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週刊「外国人就労関連ニュースまとめ」(20.12.13-20.12.19)

今週いちばん(twitterで相互フォローなひとに)ウケていて、あー。ねー。ってなった記事といえばこちらです。

記事にいわく“本社はこのとき契約を解除するよう指示したものの、営業所で対応が徹底されることはなく数十人規模で違法な派遣が続けられたということです。これまでの調べに対し千葉営業所の担当者は「日本人の労働者を確保しにくい中、違法な派遣を直ちにやめると派遣先との関係が壊れると考えた」などと話して”。
うん、たしかに違法な派遣を直ちにやめると派遣先との関係が壊れるというフレーズには味わいがある。いや、これサラリーマンならもらい泣き笑い必至のやつ。

■そういえばエモ系コンテンツが今週は多かった。

小学校3年生になるくらいには、友だちや先生が話す言葉はほとんど理解できるようになったが、まだ日本語がよくわからなかった頃の忘れられないエピソードがある。それはお弁当の日のこと。教室には大きい温蔵庫があり、クラス全員分のお弁当を温めることができた。だが、リンゴやサクランボなどの果物が入っている場合は、別の容器に分ける必要があった。
母が作ってくれたらむ音さんのお弁当は、ひとつの弁当箱に果物も一緒に入っていた。なぜ自分のお弁当だけなぜ温めてもらえないのか理解できず、それを先生に伝えることもできなかった。お弁当の日は、クラスの中で、彼女だけがいつも冷たいままのお弁当を食べた。

■こっちなんてね、フィクションをこよなく愛する私が「これ、つい最近読んだ小説より刺さる……」ってなったノンフィクションな記事で。

無国籍の子を描いた小説があったんです、私がもう10数年愛読していて、新刊が出れば必ず買う。というぐらい愛している作家の作品に。
本当ならベタボメしていいやつなんですけど、読了して間もなく、上の記事を読んだら、え、こっちのほうがよくない? ってなったという……。
無料で読めるうちになるべく多くの人に読んでもらいたいです。

■エモい。とはちょっと違うんですけど。

ある属性の誰かを著しく犠牲にするのは、先進国では衰退を招く。「絆で解決しろ」では、さらに出生率を落とし、女性をさらに貧困においやるだろう。性別や属性に関係なくそれぞれが高いパフォーマンスを発揮する支援をするのが、先進国の政府の仕事である。
よく言われる「北欧福祉スゲー」が幻想であることは承知しているが、それでも政府の汚職率の低さが高福祉を生み出していると言う。
日本政府がまずやるべきことは、絆に社会保障を押し付けるのではなく、天下りや利権、汚職の絆を断ち切ることである。

というような寄稿を読んで、いきなりゾンビ映画の話を始めた私。

いや本当に、どんなゾンビ映画でもいいけど「自助共助公助」ってキーワードで見てほしいの。面白いぐらいその順番で描かれるから。

■歳末ニッポン景色

文春らしい、取材に元手のかかった記事なので、

周囲の人物や勾留中の仲間たちの証言から見えてきた「群馬の兄貴」の素顔と、別の豚解体アパートの突撃取材などから見えてきた北関東家畜窃盗事件の真相については、12月10日から発売されている『文藝春秋』1月号および『文藝春秋digital』に寄稿している。より詳しく知りたい人は、ぜひ雑誌を手にとってご覧いただきたい

って最後に言われて「番宣かよー」って声が出るにしても、十分楽しめる内容でした。

引用が長くなるんですけど、良いこと書いてあったので。

農業や建設業などに外国人を派遣する諫早市の監理団体「ふれあい事業協同組合」代表理事の野副智徳さん(34)は、コロナ禍で外国人に対する「心の壁」が高くなったと指摘する。
11月中旬、ミャンマーから6人が専門的な知識や技術を持つ「高度人材」の在留資格で来日した。全員が出国前に母国で検査を受け陰性を確認。到着後は2週間の隔離が必要なため、ビジネスホテルに受け入れを相談したところ、宿泊を拒まれた。
結局、監理団体の寮の一つを隔離施設として代用した。海外は日本よりも感染が広がっており、以前から日本で暮らす実習生らも「外国人」という理由だけで偏見の目にさらされているという。
「彼らは感染源でも何でもない。日本人と同じようにマスクもして真面目に生活しているのに」

こういう記事が頻繁に目に入ると、どうしたってベトナム人と犯罪が関連付けて記憶されてしまうと思うんですよ。
でもこれ、6年弱で被害総額4500万円ってことは、6人で等分すると月10万円でしかなく、犯罪はワリに合わない、ってむかしからよく言われている話なわけで、ことさら「ベトナム国籍の男6人を」ってセンセーショナルに伝える必要あるかね。
……いや、まあニュースバリューという意味では、そこに価値を見出せるのが昨今の日本社会ではあるんだとしても、よ。

ときどき、店に入ってきたのに、ズンさんたちの顔を見るなり出ていってしまう客もいる。外国人が和食を出すことに違和感を覚える日本人もいる...
一方で「まず食べてみよう」という日本人だってたくさんいるのだ。そんなお客が少しずつ増えてきた。

こういう記事にわざわざイヤなことを言うようなひとたちを醸成するのは、われわれが目指すべき社会ではない。ということだけは断言したい私です。

■今週の朝日新聞系。

これ読んで

この期に及んでなお技能実習制度を必要とみなすひとたちの心のよすが、「世界を見渡せばもっとひどい待遇の国もある」事例。(クレーンで吊ったぐらいで騒ぎになる日本のほうがマシ……なわけないですよねーやだー)

って書いたんですけど

これのことですね(って書いておかないと、後日見返したときに「はて?」ってなる)
あと、詳しい説明は端折りますけど、今週も読みごたえある記事がいくつも。

最後の記事とか、いやーやっぱりこの映画見ないとだわ。ってなったので正しい映画紹介。

■おまけ

読んだ私のコメント

技能実習生ということばがようやく浸透したと思えた1年でしたが、それが指すのが「概念」ではなく、それぞれに物語を持つ人間なんだねえ。って当たり前のことが日本社会に沁み込むには、まだ時間がかかりそうで

下敷きには 'We asked for workers. We got people instead.' (労働力を呼んだつもりが、来たのは人間だった)というMax Frischのことばがあるわけですが、そんな箴言を知らなくても、82歳の縫製業社長の述懐を読めば同じことを言ってる、って分かりますよね。
メディアがこういう話をしつこく伝え続けることには意味があるんですよ。


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