読み返すと良いこと書いてるな俺。/週刊「外国人就労関連ニュースまとめ」(21.11.7-21.11.13)
海外からの入国制限が緩和された、というニュースがもりもり出ていた1週間でしたが、歓迎しつつ、問題もあります。って報道が主流でした。
期待の一方で今後への不安の声もきかれました(略)
待機期間中の宿泊費用や食事の提供などもすべて受け入れ側が用意する必要があり、大きな負担となっています
経済界には慎重な声が目立った(略)
北海道銀行は中国・瀋陽事務所の職員が現地で接種したワクチンが、日本政府が制限緩和の条件としたワクチンではないため「往来が難しい状況には変わりない」と説明。ロシアなどでの感染拡大を踏まえ、海外出張については今後も慎重に対応する方針(略)
(引用者注: 眼鏡販売道内大手のコメント)「東南アジアでは感染が広がっている。帰国後の待機期間が3日に短縮されても、感染対策として1週間は自主隔離が必要だ」
技能実習生 ニュアンさん
「飛行機がめちゃ高いので帰れないです。20万円位になります」
コロナが沈静化しつつある今、ベトナムと日本を結ぶ航空機の運賃は、通常の2~3倍近くまで高騰しています。これは、海外から日本に入国する際も同じ。
技能実習を修了した7人が帰国できず、6カ月単位で更新可能な在留資格「特定活動」に移行し、「特定技能」を目指して働き続けている。一方、今夏入国予定だったベトナム人の実習生5人が現地で待機中。このタイミングで新たな実習生が入ってくると、人員態勢に狂いが生じる(略)
事業部長は「今後、人員計画が立てやすくなるが、全体を考え直さないといけない」
「手続きを進めたいが、政府の対応があまりにもひどすぎる。どこに相談すればいいのか、どうやって申請をすればいいのか、いつ許可が下りるのか、何もかもがさっぱり分からない」。複数の企業から委託を受けて活動する関東のある監理団体の職員はこう話す。(略)
自社業務の所管省庁や部署がどこなのかはっきりしない例が多い。申請を受け付けるのは「経済産業省 製造産業局」とか「国土交通省 都市局 都市安全課」といった各省庁の部署単位となり、公表されている「各省庁申請窓口一覧」には70以上の受付先が並ぶ。監理団体や受け入れ企業はどこに申請を出せばいいのか戸惑い、問い合わせをしても省庁間や部署間でたらい回しになるケースもある。
この日経ビジネスの記事は最後に
実習生の送り出しの現場からは「受け入れる外国人の数をできる限り絞りたいというのが日本政府の本音なのだろう。入国規制の緩和で感染が拡大してしまった際に、責任の所在を曖昧にしたいといった意図も透けて見える」(送り出し機関関係者)という声も出ている。規制の緩和は「建前」にすぎないのか。
と〆ていて、ああなるほど。って感想になりました。
ちなみに台湾もインドネシアからの入国を再開、というニュースがあったようで
翻訳頼みですからニュアンスは分かりませんが、入国後の隔離施設の用意は台湾がおこない、入国前の検査はインドネシア側がおこなう、など2国間で歩調がそろっていること。
タイ、フィリピン、ベトナムなどとは現在協議中とある通り、国家単位で感染対策の状況が異なることを前提にしていて、こりゃ感染拡大後の責任をうやむやにはしないな。って感心したのです。うらやましくないですか。
■実は今週「1年前のニュースの続報」も多かったんです。最も注目を集めたのは技能実習生が死産したら死体遺棄罪に問われたこちらの件
起訴されたニュースを私が最初に紹介したのは去年の12月第1週。
起訴を受け、レー被告の弁護人の松野信夫弁護士が熊本市で記者会見し、「被告は『妊娠すれば、解雇や帰国させられる』との恐怖心があり、誰にも相談できなかった。起訴に至ったのは極めて残念だ」
ほかのニュースの並びを見て、そうそうちょうど1年前は群馬のアニキで盛り上がっていたころだったわ。と記憶が蘇る。
■そのころ起きた強盗殺人事件の判決が確定
被告は18年10月、ベトナムに妻と3人の子どもを残し、技能実習生として来日。出国の際、現地の送り出し機関への手数料など総額200万円の借金をしていた。
