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線路に立ち入ったり子猫を食べたり/週刊「移民国家ニッポン」ニュースまとめ(22.9.11-22.9.17)

意識して穏やかなタイムラインを作っているせいで、話がすっかり終わってから知ったのですが、今週そんな話題があったんです? 盛り上がってた?

「真偽定かでない言説にカンタンに反応してしまうおれたち」は世界共通だな。と思った別件があって

このまとめ、おれたちが影響を受けるのは仕方ない、メディアはちゃんと仕事しろ。みたいに落ち着いていて、気持ちは分かるけど「おれたち」無罪にも限度はあると思う派です。

■たとえば

このニュース、経緯がいちばん詳しいのはこちら。

2013年
 10月5日 成田空港に到着
 10月6日 成田空港の入管に収容
 11月6日 牛久の入国者収容所東日本入国管理センターに移収
 11月14日 庁内診療により糖尿病等の病気を患っていることが判明
2014年
 2月27日 「私は深刻な胸痛がある」と記載した診療願いを提出
 3月15日 「両足がひどく痛み、なにかに掴まらないと歩けない」申出
 3月16日 診療を求める申出書
 3月27日
 午前11時27分 「気分が悪くて立つことができない」という訴え
 午前11時42分 容態を心配した被収容者十数名が「Wさんを早く医者に診せろ」と述べ、ホールに留まり帰室を拒否
 午前11時54分、処遇首席の指示により監視カメラによる動静監視が開始
 3月28日 血液検査の結果が判明。入管職員は医師に報告せず
 3月29日
 午前2時11分 胸の痛みと不眠を訴える。
 午前11時11分 ベッドから落ち、床で寝ているのが確認
 午後6時6分から7分 「要件あり」ボードを掲げ、職員に対応を要請
 午後6時53分から54分にかけても同様
 午後7時12分~ I'm dyingと声を発した。動静日誌には「異常なし」と記録
 3月30日
 「0:35 床をズボン1枚で転げ回っている」
 「2:30 床にハーフパンツ1枚で横向きになっている」
 午前7時2分  職員が心肺停止状態にあるのに気付く
 午前7時19分  救急隊到着
 午前7時32分 救急搬送
 午前7時47分 牛久愛和総合病院に到着
 午前8時7分 心拍の再開がなく死亡が確認

引用者により抜粋

「入管に収容されるぐらいなら国へ帰ればいいだろう」って言っちゃうひとが見ないフリをしているのは、彼らの日本という国家への信頼ですよ。
政治家が腐っているのは世界のどこででもそうだけど(断定)、日本って国は、国の施設で人が殺されるなんてことはないだろう。
そういう信頼がある。
正義が為される・はずという信頼を裏切っているのは、この場合「入管」というイチ組織だけなんですか。

じゃあ外国人って知った瞬間に差別的な対応をするのは「一部の警察官」に問題がある、そういう理解ですか。

これはNHKとかいう組織の問題で

記者会見で衝撃を受けたのは、病院側が健康保険のない仮放免者に200%、300%の診療報酬を請求するという話だった。保険がないから負担が100%になる。ここまでは、健康保険への加入を認めてほしいという自分の心情は別として、まだ理解できる。だが、200%、300%を請求するのはなぜなのか。「公的な保険が適用されない自由診療だから、病院は自由に請求できるということなのでしょう。でも、相手は仮放免者です。彼・彼女らに300%の診療費を請求するのは、診療拒否と一緒です。断るための口実、あるいは病院が本当に利益として取ろうと思っているのかもしれませんが、それ自体、おかしいことです。
某国立病院では、悪性黒色腫になった仮放免者の検査費を300%請求すると言われました。私は帰ってすぐ病院長宛に『地域に問題を抱えた外国人がいるのに、病院として何を見て料金設定をしているのか。保険適用を考えてもらえないのか、回答してほしい』と手紙を書きました。こうしたやりとりの結果、最終的に病院は本人の健康保険への加入の手続きをおこない、治療もしてもらえることになりました」

これは何だ、病院のせい? 自治体? 健康保険制度? 

実態と異なる「外国人は生活保護が受けやすい」という風説を真に受けちゃうトレンドがあがる社会は誰のせいですか。

ベトナム人は……。っていっしょくたにしちゃうマインド

隙あらば顔を出す「内向きでいいんだよ」「欧米の失策を見よ」記事

ウィシュマさんの話をうやむやにしたい欲が漏れ漏れだろう

■何を言いたかったのか忘れたので今週のその他ニュース

最後の毎日新聞の記事、たまたま今は無料で全文読めるので心置きなく紹介できるんですけど、「メディアはちゃんと仕事しろ」って言われてしまう理由のひとつには、自分たちの(記事は無料で読ませない)ビジネスモデルに固執するせいで、こういう「ちゃんと仕事している」様子が知りづらくなっている現状があると思う。っていつもの主張。

■最後は過去1回だけ紹介したことがある媒体の記事に触発された話

コロナ禍が一段落したことで世界中で消費が息を吹き返しており、世界中で深刻な人手不足が起こっている。海を越えた人材獲得合戦も始まっており、コロナ禍前のように外国人労働者が日本へ押し寄せると期待しない方がいいかもしれない。
日本へ最も多く外国人技能実習生を送り込んでいるのはベトナムで、コロナ禍前の2019年に9万1170人が来日した。そこに強力なライバルが現れた。
オーストラリアが今年9月から、ベトナム人農業労働者の募集を始めたのだ。月給は3200~4000豪ドル(31万~39万円)、日本の技能実習生の平均給与は16万1700円(2020年)だったので2倍の水準となる。

なんか急に「現れた」みたいですが、そもそもベトナムのひとたちにとって一番「行きたい」国はカナダ、その次はオーストラリア、その次はひとによって違うけどたぶんドイツ、日本はその次。ぐらいなんですよ。
オーストラリア=憧憬の対象なのは、労働力としての外国人を獲るならまずは太平洋地域の希望者を優先してきた、つまりベトナムから行きたいって言っても受け入れ人数に限りがあったからで、それが5月の政権交代を機に変わって……って話なんですか、へえ。
と気になったのでいろいろ見て回る私。

確かに今年5月、ベトナムとオーストラリアで農業に関するビザの発給に関する合意書が締結されて

8月には「このままだと収穫できない農産物がたくさん出る、農家が悲鳴」って記事が出て-どこかで聞いたような話-同時に「場当たり的に労働力を入れてきたから、国力の向上につながる移民に魅力的な国でなくなりつつある」という、おお、本邦比2周先の議論が。みたいな記事も発見。

当然のように、移民や難民は現代の奴隷制度に陥りやすい、という視点も目に入ってきて、いやあやっぱり移民国家としての歴史を感じちゃう。「ベトナム人の獲得競争にライバル登場」ってそんな紹介、オコガマシイにも程があるよ。

アンチスレイバリー・オーストラリアのウェブサイトから

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