絞れば類型的な書きぶりを免れ得るんじゃない?

■つまり自分のことばで語るのがいちばん響く、っていうあたりまえのことなんでしょう

裁判官と市民の皆さんに、どうしても、お話したいことがあったからです。
裁判官と、すべての日本市民は、少しでも早く、姉のビデオを見てください。日本という国で、人間がどのように扱われて死んでしまったのか、見てほしいのです。
すべての外国人とすべての日本人のために、出入国管理局には変わってほしい。日本政府は、姉のことで謝ってほしい。そして、責任を認めて、必ず変わってほしい。
特に日本の入管収容制度には、完全に変わってほしい。こんな悲しい思いをするのは、ウィシュマと私たち家族で最後にしてほしい。
私は裁判官を信じます。この訴訟で正しい判決が出て、日本が、人間を大切にする国に必ず変わってくれると、信じています。

引用者による改行位置編集あります

■今週のその他ニュース

ワースフェニックスは自分の居住地を絶対に言おうとしない。だが彼が南の島にいるということはわかっている。沖縄の可能性が高いだろう。日本人の家庭で暮らしながら、秘密保持のために新しい名前を名乗っているのだという。それが日本の外務省の出した条件だった

最後の話、その後どうなったんだ。と気になっていたのでナイスフォロー。

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