食品関係の仕事を希望していたが、奈良県内の金属加工工場で働いた。給料は手取りで月平均11万7600円。「送り出し機関からは残業代を含めて月14万~15万円もらえると聞いていた」という。
1年前、この件を紹介したときの文章を読むと、北関東で起きている一連の・ベトナム人由来の凶悪事件。みたいな世間の空気を思い出せます。
貧しい国から出稼ぎにやって来る外国人がやらかす犯罪に、いつ自分も巻き込まれるか分からないのだから、外国人の動向には目を配っておくべき。
という言い方であればすんなり耳に入るひとのほうが、まだ多い気がしますけどね、個人的には、そうじゃなくて。
海外からの労働力を織り込まなければ国として立ち行かなくなりつつあり日本でこれからの時代を生きていくということは、異なる文化との共生が必須条件になるってことで、であれば、どんな悩みを持って/どういうことに幸せを感じて暮らしているのか。隣人に関心を持ちたいと思いませんか(すっげえハードルを下げた言い方)。そんな感じ。
■趣は違うけど、これもほぼ1年前。
最後から2番目にこの話題に触れています。
■ウィシュマさんの話で彼女のDV被害にとりあわなかった警察の初動がオカシイ、なぜそこを追求しないのか。って私がひとりフンスフンスしていたのは半年前。ようやくそういう方角からの主張が聞こえてきました
出入国在留管理庁が公表した調査報告書によると、ウィシュマさんは1月、「彼氏から暴力を受けていた」「手紙が来て脅されるのがとても不安」などと申告。しかし、同管理局職員はDV被害者の可能性がある外国人として扱わなかった
この件で半年前の私が書いたこと。
ウィシュマさんのDV訴えに警察も入管も法務省も耳を貸そうとしてこなかった理由のひとつが、国の定めを守るなら彼女の在留資格が無効になっていることよりも、DVの話を優先しなければならず、それはイヤ。って関係者が思ったからだろうな
なお法務大臣
法相は「入管庁では全国の施設で、DVに関する措置要領の趣旨や内容などを改めて周知徹底し、このような対応が二度と起こらないよう対処している」とした上で「報告書は、外部有識者に映像なども見てもらい、公平、客観的な立場で意見を頂き、調査、検討が尽くされた」とし、再検証の必要性を否定
クラクラしますね。
■今週のその他のニュース
監理団体を指導監督する役割は法務省と厚労省が所管する認可法人「外国人技能実習機構」が担うが、機構の検査は「細かく帳簿をチェックする担当者もいれば、こちらの説明をほぼ聞くだけの場合もある」(監理団体幹部)。
技能実習は米国務省に「借金に基づく強制労働」と指摘されるなど国内外から批判を浴びてきた。監理団体は技能実習法で、外部の人材を役員や監査人に充てるよう義務付けられているものの、効果が表れているとは言いがたい
廃棄物処理会社の男性社長は取材に「現場が忙しくて(分別を)手伝ってもらっていた。作業の内容が違っていたけど、残業が多いし給料も高くなるのでウィンウィンだと思っていた」と説明。「僕らの業種は採用難。コンプライアンスのことには『すみません』としか言えない」と、違法性をあっさり認めた
市や支援団体は仮放免のクルド人に収容の不安のない形で身元保証の仕組みをつくることを国に求めている。昨年12月には奥ノ木信夫市長は法務大臣を訪ねて訴えた。
しかし、国に具体的な動きはない。ワクチン接種に限らず、クルド人の実態を把握して情報伝達手段をつくって様々な問題に対応することは、日本人にとっても大事なことなのだが。
新型コロナウイルスワクチン接種についての話題をはじめ、不法滞在者への対応や技能実習生の実情などについて活発に意見が交わされた。
意見交換では、コロナ禍で生活が困窮する外国人への食料や住居の支援が必要との指摘や、技能実習生の置かれた環境の改善を求める声が出た。
ちなみに「活発に交わされた」意見の具体的な話を、出席した方がツイートしていて、
ボカした報道しかしないのなら、メディアの存在意義って何なの。としばし思う私です。